いつかっていつ?
4.26 悲しい知らせが入った。
なんとなく「もしもし」と呟く同期の声で嫌な予感はしていた。
いざ言葉で「亡くなった」と聞くと自分でも驚くほどのスピードで涙が頬を伝い、息の吸い方が分からなくなっていた。ひたすら「なんでなんで」と説明を求めて、自分なりに平然な姿を取り戻そうとした。テレビを見ていたオットも私が急に泣き始めたものでフリーズしていた。なんとなく会話の受け答えで私が誰と電話していて、どんなことが起こっているのか、オットなりに状況を把握しようとしてくれたのかもしれない。私はオットの顔を見れないまま電話に耳を傾け続けた。
元同期の仲良し6人メンバーだった1人が25歳の若さで天国に旅立った。
持病があった訳でもなく、むしろ健康体だったの彼女がいきなり倒れ、手術は成功したものの帰らぬ人となった。当たり前にまた6人で旅行できると思っていたし、たこ焼きパーティーもすると思っていた。当たり前に私の結婚式に出席してくれて余興で踊ってくれると思っていた。6月には彼女の誕生日があるのでサプライズでお祝いすると思っていた。全く予想していなかった彼女の旅立ちにみんな受け止めることに必死だった。
次の日から2日間お別れ会が行われた。香典なんかこれまでに書いたこともないし、喪服なんて持っていない。黒っぽい服をなんとか探し出して会場に向かった。同期たちが少しずつ集まってくる。きっとまだみんな現実に起こったことだと信じられないのだろう。「久しぶり~」と手を振りながら再会を果たした。再会を喜ぶ笑みの中には、複雑な感情が混ざり合っている。悲しみ、恐怖、後悔、、、それらを悟られないように自分も含めて必死だった。
ようやく会場に通されて少人数ずつ彼女に会うことが出来た。棺は彼女にぴったりな水色。顔を見ると本当に寝ているだけのようで起きそうだった。いつも被っていたキャップと洋服を身にまとい、メイクも彼女らしいナチュラルメイク。話を聞くとお洋服もメイクもお母様がされたそうだった。いざ彼女の顔を見るとやっぱり涙が溢れて止まらなかった。「もっと集まっとけばよかったねぇ」と後悔ばかり。走馬灯のように彼女との思い出が頭をよぎっていった。さっきまで再会を喜んでいた同期たちも目を真っ赤にして会場を出てきた。
『人はいつ死ぬか分からないんだから』
これまで何度も聞いたことのある決まり文句。やっと身に染みて思い知らされた気がした。訃報を聞いた晩はオットと少しでも離れることが出来なかった。お風呂にさえ1人で行くのが嫌だった。自分の視界にオットが映っていないと怖かった。ベットに入ってからもずっとオットに触れていないとどこかに行ってしまいそうで眠りにつくことが出来なかった。急に普通の生活がかなり尊いものであることを感じるようになった。「じゃまた今度にしよう!」と軽々言っていた自分を説教したい。「いつか」「こんど」「時間があったら」「落ち着いたら」この言葉たちを私は封印したいと思った。会いたいと思ったら会う!行きたいと思ったら行く!話したいと思ったら話す!やりたいとおもったらやる!わたしは残りの人生、悔いが残らないように生きたい。人も時間も待ってはくれないんだからね。
彼女の死がわたしに色んなことを考えさせてくれて、この気持ちを無駄にしたくなかったのであえて書きました。最後まで読んでいただきありがとうございました。