【レポート】わらぐつをつくる技術を継承しよう2022~草履・わらじ・雪ぐつづくり~
藁(わら)で編み上げた草履や雪ぐつなどの民具。失われつつあるその藁細工の技術を継承しようと、93歳の師匠、俊一さんから技術を継承する連続講座を、2021年にスタートしました。この記事では、2年目となる2022年度に行われた連続講座の様子をお届けします。
2022.4.17 第1回:草履をつくろう
「わら靴をつくる技術を継承しよう2022」の連続講座の第1回を開催しました。2期生の募集は、スタートして1週間足らずで定員になりました。今日は2期生の皆さんと最初の講座でした。
習いたいと思った理由は「伝統的なものに触れたい」「作れたらかっこいいと思った」等々。今回は遠野在住の方が多いです。
お天気にも恵まれ、遠野ふるさと村の茅葺屋根の曲り家で、春の訪れを感じながら草履づくりを習いました。
「最初からみっちり教えるがら!」という俊一さんのスパルタ宣言におののきつつも、難しいところは何度もやり直して確認しながら進みました。
去年習った1期生の方も復習に訪れ一緒に制作に参加しました。長く続けて、技術の担い手が徐々に増えていくことに期待です!
2022.5 岩手日報に掲載&NHK全国放送に
講座は偶数月の隔月ですが、奇数月は任意の参加日にしていて、1期生の方や忘れないように練習したいという方と集まって藁に触れています。
わらぐつづくりの講座のことが5月22日(日)の岩手日報朝刊に掲載されました。表紙の見出しにも!嬉しいですね。
NHKのおばんですいわてにも取材いただき、5月18日に放映されました。全国放送もされたようです。
2022.6.18 第2回:草履をつくろう②
6/18「わらぐつをつくる技術を継承しよう2022」の連続講座の第2回を開催しました。晴天の 遠野ふるさと村、風か気持ちよく通り抜ける曲り家で今回も草履づくりを学びました。
先日昨年から習っている1期生の方も参加した他、全国放送された番組を見て遠くからいらっしゃった方々もいました!
陸前高田からいらっしゃった88歳のおじさまは、ボケ防止でぜひともやってみたくて、といらっしゃったのですが、編み始めたら「小さい頃やっていたとのを思い出してきた」と美しい草履を作り上げたので皆ビックリ!逆にいろいろ教えてくださいました~
教え、教え合いをして、参加者同士話をしながら手を動かすのが楽しい時間は、あっという間に過ぎて行きました。全ての土台となる草履づくり、だいぶ習得できたのではないでしょうか。また次回お会いしましょう~!
2022.7 GOOD LUCK STORYに出演
岩手めんこいテレビで放送されている番組「GOOD LUCK STORY 笑顔の輪」にこの取り組みが取り上げられました!7月の任意参加の練習日に取材にきていただきました。Youtubeで放送をご覧いただけます。
2022.8.29 第3回 縄ない&しめ縄づくり
8/20「わらぐつをつくる技術を継承しよう2022」の連続講座の第3回を開催しました。
今日は、わらぐつをはじめ、様々なわら細工をつくることができる『わら細工とその周辺』の著者、阿部さんをゲスト講師にお呼びし、しめ縄づくりも行いました。
神社や神棚に飾るしめ縄。阿部さんの周りに座って、太さの変化があるしめ縄づくりを習いました。
「地域の神社に飾るしめ縄を作れる人がいないため習いたい」と宮城から通ってくれている方も、初めてのしめ縄を作りました。
俊一さんからは縄ないのコツを教わり、皆さんだいたい縄ないができるようになりました!そして早い人はわらの雪ぐつへ・・・!冬までにマスターできるかな?楽しみです!
昨年から続いているわらぐつづくりの集まり。参加者のかわいい甥っ子さんも遊びにきたり、ふるさと村のインターン生が参加者とお話したり。わらの手仕事を通して和やかで愉快な時間が流れます。
2022.10.2 農家さんの稲刈りお手伝い
昨年も藁をたくさん譲っていただいた遠野の農家さんの、稲刈り&はせがけ作業をお手伝いしてきました。講座の参加者も駆けつけてくれて、秋晴れの日差しの中で作業をしました。
今年の藁も長くて使いやすいと思うよ!とのこと。大事に使わせていただきます!
ふるさと村の稲刈りは今回あいにくの天気で参加できずでした。。来年リベンジ!
2022.10.15 第4回 わらの雪ぐつづくり
10/15「わらぐつをつくる技術を継承しよう2022」の連続講座の第4回を遠野ふるさと村 で 開催しました。
今日はついに、わらの雪ぐつに挑戦!師匠特製の木型を入れて、甲の部分を編み込んでいきます。
一番難しい部分ですが、できると嬉しさも大きい部分。集中しないとすぐにずれたりして綺麗に編み込めないので、皆さん覗き込みながら手を動かしていました。
冬までに自分で作れるかな・・・?秋の味覚や木々の話もワイワイしながらあっという間の1日でした。
2022.12.17 第5回 わらの雪ぐつづくり②
12/17「わらぐつをつくる技術を継承しよう2022」連続講座の第5回を 遠野ふるさと村 で開催しました。
いつもは水車で藁打ちをしていますがふるさと村に譲られて来た藁打ち機を使ってみて藁打ちを行いました。
手動のもので、「国益式ワラ打ち機」と書いてあります。台に3本のロールがあり、ハンドルを回すとロールが回転。ロールに藁を入れると潰されて柔らかくなっていく仕組みです。
この日はすっかり雪の積もったふるさと村で雪ぐつを履いて歩いてみたりしました。
山仕事などで使われた紐で固定する妻籠(つまご)やわらぐつを早くも完成した人も!「うまぐやったね~きれいだ」と俊一さんも顔がほころんでいました。
2023.2.18 第6回 わらの雪ぐつづくり③
2/18「わらぐつをつくる技術を継承しよう2022」連続講座の第6回を 遠野ふるさと村 で開催しました。この日は今年度の最終回でした!
習熟度は個人差がありますが、その分教え合ったりしながら、藁に触れることを楽しみました。
参加者の声
まとめとこれから
昨年から技術継承の講座を初めて2年になりました。失われそうだったわらぐつの技術を俊一さんから教わった弟子が、なんと17名になりました!その中から確実に継承者が育っています。
2022年はさらに、わらぐつづくりの輪が徐々に広がったように思います。長い藁の調達も難しくなった今、藁の調達から自分たちでできないだろうか?とふるさと村の方と田植え体験会の企画にも発展しました。
商品の注文も少しずついただくようになりました。左右同じものを作ったり、高さを揃えたり、俊一さんと同じレベルでつくるのはとても難易度が高いですが、しっかり技術を身につける、とても良いチャレンジになっています。
水車でのわら打ちや会場の準備には、引き続きふるさと村の皆さんにご協力いただいております。いつもありがとうございます!
俊一さんから教わらなければいけない技術はまだまだたくさん・・・!これからも集まりを継続して習慣化し、確実な技術継承につなげていきたいと思います。
わらぐつはこちらからご購入いただけます。草履、わらじ、ツマゴなどもご相談ください。代金の一部が技術継承活動に充てられます。
2023年もわらぐつの技術継承講座の場を開いていきます。第3日曜日にふるさと村で行いますので、ぜひ見にいらしてください。