【ツクルバ個人投資家向け会社説明資料解説Vol.2】カウカモのビジネスモデル
こんにちは。IR担当の重松です。
前回のVol.1では、個人投資家向け会社説明資料などを基に、中古・リノベーション住宅市場の規模や成長性について説明しました。
今回は、同資料を用いて、カウカモのビジネスモデルを説明します。
・この記事は約8分で読めます・
1.カウカモのビジネスモデル概要
cowcamo(カウカモ)は、マーケットプレイス型の中古・リノベーション住宅の流通プラットフォームです。
簡単に言えば、カウカモのウェブサイトとアプリを作成し、そこに自社の編集チームで独自の物件記事を掲載します。それをユーザーの方が見て「イイな」と思ったらお問い合わせいただき、カウカモのエージェントが仲介を行って成約させていく、というのが基本的なビジネスの流れになります。
こう書くと、「既存の不動産ポータルサイトと何が違うの?」
と思う方もいらっしゃるかと思います。簡単に言うと、違いは以下の点です。
以下2と3では、このビジネスモデルによって、具体的にどのような価値を買主と売主に提供しているかを説明します。
2.カウカモの買主に対する価値
(1) 見るだけで楽しい
まず、カウカモのメインとなるストーリー調の記事では、物件のスペックだけではなく、駅からの街並みや建物の外観、内装のデザインやこだわりに至るまで、カウカモのキャラクターと売主との掛け合いにより、物件の良いところや気になるところがストレートに語られています。これにより、あたかも物件を内見しているかのような体験がオンライン上で得られます。
既存の不動産ポータルサイトでは、基本的には仲介事業者をお客様とし、仲介事業者からの広告掲載料を収入源としています。ですので、ウェブサイトの造りも、仲介事業者が記事の作成をしやすいように造られる傾向があり、結果として内容も記載しやすい広さ、駅徒歩何分、築年数等のスペック情報に偏りがちで、定性情報の記載は個々の仲介事業者の裁量に任されることになります。そして、実際に記事を作成するのは各仲介事業者ですので記事のクオリティコントロールは難しいです。
これに対し、カウカモでは、お客様はユーザーの方々ですので、より良いユーザー体験を志向してウェブサイトやアプリを作りこんでいます。
従前は、物件や街並みの個性にまで着目してストーリーで語られる濃厚な物件記事は新築の分譲マンションくらいしかありませんでした。カウカモは、自社独自の記事作成ツールや自社編集チームのオペレーションの仕組化によって、中古・リノベーション物件についても、独自の濃厚でリッチなストーリー記事を効率的に作成することを可能にしました。
これにより、「見るだけで楽しい」「(良いところも悪いところも含めて情報が書かれているので)物件が探しやすい」というユーザー体験の提供も可能になりました。
これによる事業上の利点は、以下のとおりです。
(2) 暮らしの妄想、物件探し、内見、購入、リノベまで一貫サポート
カウカモでは、オンライン上での暮らしの妄想から、その後のオンライン・オフラインでの物件探し、購入、リノベーションまで、カウカモによる一貫したサポートが可能です。
広告収入型の不動産のポータルサイト経由ですと、各問い合わせ先の仲介事業者ごとに対応が異なることになるので、カウカモの一貫したサポートはそのような不動産ポータルサイトとの違いになります。
また、カウカモはリノベーション物件に特化していますので、リノベ済みの物件の仲介だけでなく、追加リノベ、パッケージリノベ、フルリノベ等の選択肢を幅広く持ち合わせているという強みもあります。このように、リノベをするかしないかにかかわらず、幅広い選択肢を用意していますので、カウンセリングや内見・接客のプロセスの中でお客様の選択肢を広げ、そこから絞っていくことが可能となっています。
カウカモのリノベーションサービスの詳細は、ぜひ下記のカウカモnoteでチェックしてみてください。
3.カウカモの売主に対する価値
(0) 前提:ユーザーに寄り添った体験の提供による買主ユーザーの蓄積
上記3に記載したような、ユーザーに寄り添った体験の提供により、カウカモの買主ユーザーは着実に増加してきました。2022年8月時点では、35万人超の登録会員、年間で240万人以上の利用者がおり、東京・横浜エリアの中古住宅購入検討者の約5人に1人の利用に相当するプラットフォームに成長しました。
このように、ユーザーがアセットとして蓄積したことにより、今度は売主に対し、「早く適正な価格で売却できる」という価値の提供が可能になりました。
(1) 適正な価格で売れる
カウカモには、リノベ物件に興味がある潜在買主が豊富に蓄積していますので、売主と買主を適切にマッチングさせることが可能になります。
