学校づくりで考えたこと 4
1:個人の幸せづくり
2:子育て支援
3:学校支援、支援
4:地域課題解決
5:ライフスタイル、キャリア
少なくともこの5項目はあると考えた。
今回は、その4 地域課題解決
地域課題
地域の課題はそれぞれある。
瀬戸市の課題は、少子高齢化(地域差あり)、社会福祉環境の構築、地域コミュニティーの維持、移動インフラ、財政などなど。
このなかで貢献できるところはいくつかあると思っている。
「少子」
解決策としては、少子の逆ということで、単純に出生率を上げるということが対策となるわけだけれど、
これは2つ目で書いた子育てをしやすい環境にするという点で貢献できると考えている。
安心して子育てができるということは必要条件だと思うので。
もちろんこれだけで解決される話ではない。
ほかにも子育てにかかるお金や親のライフスタイルについても書かなければいけないと思うけれど、それはまた今度。
とりあえず出生率があがった、ということにしたとして、それだけではどうなのかな?と思う。
たくさんの子どもが増えても、その子どもたちが大人になって瀬戸で生活するということを選ばなければ、それこそただ税金がかかるだけで、瀬戸市としての課題は解決しない。
やはり、瀬戸市で生活したい!と思うことは不可欠。
しかも、瀬戸市になんとかしてもらいたい、という依存マインドではなく、瀬戸市を自分たちの手でなんとかしていきたい、という自助マインドが必要。
だから長期的な少子化対策としては、ここで過ごしたい!という気持ちを育むことと、自分たちで地域をつくりあげていくんだという当事者意識、自助マインドを育成することが大切。
この2つに、自主学校瀬戸ツクルスクールがどのように貢献できるか。
瀬戸ツクルスクールのシステムの基本はいくつかある。
そのうちのひとつ。
たくさんの市民が学校という場に外から関わるのではなく、中で関わる。
イベントではなく、日常の学校生活のなかで直接的に長時間関わる。
このやり方であることで、子どもたちが瀬戸市という場所で過ごしたい、と思えるようにできると思う。
なぜならば、そこでは、安心や良好な人とのつながりを育めるから。
ツクルスクールでは、直接学校生活で瀬戸に住んでいるたくさんの人と関わる。
しかも、日々の学校生活という比較的長い時間のなかで。
そうすることで、子どもたちは肌で瀬戸に住んでいる人たちとの関わりを感じられる。
それは、瀬戸に住んでいる人たちと直接的に顔見知りになれる、ということ。
また関わる大人も、子どもと顔見知りになれることで、子どもたちに愛着がわく。見守っているという感覚。
そんな気持ちで関わる大人たちと子どもはきっとよい関係を育める。
そして、よい雰囲気ができると思う。
さらに、瀬戸ツクルスクールの考え方でいくと、その人たちは指導者と生徒という上下関係ではなく、横の関係。仲間関係。
こうやって瀬戸に住んでいる人たちと直接的な関わりのなかで過ごす学校生活9年間という長い時間は、瀬戸という地域に対しても、安心とつながり感を育めるのではないかと考えている。
そして、「安心とつながりをもたらしてくれる地域に住みたいと思うようになる」ということにつながっていくということはそれほど的外れな考えではではないと思う。
もちろんすでにたくさん地域の方が学校に対して関わっている。
毎日の旗持ちや安全パトロールをしてくださっている方々、いろいろなイベントや裏方としてたくさんの方が学校を支えている。
しかし、子どもたちからすると、どうしてもその意識というのは持ちにくいのではないかと思う。
これは先日観てきた「みんなの学校」で感じたこと。
それは、「みんなの学校」の映画のなかではスポットライトを浴びなかった子どもたちその映画を観たあとの言葉。
傍から見たら、結構大変な状況で、様々な人がいろんな形で支えているであろう学校。
でも、当の本人たちは、映画を観終った後に、
「あんなにたくさんの地域の人たちに助けられていたんだ。ぼくたち全然知らんかった。」
と言ったそうだ。
子どもたちにとって、やはりメインは先生。
自分たちがどのように地域の人たちに支えられているかはいまいちわかりにくい状況。
この大空小学校の子どもたちは、たまたま映画化されたから、改めて地域の人たちの存在を知ることができたわけだけれど、
このような学校でさえ、地域の人に支えられた、という記憶を持ちにくいのだから、普通に学校生活をしていて、地域の人たちへの思いを持ちにくいのは仕方がないことだと思う。
だから、そこに対する変化として、瀬戸市に住んでいるたくさんの人たちと、もっと直接的に、日常的に、長い時間、仲間意識で過ごす、ということはやってみる価値はあると思っている。
また、安心とつながりを感じられる地域として記憶されるとともに、恩返しの気持ちも地域への想いを育むと思う。
これも「みんなの学校」の子どもたちの言葉を聞いてそう思った。
先ほどの言葉の続きに、
「こんだけしてもらったんだから、大人になったら僕たちもやらんとね。」
自分たちが地域の人たちに育ててもらったという感覚を持てれば、そこで自分たちも過ごしたいという気持ちにつながるのだと思った。
