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第2の同期浜田修、引退

麻雀プロの引退なんて星の数ほど見てきた。
かくいう私も引退した過去を持つ一人だ。
私のキャリアを紹介すると、29期前期(2004年、同期には平賀聡彦、白鳥ケイタロウ)に20歳で最高位戦入会。
リーグ戦を1年半で引退した。
実に、21歳で選手を引退しているのである。
生半可、そんな言葉がしっくりくる若者だった。

10年前、30歳の私は当時最下リーグのD1から最高位戦リーグの選手を再開する。
もちろん年齢的な迷いはあった。
だって、同年代の選手たちは一番いい時期を全力で麻雀に費やしてきたのだから。
今から追いつけるのか、と。

そのときの新規入会組の一人が浜田修さんだった。

40期前期(2015年)、勝手に同期と思っている。
いわば第2の同期というわけである。

復帰初戦、その浜田さんと同卓だった(実はドリブンズの越山監督も同卓)。
30歳でリーグ戦を再開するのに迷った私を、初戦で同卓した50歳の浜田さんは麻雀でぶっ叩いてくれた。
対戦前はもちろん「50歳から選手始めてどこまでいけるっていうんだよ」と疑いの目を持っていた。
でも、対局後には
「ああ、かっこいいな」
自然とそう思った。

対局後、私の「あのときどんな手だったんですか?」に目を輝かせて答えてくれる浜田さんを見て、「おれの悩みなんてどうだっていいな。この人みたいに何歳になっても強くなろうとしよう」と思わせてもらったのを覚えている。
それは、私には道を示してくれたように映った。

それから10年、昨日の最高位戦A2リーグで浜田さんと同卓する何日か前、MC菅野真由から質問がくる。
―今回の対戦相手で意識してる選手はいますか?
「浜田さんかなあ、デビュー期(私にとってはリスタート)が同じ40期前期なんで、A2で打てるのはうれしいですね」
そう答えた。

今日の試合前、浜田さんから「聡一郎さんってリーグ戦復帰して何年目ですか?」って聞かれて
「浜田さんと一緒っすよ!40期前期。ぼくは勝手に同期だと思ってますよ!10年前はまさかA2で同卓することになるなんて思わなかったですよね!」
なんて軽口をたたいたら、浜田さんはうれしそうに
「私も同期だと思ってます!なつかしいですね」
と返してくれた。

そんな浜田さんが今期のA2リーグで引退すると知ったのは、対局後のインタビューだった。
浜田さんは言う。
「一番最初のD1リーグで最初に同卓したのが鈴木聡一郎選手。そして今期のA2最終節で同卓するのがなんと鈴木聡一郎選手なんです」
どういうわけか、今期の最終節同卓。

最終節で私にできることは一つしかない。
10年前浜田さんにしていただいたように、全力でぶっ叩くのみである。

浜田さんには、本当に勇気をもらったから。

涙が止まらない。
浜田さんがいなかったらこんなにやれていなかったのかもしれない、たぶんそう思うからなんだろうな。

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