「ウチの夫が猫語を話す件」の話
猫語を話す。
というのは猫と会話をする、ではなく
「お腹がすいたニャー」
と語尾が猫になる訳でもない。
ふとした拍子に
「ニャー」
という単語を発する。
単にそれだけの事だ。
夫と出会ったばかりの頃、おしゃべりをしていて、ふと目が合ったときに、キュッと目を瞑って
「ニャー」
と言われたのだ。
(えっ!?ニャーって言った?うわぁーーー!30歳過ぎて、ぶりっ子の男の子、初めて見た!)
軽くひいてしまった……
ぶりっ子……久しくお目にかかってない……。
今なら、あざとい、だろうからな……
当時ロンドンハーツで梨花さんが
「彼氏といる時は猫になる」
というエピソードを話していて、
(マジか……いや、このキャラならアリか……しかし、それをこんな全国放送でバラすなんざ……スゲーな)
と驚愕したものだ。
なので、リアル猫語に驚きはしたが、あっという間に慣れて、
「ニャー」
と言われれば
「ニャー」
と返しが出来るまでになった。
私はその時何かを失った……のかどうかは誰にもわからない……
そして、ある時。
彼はこう言った。
「いっつも、ニャーニャー言うからそれがうつって、オレもニャーって言ってしまう〜」
「えっ?私発信?いやいやいや(笑)かっちゃんが言ってるから、私にそれがうつったんよ」
「いや〜、オレ、ニャーとか言わんよ……」
「えー……私の方が言わんよ……」
「もー、冗談ばっかり」
「…………」
最初は冗談と思っていたが、どうやら本気のようだ。
流石に彼も他の人の前では、猫語は使っていないようなので、最低限の意識はあるのだろうが、恐らくは
限りなく無意識に近い有意識……
それをどんなに説明しても、受け入れてはもらえず、私は説得を諦めた。
数週間後。
またおしゃべりしていると……
Σ(`艸´;)ハッ!!
とした表情で
「何かオレ……今にゃーって言っとったかも」
「っ!!やっと気付いてくれたん?」
「前、オレがニャーニャー言っとるって言われた時、『いやいや、そんな訳ないでしょ』って思ってたけど……何か言ってたわ……ごめんね」
「いーよ、ドンマイ!(かっちゃんには)よくある事さ!!」
誤解が解けて良かった良かった……
「ニャー」
っていうと
「ニャー」
っていう。
犬でしょうか。
いいえ、猫です。