こういったことからも、瀬戸ツクルスクールのようなやり方は、「ここに住みたいな~」という気持ちを育める可能性があるのではないかと思った。
もちろん瀬戸ツクルスクールのようなやり方がメインにはならないだろうし、その必要もないと思う。
ただ、こういった長期的な少子化に対する解決策になりうる存在として存在しているということは意味があることだと思っている。
そのほかにもこんな可能性があるのではないか。
1・自助マインドの育成
少子高齢化になってくると、「だれかに頼る」ということに対して限界がでてくる。
だからこそ自分たちでなんとかする、という自助マインドを育てることは、この課題の解決につながると思っている。
瀬戸ツクルスクールでは、学校のルールづくりから、過ごし方まですべて自分たちで考えて、話し合って、決める。
楽しくなるのも、なんとなく過ごすのもすべて自分次第。
そんななかで過ごすことで、
「自分たちでなんとかできるんだ。」という感覚
「自分たちはなんとかできるだ。」という自己効力感
「自分たちがなんとかするんだ。」という自助意識
という自助マインドに大きく関わる部分が育めると思っている。
また、大人側からすれば、一番公的に頼らざるをえないと思っている
「学校」
を自分たちで創り上げることができる、という意識や経験を持つことは、直接的ではないにしても、上に挙げたような自助マインドにつながっていくと思っている。
市民による学校づくりは、ある意味「ロケット事業」のようなものだと思っている。
現在放映中の「下町ロケット」そして、随分前から有名だけど、TEDでさらに有名になった植松電機の植松努さん。
「ロケットを飛ばす」ということ自体が目的ではない。
ロケットという、「自分たちには不可能だ」「お金がたくさんかかって難しそうだ」という思われるような事業を成し遂げることで、
「自分たちの持っている素晴らしい力を感じられる、信じられる。」
ということを伝えたいのだと思っている。(植松さんは実際にそのように講演でお話されていました。「どうせ無理」をなくすために宇宙事業をやっている、と)
これが「市民が学校を創る」というところと似ているのだと思っている。
「市民が学校をつくるなんて・・・」「お金がかかるよね・・・」だから「学校教育は自分たちでは無理だよね。やってもらうしかないよね」という依存マインド(ほぼ無意識)を変えるためのひとつの手段であると。
ただ、ロケットほどの分かりやすさはないし、直接的に感覚に訴えることはなく、地味でじわじわくるものだとは思うけど。
ちょっと話が飛んだけれど、自助マインドを育成していくことは、少子高齢化になって「だれかに頼る」ということが限界になっていくなかで、非常に有効だと思っている。
ほかにも若者が輝ける、そして、ひとりひとりが輝ける、そんな社会につながっていくとも思っている。
いろいろ対策はしているものの、このままいけば、子ども数と高齢者数の比率の差はどんどん広まっていく。
そうなのであれば、2つ解決策が考えられる。
1・労働期間の幅を広げる。
2・ひとりひとりの力を最大限に発揮する働き方をする。
まず1について。
労働期間の幅を広げるということについては、2つ考えられる。
ひとつは、単純に社会人として戦力となれる時期を早く設定するということ。
もうひとつは、生涯現役という働き方をする。
これが解決策。単純すぎるけど。
現在は、0歳~最大30歳までは学生もしくは新人ということで、ざっくりいうと会社や社会に対して生産性を高められない人財状況である気がする。
一応65歳を定年退職で、平均寿命を80歳とすると、自分の人生のうち43%の稼げる期間で、残りの57%を養う、という流れ。
これを、0歳~最大25歳までを学生もしくは新人ということにして、70歳を定年と考えれば、それだけでこの数字が逆転する。
こんな数字だけですべてが解決するわけではないが、多少の希望は見える。
では、このためにはなにをすればいいか。
好きなこと、得意なことに注力する。
なぜこれだけでいいのか。
それは、働き方の多様性が増えてきたから。
21世紀になり、いままでとは違った働き方ができるようになった。
プロジェクト型の働き方。
これは今後も広がっていくと予想している。
プロジェクト型というのは、高い専門性を持っているそれぞれが一定期間集まって仕事をいっしょにする、という感じにしておこう。
要するになんでもかんでも平均的な力は必要ないということ。
実際にそのような働き方を実現している集団がある。
学び仲間の丹羽綾さんが組織している「自営ワーママクラブ」
では、どうしたら専門性が高くできるか。
それは好きなことを大切にすること。
そして、そこに時間を注ぐこと。
自分で経験したこともあるかもしれないし、周りにそういう人がいたという経験もあるかもしれないが、
「好き」「やりたい」という気持ちは、子どもだとしても、大人顔負け、あるいは、
想像をはるかに上回る吸収力やパフォーマンスを生み出せる。
