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#秋ピリカ応募〜「紙々の怒り」
こんにちは。
生まれは紀元前くらい……
“紙”と申します。
わたし……
いや、怒り心頭に発していた我々は
ある日、紙の神に上申した。
「いまだかつて……こんな屈辱はないっ!」
「何をさように怒っておるのか?」
「主よ……ご存知ですか、この歌を」
「みっちゃん みちみち う〇こたれて〜」
「!?」
「紙がないから手でふいて〜」
「!??」
「もったいないから食べちゃった〜」
「それは……一体?」
「日本で昭和の中ごろ歌われた……わらべ歌です。国文学者の林望氏は、著書『古今黄金譚 古典の中の糞尿物語』の中でいちばん最初に「みっちゃんみちみち」を取り上げ、「天下の傑作」だと評しており……「みっちゃんみちみち」と「み」が連続して韻をふんでいるところ、「みちみち」と「道々」で、歩く道中と排便の擬音の掛詞になっているところ、また後半の対句の巧妙さも称えています」
「何と……それが一体?」
「我々は太古の昔より人間とともにありました。故に許せないのです……世界各国、あらゆる場所で今この時も行われている紙の無駄遣い。
それを少しでも減らすべく国や企業で推奨されている紙のリサイクル」
「それならば知っておる。古紙回収であろ?して……おヌシの怒り所は……?」
「靴やカバンを買った時についてくる『昇華転写紙(アイロンプリント紙)』は!紙としてリサイクルできないんだ!古紙回収A4用紙1枚入っているだけで再生紙100トンが使えない紙になってしまう事もあるのに!」」
「なにィっ!?」
ざわ……ざわ……
「それを知らない人間が善意で『これも……紙か』と」
「非道いわ……」
「無知とは、かように恐ろしい……」
「皆のもの、静まれい!して……おヌシの望みは?」
「人間から“紙”を取り戻したいのです、記憶ごと」
「なるほど。同胞の生命がその様に粗末に扱われたとなると……捨て置けん」
「では……?」
「記憶ごと……となれば、永遠にという訳にはいかぬ」
「充分です。人間が再び我々を尊重してくれる様になるまで」
「1000年ほど……か。皆のもの、しばしの別れよ!」
西暦30XX。
トイレにて。
完全ウォシュレット→ハイパワーウィンドのこの時代。
「トイレに行くと……何か思い出しそうになるんだよな。カラカラって……手がこう……」
図書館にて。
本は全てデジタルのこの時代。
「小説読んでると……何か足りないって思うのよね」
とある家庭にて。
「おかーさん!新しい靴に入っとる、プチプチは燃えるゴミ?」
「燃えるゴミ!……昔は何か違ったような……?」
前前前世の記憶を持った人間が……
たまーに現れたり現れなかったり。
人々はいたってフツーに生活をしている。
この世には初めから“紙”など、なかったかの如く……
(1118文字)
やったぜぇーっ!!
ギリギリ……
つくね的には余裕で(?)間に合った!
すんごい夢中で……
書き上げたわ……
ピリカさん!
楽しい企画をありがとうございます!!
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