「むちゃぶりの二人」の話
この世に人間として生を受け、43年。
色々な人間に出会った……
その中にはむちゃぶりをしてくる人がいた。
〜西のキングオブむちゃぶり ウチの夫〜
夫と初めて出会った日。
ご飯を食べに行った帰りに、
「それじゃあ、『つくねはらのすべらない話』わ〜!!さん、はい♫」
ヒェッ!
こわっ!!
何で初対面の人間にそんな事が出来る?
と思わない訳ではなかったが、彼と出会った時既に、私は比較的むちゃぶり強者になっていたのだ。
「私が江頭2:50になった話」をしてみた。
彼はひとしきり笑った後、思いもよらぬ言葉を放った。
「すごい意外。面白かった〜」
おいおい、待てよと。
出来ないと思った上でふったのかと。
もしくは話をさせて、すべる方を想定していたのかと。
それはつまりアレかい。
喧嘩売ってんのかい?
イヤ、何かすげぇニコニコしている。
コミュニケーションの一貫のようだ。
なる程、オッケー。
〜東のクイーンオブむちゃぶり 百貨店の相方 M〜
Mは自身もフツーに面白かったが、仕事中でもお構いなしに
「あれ?あやや(松浦亜弥)ですよね?」
(……な!?何をどうしろと?)
最初は戸惑うばかりであった……。
が、しかし。
慣れとは恐ろしいもので、途中からは
「胸がキュルルン♪桃色のファンタジ〜♫」
振り付きのノリノリで、返しが出来るようになった。
そして、ある日。
「え……いっこく堂さんですよね?」
「!!!」
すごいキラキラした瞳がこちらを見とる!
ワクワクが伝わる!!
(どうする私?……よっしゃ、覚醒せよ!私のエクストラスキル!)
「(口パク)……ニューヨークの……」
「!!!」
「!!!」
二人で目を合わせて驚いた。
「今さあ!」
「うん、衛星中継、出来かけたよな!?」
「スゲー!!」
(海外と中継がつながって、声が遅れて聞こえてくる、という20年位前のネタなので、知らない人も多いだろうけど、知らないままで大丈夫……もし見るなら1:10から)
瞳を更に輝かせて、Mは言う。
「もう一回やってみよ!」
「絶対イヤ!」
「えー?何で?」
「これ以上あんたのオモチャになりたくないから!」
「えー……ちょっとだけでも……」
自分も知らないスキルを叩き起こしかけてしまい、しかし、私はこれを永久に封印した。
今でも夫はむちゃぶりをしてくる。
それ故、私もたまにむちゃぶりをする様になった。
「はい、かっちゃんのすべらな〜い話〜」
「ヒドい!そんなむちゃぶり!出来る訳ないでしょ!」
「えぇ……12年前、出会ったばっかの私に、かっちゃんが言った台詞やで……」
「えー?それ、本当に俺?」
「そーよー。すぐに記憶なくすんじゃから……」
Mも恐らく、日本の何処かで、きっと誰かにむちゃぶりしている……
今この瞬間も……
ひぇー、怖いな、怖いな〜
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