野菜の水分に甘みがある
朝のニュースを見ていたら長野県飯山市のニンジン農家の話をやっていた。雪の下で育つスノーキャロットというニンジンを栽培しているそう。このスノーキャロットは非常に甘味が強く、通常のニンジンの糖度が7であるのに対し、こちらは13あるという。
根菜の保持する水分
ちょうど最近、冬を越した大根を大量に採ったので、何人か身の回りの人たちに差し上げた。その中には冬を越す前にも大根を差し上げた人がいたのだが、その人からは「この前もらった大根の方が瑞々しくて美味しかった」という感想をもらっていた。
実際、今回収穫した中にはトウが立ったものもあったし、さもありなん。そう言われてから自分で食べていると筋張って噛み切れないような大根も出てきて、たしかに美味しくないなと気づく。
大根は所謂「スが入る」という状態になることがある。スとは漢字で書くと骨粗鬆症の「鬆」。骨粗鬆症の骨がスカスカになるイメージと同じく、身がスカスカになった大根が「スの入った」状態の大根だ。
なぜスが入るのかというと、水分が抜けたからである。
冬を越す前と越した後の大根で、それぞれホットクックを使って『豚バラ大根』というメニューを作っていた。ホットクックは無水調理鍋なので、野菜の身から出る水分を使って煮込むわけだが、最近作った豚バラ大根は水分の出が少なかったせいで調味液が薄まらず、同じレシピなのに味付けが濃すぎる結果になった。
スノーキャロットはなぜ甘いのか
同じく冬を越した根菜である冒頭のスノーキャロットというニンジンはなぜ甘いのか? 理由は「雪の下に埋もれていた」からだと考えられる。
雪が蓋をしているので、地表の葉から水分が蒸散していくことは限りなく抑えられる。根から一冬の間大地より吸い上げ続けた水分をいつまでも放散できない。つまり甘みの正体は水分である……という仮説。
実際、冒頭のニュースの中でも「加熱したら甘みがなくなってしまうので生で食べてください」と言って、生のままジューサーで粉砕して飲む実演をしていた。
加熱したら甘みがなくなる
加熱して失われるのは水分である
甘みの正体は水分である
三段論法で証明完了。
(執筆時間:約25分)