「適正な価格で売る」ためには、売主と買主のマッチングが重要になります。珍しい切手やコインを例に挙げると、好きな人にとってはプレミア価格でも欲しいものですが、興味がない人にとっては価値はありません。市場が形成され、それに価値を見出す人とマッチングされてこそ価値が出るのです。物件も同様で、市場が形成され、価値を見出してくれる人に適切にマッチングすることが重要になります。
カウカモでは、リノベ物件に興味がある登録会員が35万人超蓄積しており、すでに市場が形成されています。ストーリー記事等によってその市場へ効果的に訴求できるので、適切なマッチングが可能になります。これにより、売主に対し、「適正な価格での売却」という価値の提供が可能になっています。
また、蓄積されたデータにより、そのエリアで、どういうターゲットに対し、どのようなリノベーションが需要があるかを把握することができるので、仕入再販事業者の方々に対し、実際に需要が高いリノベーションを提案することが可能です。このような提案も、適正な価格での売却を可能とする理由の一つです。
なお、念のため付言しますと、「適正な価格での売却」は不当に高く売却しているということではありません。なぜなら、一般媒介の場合、同じ不動産をカウカモで売っても、他社で売っても、同じ値段で売られることになるからです。ただ、カウカモであれば、「より適切なマッチングができるからその値段で実際に売ることができる」ということになります。
買主の方も、売却の際にカウカモをご利用いただければ、同じように適切なマッチングにより適正な値段で売却することが可能です。
(2) 早く売れる
カウカモには、リノベ物件に興味がある潜在買主が豊富に蓄積していますので、売主と買主を早くマッチングさせることが可能になります。
実際、下記の通り、首都圏での平均売却期間は約4か月であるのに対し、カウカモでストーリー記事を掲載した物件の平均売却期間は約2カ月と早く売れています。
4.よくある質問
Q1:カウカモは、中古物件を仕入れてリノベーションして売っているのではないのですか?
基本的には違います。
カウカモは「仲介」がメインであり、自社で仕入をしてリノベーションをして売るということ(いわゆる仕入再販)は一部行っておりますが、限定的です。
カウカモは、あくまで売主と買主をマッチングさせていくマーケットプレイス型のプラットフォームです。
イメージとしては、動産で言えばメルカリさんが近いかと思います。もっとも、不動産は、動産よりも価格が高額で、物件個々に個性があり、仕様や権利関係が複雑で、顧客にとって難しい意思決定が発生する取引です。だからこそ、エージェントという人が介在する必要性が高い取引です。特に、自分が住む実需の物件を内見しないで買うという方は現段階ではまずいません。ですので、オンラインだけでは完結せず、オンラインとオフラインの融合が重要になります。
Q2:カウカモに掲載されている物件数はどれくらいでしょうか?また、その掲載物件数で十分なのでしょうか?
本記事作成時点では、カウカモに掲載されている物件は1000件程度になります。
まず、前提としてお伝えしたいのは、カウカモで紹介可能な物件はカウカモ掲載物件に限られず、市場に出ている物件はすべてお客様にご紹介可能、ということです。
カウカモのウェブサイトやアプリは、ショーケースのようなものととらえて頂くのが良いかと思います。市場に出ている物件から、特にお客様のニーズがありそうな物件等をストーリー記事として掲載していますが、実際には、カウカモに掲載されていない物件(市場に出ている物件や未だ記事化されていない物件)もバックヤードにあり、お問い合わせいただいたお客様に対してはニーズに応じて紹介が可能という感じで考えて頂ければと思います。
現在、カウカモの成長に十分なお問い合わせをいただいておりますので、その意味では現在の掲載物件数で特に不足はないと考えています。
もっとも、お客様のニーズに応えるという観点や更なる事業規模の拡大という観点からは、掲載エリアを拡大し、掲載物件記事数を増やしていくということは考えられます。この点は、業務効率性、社内人員や市場ニーズの状況等を見ながら判断していくことになります。
5.編集後記
IR担当の重松です。
カウカモのビジネスモデルに関する今回の記事、いかがでしたでしょうか?
個人的には、「適切なマッチングにより適正な価格で売れる」ということは社会的にも重要であると考えています。
中古でも価値が毀損されずに適正な価格で売ることができれば、それだけ価値が社会的に蓄積していくことになります。売主は、蓄積したお金で新しい財と交換することができますし、買主も、次に自分が売るときには同じように蓄積した価値を享受することができます。
この価値の蓄積の繰り返しが、住宅資産額が住宅投資額累計を上回る社会を作っていき大きなインパクトを与えるのではと思っています(例えば、1969年からの蓄積だと500兆円ものインパクトになります)。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。