制作に必要な道具って結局なにを買えばいいの?という話|京都芸術大学 通信 空間演出デザイン
こんにちは。
京都芸術大学通信学部 空間演出デザインコースに在籍するひじきです。
今回は、これから空間演出デザインコースへ入学されるという方に向けて書いていきたいと思います。
大学からコースガイドは届いたでしょうか?
コースガイドには、学習を進めるにあたって重要となる様々な情報が掲載されています。
その中で、おそらく皆さんが疑問に思うこと。それは「課題制作に必要な道具って本当に全部必要なの?」ということでしょう。
実際、僕もそうでした。
学校指定の画材屋でまとめて購入することも可能ですが、もし使わない道具があったらもったいない。でも、何が必要かなんてわからない。
しかも、まとめて購入するとネットショップで個別に買うよりも割高になります。1つ1つは微々たる差でも、数が増えればそれなりの値段に。
とはいえ、安い道具の寄せ集めじゃカッコ悪い…。
僕は「名前がカッコいい」というしょうもない理由で、製図道具はすべてSTAEDTLERでそろえました。
結局ほとんど使わなかったものもあり、いまとなっては無駄なこだわりだったな…と思います。笑
というわけで、超主観的に「買ってよかったもの」と「それほど必要でなかったもの」をお伝えしていきたいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
道具は完成度を左右する
「弘法筆を選ばず」という言葉がありますが、我々はピカピカの1年生。はじめのうちは道具を使いこなすことすらままなりません。
そして、“道具”とは先人たちの叡智と技の結晶。道具の質は、作品の質に直結するのです。
とはいえ、入学金と授業料で数十万円。それに加えてスクーリング代もかかります。すべての道具にお金をかけているほど余裕はありません。
すべての道具が必ず必要?
時間もお金も限られた我々には、いかにお金をかけずに良い道具を見極めるかという選球眼が求められるのです。
ただ、一つだけ言っておかなければいけないのは、
「学校指定の道具は原則すべてそろえる」
ということです。
京都のスクーリングであればたいていのものは学内の売店で手に入ります。必要となったらその場で買いに行くことも可能です。
しかし、東京や遠隔の場合はそうもいきません。対面スクーリングであれば貸し出し備品もありますが、数は限られています。
なので、「必要になったときにそろえる」という心構えでもいいかもしれませんが、そこは自己責任だと覚悟しましょう。
◇ ◇ ◇
買ってよかったもの
それでは、さっそく買ってよかったものから紹介していきます。原則すべて購入するといいましたが、ここに挙げるものはその中でも「迷わず買うべきもの」、「自信をもっておすすめできるもの」たちです。四の五の言わずに買いましょう。
コンベックス
いわゆる巻き尺ですね。空間演出デザイン生の必需品。コンベックスはお友達です。
空間のデザインをするにあたって、椅子の高さや座面の広さ、通路の幅など何かと身の回りのもののサイズを測る機会が多くなります。
頻繁に使う道具だからこそ、お気に入りを持つことをオススメします。
そして、曲がりなりにも芸大生。人前で出すならちょっとでもかっこいい物がいいという見栄だってあります笑
オススメのコンベックスについてはこちらに書いているのでよかったらのぞいてみてください。
カッターナイフ
コンベックス以上に頻繁に使うのがカッターナイフです。これがなければ始まりません。
カッターナイフの精度が模型の精度を決めるといっても過言ではないでしょう。だまされたと思って、いいカッターナイフを買ってください。
これについても、こちらに詳しく書いているのでよければご覧ください。
勾配定規
おそらく初めてこの名前を聞いた人も多いはず。
簡単に言ってしまえば、角度調節機能が付いた三角定規です。これとは別にいわゆる普通の三角定規も買うのですが、僕はほぼこれしか使っていません。
よくわからないものにお金を払うのは不安でしょうが、これは迷わず買うべきです。
製図用ブラシ
製図を書くとき、消しゴムのカスを手で払ったり息で吹き飛ばしたりしてはいけません。なぜなら、図面が汚れるから。
何時間もかけて書き上げた図面が汚れたときはとても悲しい気持ちになります…。(経験者)
というわけで、消しカスを払うのに使うのが製図用ブラシなんですが、これが地味に場所を取ります。
おすすめはドラパスのミニブラシ。手のひらサイズで使いやすく、スクーリングに持っていくときもかさばらないのでとても便利です。
スコヤ
勾配定規と並ぶ、知名度は低いけど必携の道具の「スコヤ」。
模型製作をする際、きっちり直角を出すために必要な道具です。いくら切れ味の良いカッターナイフを使おうが、これがなければ精度の高い模型は作れません。 この道具は精度が命なので、きちんとしたメーカーのものを選びましょう。
学校指定では15cmですが、僕は少し短めの12.5cmを使ってます。大きく切りたいときは30cmの定規を添えればいいし、小さいパーツのときも切りやすい。なによりコンパクトに運べるのがいいです。このあたりは好みかもしれませんね。
折り畳み式カッティングマット
模型製作ではA3やA2の素材から切り出すことも少なくありません。なので、必然的にカッターマットも巨大になります。作業スペースの広さこそ正義です。しかし、収納を考えるとA2はかなり邪魔。
そこで、ナカバヤシの折りたたみカッティングマットがすごく便利です。A2→A3のサイズダウンは思っている以上に助かります。
