「きよはこの瞳で嘘をつく」の話
幼稚園に行くか行かないかの頃。
きよちゃんと言う女の子と初めて遊んだ。
きよちゃんは肉食女子。
強めでガタイの良い女の子であった。
(肉食女子代表/吉田沙保里さん/この時彼女は自力で壁にはりついているらしい。強過ぎる。心底憧れる)
その辺の葉っぱを野菜にみたて、おままごとをして遊んでいると、彼女はこう言った。
「えっ!この草使ったん!?」
「うん」
「この草……毒の草よ!!」
「えっ……」
「どうしよう……」
「えっ……嘘じゃろ?」
「本当よ!」
「えっ……本当なん……」
幼い私は焦った。
毒の草を触らせてしまった。
恐らくきよちゃんはこのままだと命が危うい。
どうしよう……
私は泣きそうだった。
必死に考える。
ピーン!
(そうだ!近所にミンキーモモのミンキーステッキを持ってる子がいる!それを、使ったらお医者さんに変身できる!きよちゃんを治せる!!)
と、ガチで思った私の、何と純粋な事……
話は逸れるが……
祖母の家に遊びに行った際、キャンディ・キャンディの絵本があった。
孤児院で暮らすキャンディ。その友達アニーはお金持ちの養子になり白いドレスを着て幸せそうにしていました。
そんな1ページ。
私は白いドレスを真っ黒に塗りつぶし、文章も
「まっくろいどれすをきて」
と校正を入れた。
そして、それを大人に見られ、まあまあ怒られた。
カワイイが嫌いだったあの頃……
自分に、カワイイは似合わないと思ってたいた当時の私はアニーが羨ましく、少し歪な心からそうしたのだろう……
思い出しても泣けてくる……
幼いつくねはキャンディ・キャンディよりミンキーモモよりサンバルカンのバルシャークに憧れていた。
宇宙刑事はシャイダーが好きだった……
カッコいい……
強くてクール……
こうなりたい。
そう、思っていた。
話を戻そう。
「ようこちゃんにミンキーステッキ借りてくる!」
と走り出す私に。
「待って!全部嘘!」
「えっ!?」
「毒の草とか、嘘じゃから」
(え……何言ってんの……
私、まあまあ泣きそうな顔でガチで心配してたの……
見てるやんな?何を今更……)
「ごめん!本気で信じてるから、面白くて」
その時私は悟った。
人は自分が楽しいからという理由で嘘をつく事が出来る。
私は人を騙したくはないが、騙されたくはない。
(よし。強く賢くなる)
さて、私は強く賢くなれたのか……
私の息子はちょくちょく、私にしょうもない嘘をつく。
トイザらスに寄った時。
アンパンマンのコーナーにて
「アンパンマン……昔はいっぱい買ったけど、最近買ってないなあ」
と、言うと
「久しぶりにアンパンマンのおもちゃ、欲しいかも!あ!コレ!」
「え……嘘じゃろ?」
「ダメ?」
(あわわわ……小5にアンパンマン?絶対すぐ飽きる。値段も高いよ?マジで?えー、やだ)
「本気で言ってるん?」
「本気!」
なんてこった……
「買うか……」
アンパンマンを手に取ろうとすると
「お母さん!嘘よ!」
「えっ……」
「信じた?」
「え?嘘?」
「ごめん!」
「迫真の演技じゃったわ……」
なので、私もしょうもない嘘をつく。
さり気なければさり気ない程、息子も信じてしまう。
かっちゃんもしょうもない嘘をつく。
が下手なので……我々には通用しないのだ。
ちなみに、私は、推理小説を最後からめくれるタイプだ。