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日本人が考えるべき水不足問題とは?!~インドの水不足を事例に

 今回は耳にしたことがある方も少なくない世界の水不足について何が原因になっているのか、そしてインドの水不足を分析することでこの問題の解決の糸口を見つけていこうと思います。
 
さて、みなさんが「水不足」と聞いたときに何が原因になっているかすぐに思い当たるものは何でしょうか。
様々な事が挙げられると思いますが、温暖化による影響、人口増加による影響、この2つが大きく関わっていると言われています。1つ1つ見ていきましょう。

①温暖化の影響で変化しうる水の量とその影響

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 まず温暖化の影響について見ていきたいと思います。温暖化による影響として変化しうる水の量とは何でしょうか。
1つ目として、温暖化による気候変動によって各地の降水量が変化する見込みです。
2つ目に温暖化によって降雪量が減少し、それにより融雪による春夏の水資源が減少してしまうことで水不足を引き起こすことも想定されます。
以上のように温暖化による影響は様々ありますが、これらは年間水量が半分になったりすることはないため次に見ていく人口増加による影響には及びません。

②人口増加により変化する水の量と水不足の到来

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 次は人口増加による影響を見ていきます。まず先程の影響と人口増加による影響どちらが大きいのかを分かりやすくするために水不足の指標となっている取水水資源比について説明します。取水水資源比は

取水水資源比=年間取水量(=水需要量)/年間河川流量(=水資源量)

と表されます。取水水資源比は大きければ大きいほど水不足に悩まされているという指標で、40%を超えると深刻な水不足であると言えます。

ここで見た通り分母の年間河川流量は温暖化によって半分になったり倍になったり急激な変化は生じないので、分子である年間取水量が人口増加のため後進国などでは何倍にもなっていく現状では水不足は人口増加による影響が大きくなってくるということが分かります。

③最も多い水の用途は〇〇用水

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どんな水の使い方が最も多くの割合を占めているでしょうか?
みなさんはダムの水が少なくなってきたため節水を行ったりした際の経験などからやはり家庭で使う水が1番多いなんて考える人も多いのではないのでしょうか。

なんと正解は農業用水なのです!

これが最も割合を占めており、約7割にも及びます。この農業用水のほとんどが灌漑に用いられています。
一般的に灌漑とは農地に外部から人工的に水を供給することですが、作物を霜害から守ること、塵の飛散防止などにも用いられています。そして、2割が工業用水に用いられており、工業用水は製造用と火力・原子力発電所冷却が半数ずつ占めます。
残りの1割は我々が使っている家庭用水になります。この家庭用水は生活様式に密接な関係があり、日本では水洗トイレが普及することによって家庭用水が約2倍になったと言われています。

そして、人口増加の影響はこれら3つともに及びます。人口増加による食糧不足から農業を加速させていくため農業用水はさらに増え、産業発展による生活様式の変化によって工業用水、家庭用水は増えていきます。
このように全ての面で水不足が加速していってしまうのですが、どうしたら歯止めをかけることができるでしょうか。ここでインドの水不足改善策から糸口を探していきましょう。

④インドでの対策事例

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インドでは2018年にインド行政委員会(NITI Aayog)が発表したレポートによるとインド国内の約6億人が深刻化する水不足に悩まされています。ここで、インドの現在の水不足の原因を挙げていきます。
・降水量減少
・急激な都市化×人口増加
・地下水の過剰採取
・インフラ未整備

これらの複数の原因が重なることで水不足が深刻化していると考えられます。
まず1つ目の降水量の減少ですが、これは地球温暖化による避けられない影響のため対策をたてるのはなかなか難しいことで、さらに降水量の減少は先ほど取水水資源比を見た通り水不足にはあまり影響を与えません。
2つ目の急激な都市化×人口増加はインドの発展のために必要なことであり、ここを対策するというよりはこの2つを成功させるために水不足を解決する必要があります。
そして、3つ目4つ目の原因が本線となってきます。この2つの原因は実は繋がっています。
インドでは水関連のインフラの普及率が悪く、水道の普及率も農村部では約18%となっており、農業における灌漑を行う割合が34.5%と日本の81%と比べても分かるように非常に低く、灌漑を行っていない農家は地下水を利用しているのですが、作物量の増加に伴い地下水の過剰採取が進んでいるため水の利用効率が悪くなってしまっています。
さらに今ある配水管も老朽化による破損などで漏水率が40%を超えてしまっていて水を無駄にしている現状にあります。
そして、インドでは多くの地域で雨が降る時期が限られているため雨水の効率的な貯蓄が必要なのですが、現在はあまりされておらず各家庭単位での貯水が重要になっています。

このようにインドでは最も水需要の高い農業用水での非効率な水利用が目立っています。これを改善するために国を挙げての水関係のインフラ設備を増やす、改良することで大きな水資源の確保につながると予測され、水不足を叫ぶ国々も同様に農業用水における効率的な水利用を実現することができれば水利用の約7割も占める農業用水が一転して水資源の源泉に変わることになるでしょう。そしてこれが水不足解決の糸口になるのではないでしょうか。

⑤まとめ+豆知識

今回はインドの例から水不足に対する改善策を考えてみました。今現在は日本は水が豊富な国となっていますが日本も農業用水の使い方を見直していくべきではないでしょうか。

【今日の豆知識】
インドの配水管漏水率は40%を超えるのですが、日本の配水管漏水率はいくらでしょうか?

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正解は7.2%!!(2012年度日本水道協会調べ)
日本は世界で1,2を争うほどの高水準なのです!そんな日本でも7.2%も漏れているのは意外だった人が多かったのではないでしょうか。まだまだ日本も節水する余地があるということですね。

最後に、TSUKURU合宿という社内の一日ゼミの中で、世界の食事情について考えた際に水問題にも触れたので、そちらもチェックしてみてください


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