「13年前、婚活を始めたきっかけ」の話
当時、とあるロックバンドにはまっていた私。
仲の良い女の子が、大学の学祭にそのバンドをよぶ事になった(そういうイベントに取り組むサークルだったらしい)。
そこで、そのバンドとその子との間に、少しの繋がりが出来た。
しばらくして、地元のライブハウスにそのバンドが来る事になって、ライブ終わりにバックステージにてバンドのメンバーの人達と会える事になった。
私はボーカルの男の子に、メチャクチャはまっており、とてもドキドキしていた。
ライブはとても盛り上がった為、私は完全燃焼してしまった。
そしてライブ後。
その子と
「まだかなー」
「もう、そろそろかなあ」
とワクワクしながら、お呼びがかかるその瞬間を待っていた。
5分…
10分……
ワクワク……
「まだかなー」
「もう、そろそろじゃない?」
15分……
ワク……??
20分……
イヤ、もういいぜ。
私はもう疲労困憊だった。
引退前の千代の富士と同じ位に、体力が限界だった。
そもそも、その子と私は10歳離れており、彼女と私の持久力には開きがあった。
私は体力的に下り坂に入っていたのだ。
そして、私は人を待つのが超絶苦手であった。
その上、当時、私の住んでいるアパートは、そのライブハウスから徒歩5分の所にあり
(家に帰って、シャワーしたい……そんで、ゴロゴロしながらビール飲みたい……)
「ごめん、もう帰る」
「えっ?何で?」
「いや、もう待つのがしんどい」
「でも、多分もうすぐ……」
「ごめん、限界。もうムリ。マジでごめん」
そして家に帰り、ひとっ風呂の後、ビールという最高の幸せをかみしめていた……ライブの余韻に浸りながら。
ようやく一息ついたその時。
ピンポーン♫
その子であった。
「あの後すぐに呼ばれたんよー!!見て!Tシャツにサインもらったー!」
とても興奮した様子で、こんな話した、あんな事があった……等と、一通り話をした後、
「『友達は?』って聞かれて、『帰りました』って言ったら『何で?』って言われたわー。後5分待っとけば良かったのにー」
「イヤ、さっきはもう精も根も尽き果ててた。体力温存をすっかり忘れてたわ」
「私も流石に疲れたから、帰るわ!」
と嵐の様に去っていった。
私には何の後悔もなかった。
(これは……会わん方が良かったって事なんじゃろうなー)
と心底思った。
彼が最も輝くのはライブの時だ。
ライブ後の彼は、私に負けず劣らず、ヘロヘロの筈だ。
その上、彼はどちらかと言えば面倒臭い性格の持ち主で(勿論そこに惹かれていた訳だが)、かなりの人見知り。
初対面の私に、Welcome対応ではないであろう事は想像に難くなかった。
(憧れは憧れのままの方が良いという事なのだろうな)
そして、ふと手にした江原啓之の本に
「自分を成長させる為にしたら良いこと」として
①会社を経営する事
②上司になる事
③子供を育てる事
と書いてあったのを読み、
(お店をしてるから、①は済
前の仕事先でそれっぽい事してたから、②も済)
「よーし、子育てしてみたいので、婚活するわ!」
と婚活を始めて、確か一年後には今の夫に出会い、妊娠まで辿り着いたのだった。