しかも、折り目部分は目視でもわからないほど全く段差がなく、カッターが当たってずれることもありません。ちょっと値は張りますが、お値段以上の価値はあります。
A3サイズに折り曲げられるとはいえ「運ぶにはでかい」と思われるかもしれませんが、スクーリングのときは学校からカッターマットを貸してもらえるのでご安心を。
細口のボンド
模型に使うスチレンボードの厚みは1~5mm。普通のボンドの容器をつかって、はみ出さないように塗るのは至難の業です。しかし、細口のボンドを使えば細かい作業もラクにすることができます。(そもそも直塗りするなという話ですが…)
Amazonのレビューにも書いてある通り、中身は普通の速乾ボンド(白いパッケージのやつ)なので、なくなったら詰め替えれば安くつきます。
直尺用 ストッパー
ステンレス定規に挟むことで一定距離のケガキや、簡易的なスコヤとしても使える優れもの。
模型製作では材料の厚み分の線を引くことが多いのですが、これを使うと作業スピードが格段に上がります。学校指定になっていないのが不思議なくらいの必需品。それでいてこの安さ。買うしかありませんね。
鉄筆
学校指定じゃないけど買ってよかったもの、その2。
模型材料のスチレンボードに線を引く道具です。通常であればシャープペンシルで線を引くところを、細い針でケガくことで材料が微妙に凹み、思った通りの場所を切ることができます。模型を組んだ時に線の跡が目立たないのもうれしいところ。
スケッチブック
アイデア、スケッチ、思考の整理などあらゆるものを描くことができるスケッチブック。我々芸大生は、スケッチした紙の数だけ強くなれます。デジタルで代用も可能ですが、アナログならではの良さがあります。絶対に。
あくまで消耗品なので特別高いものを買う必要はないですが、お気に入りのスケッチブックを探してみることをオススメします。
頻繁に使うものほどお気に入りをそろえましょう。モチベーションを上げてくれる道具は大事です。
◇ ◇ ◇
それほど必要ではなかったもの
次に、買ってはみたがほとんど使わなかったもの、中古もしくは安い物でもよかったかなというものを紹介していきます。
三角スケール(30cm)
これに関しては一度も使っていません。
今後使う場面が出てくるかもしれませんが、少なくとも1・2年次の授業では必須ではないので「必要になったら買う」でもいいと思います。
ちなみに、これより小さい「三角スケール(15cm・建築士用)」というのもあるのですが、こちらは図面に書かれた距離を測るのに必要なので、必ず買っておいたほうがいいです。
数字テンプレート
数字をきれいに書くための定規です。
たしかにきれいに数字は書ける。とはいえ、常識の範囲内できれいな字であれば手書きでも大丈夫かと思います。
ちなみに、きれいな円を書くための円テンプレートというのもあるのですが、こちらはコンパス代わりに使えるので重宝します。
円テンプレートに関してはメーカーによっては円の種類が少ない物があるので、コースガイドに載っているSTAEDTLERのものを購入するのが間違いないです。
三角定規
これは、「買ってよかったもの」に書いた勾配定規が有能すぎてほとんど出番はありませんでした。学校指定では30cmですが、持ち運びや収納を考えるともう少し小さくてもよいかもしれません。
スチのり
厳密にいえば用途は違うのですが、木工用ボンドで代用可能です。扱いも少し難しいのでなかなか出番はありません。
刃折り器
カッターの刃を折り、折れた刃をそのまま収納できる便利グッズです。これは必需品ではあるのですが、とにかくでかい。邪魔。これに尽きます。
スクーリングに持っていくのにかさばるのが嫌だったので、僕はカッター付属の刃折り器を使い、折った刃はこんな感じのケースに入れてます。
ちなみに、カッターの刃は切れ味を保つために頻繁に折ります。今までの人生で折ってきた刃の数をこの1年で余裕で追い抜きます。「もったいない」という気持ちをぐっとこらえて、折りまくりましょう。
平行定規
これも必需品ではあるのですが、新品を買うか中古を買うかが悩みどころでしょう。
値段を見て、「定規が付いただけの板なのになぜこんなに高いんだ」と思うその気持ち、よくわかります。
僕は「定規のストッパー使用不可・紙を留めるステンレス板の付属なし」という中古を選びましたが、ストッパーについては手で押さえ、紙はドラフティングテープで留めることで問題なく使用できています。製図ソフトが使えるようになれば一気に出番は減るので、費用対効果を考慮してどうするか、という部分ですね。
ただ、二級建築士の資格取得を目指しているのであれば新品をお勧めします。試験は手書き必須ですし、道具の不具合のせいで時間が足りなくなったら悔やんでも悔やみきれませんから…。
ちなみに、値段が安いからという理由でベニヤ板 & T定規のセットを購入してはいけません。使いやすさや作業効率を比べると、三輪車と自転車くらいの差があります。
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以上、超主観的「買ってよかったもの」と「それほど必要ではなかったもの」でした。いま振り返ればもったいない買い物もしていましたが、「道具をそろえることでやる気が出る」という意味では無駄ではなかったように思います。笑
ちなみに、ここに書いてないものは必要ないかといわれると、課題で必ず使うので購入必須ではありますが「それほどこだわって選ぶ必要もないかな」という感じです。
道具には相性がありますし、使いながら自分の道具に育てていけたらいいですよね。
「これいいよ!」というみなさんのオススメがあればぜひ教えてください。