瀬戸にも来てもらった吉田拓巳さんがその筆頭だと思うし、瀬戸市の取り組みで、仕事仲間の柴田朋子さんが立ち上げた、小中学生対象の「キミチャレ」という取り組みでは、まさに大人の予想をはるかに超えた行動を子どもたちはしている。
強い思いは、あっという間に大人の思惑など越えていく力を発揮させることがわかっている。
自分の好きなことを感じ、取り組み、時間を使うこと。そういうことが可能な環境にある瀬戸ツクルスクールと、卒業後すぐにさまざまな尖った能力を持った社会人の下での経験を積ませてもらえるという流れ。
そんな中で成長することで、早ければ20歳、遅くても25歳にはしっかりとした戦力になれるのではないかと思っている。
そして、それが好きなことであれば、少しでも長く続けたいと思うのではないか。
労働を自分の余暇を楽しむためにするものという捉え方ではなく、労働自体が楽しめるものとすることで、労働期間を延長される。
というか、生涯現役を可能にする。
こんな流れで、少子高齢化の解決策のひとつとしても貢献できるのではないかと思っている。
今回は2について
「一人一人の力を最大限に発揮する」
引き続き少子高齢化は歯止めが利かない状態。
そして、人数×労働力=生産力(かなりざっくりだが)だとした場合、
もうしばらくは人数は増えないという現実がある。
だとすれば、労働力をアップするしかない。
一人一人の力を最大限に発揮することがキーポイントになる。
では、一番伸びしろがあるのはどのあたりか。
トップ2割はどんな状況でもきっとやっていくだろうし、国も積極的に援助するだろう。
(ここでいうトップや中間層という分け方は、学校についての話なので、単純に成績ということにしておく。)
中間層の6割。
ここの半分以上も工夫次第でトップ2割についていけるような気がする。
ということで、とりあえずは半分以上はなんとか学校でも十分に伸ばしていけるだけの機会はあるとしておく。
中間層の半分以下。
全体のなかだと3割。
ここが一番の伸びしろがあるし、きっと今の学校教育では伸ばしきれないところ。
国もあまり力をいれないところだと思う。
なぜこの層が力を発揮しきれないのか。
おそらく自分の力に対して有能感を持ちにくいだろうから。
もともと生まれた瞬間に自分が無力であると思ってはいないだろうから、学習性無力感だろう。
今の学校システムだと、一旦あるレベルに属してしまうと、なかなかそこから抜け出せないというのが実情だと感じている。
その証拠に、成績下位の子が上位になると映画になってしまうくらいだから。
だとすれば、6・3・3の12年間、下手すれば、6・3・3・4の16年間、
「君は平均以下だね。」
と言われ続けるということになる。
こんなところで有能感が育めるだろうか?
大人が一つの会社で、18年間平均以下の評価であった場合、そこに自分の力は素晴らしいんだと思えるだろうか。
そう思える割合はかなり少ないのではないか。
大人でもそうなのだから、子どもはなおさらだと思う。
もちろん何かのきっかけがあれば十分に思えるチャンスはあると思うが、人数的にみると少数のような気がする。
だから、結果的に学力重視であり優位だとする今の学校教育システムでは、この中間層の半分以下の部分に対しては、有効な手立ては打てないのではないか。
どんな手を打てばいいのか。
まずは、無力感を育むものを取り除く。
それは学力による評価を取り除くことであり、不得意なことを本人の許可なく無理やりやらせないということ。
そうすることでまずは学習性無力感を軽減できる。
次に、その子のできているところ、得意なところに注目を与える(主に勉強以外が中心になるだろう)
それによって有能感を育てる。
そうすることで、その子の力をしっかりと発揮できる土壌をつくる。
そして、その子の得意なことをどんどん伸ばしていく。
そんな流れ。
そのほかにも、自己決定性を育てることも大切であり、能力の凸凹を補完し合えるネットワークも大切。
こんな単純ではないことは分かっているし、杓子定規的にやるものではない。
けれど、おおまかな一つの流れとして、こういう役割を担うことができる場所があってもいいと思う。
そして、それは自主学校が担えるところだと考えている。
学校教育システムでは育みきれないところを、自主学校で伸ばせる可能性は高い。
そうすることで、結果的に人数が減った分だけの補完は可能になるのではないか。
もちろんどれくらいの生産力が必要なのか?というところは考えなければいけないが。
今回はランク分けするような内容で書いたが、これは物事を考える上での流れ。
この伸びしろの在る子どもたちは、、現学校教育システムのなかで、弱者というように見えてしまうかもしれないが、それは、たまたまそのシステムのなかでそこに位置してしまっただけであり、社会的弱者になってしまうような能力では決してない。
人としてはみな素晴らしい力を持っており、対等な関係であると思っている。
こんなことも踏まえて、自主学校はこれからの地域を支えていく人財の教育によい影響を与えられる存在だと考えている。
ママの学び場一尾塾 (思春期の子育てを中心に、子育てについてのあれこれなどを話しているYouTube動画です。)