「やせ過ぎコンプレックス」の話
ウチの家には体重計がない。
誰も体重を気にしないからだ。
私は身長163cm程度
体重47kg程度(おそらく)
痩せ型の部類に入るだろう。
生まれた時は3000g超えていた。
標準体重であった。
しかし、一ヶ月検診以降ずっと体重の増加が少なく、
母は医者から
「お子さん、栄養失調ですよ」
と怒られていたらしい。
(おっぱいもよく飲むし、元気なのに……)
と心配をよそに、私はあまり大きくならなかった。
一歳になった時、医者から
「うーん、この子はこういう体質みたいじゃな」
と言われ
「ええええ工エエェェ(´д`)ェェエエ工!?」
となったらしい。
まあ、そりゃそうであろう。
私の細いのは体質で、見た目に反してよく食べるし、とても健康だ。
生きてきて、一番大きな病気は小3の時の水疱瘡くらいかな……それか、5年程前のノロウイルスかな……
最近は自分に優しく、少ししんどくなったら、すぐ休むようにしているので、ほぼ風邪もひかない。
ただ、細い。
物心がつく頃には、やせ過ぎはしっかりとコンプレックスになっていた。
小学生になった時には、ランドセルを背負い、体重計に乗り
「体重が増えた!」
と喜んでいたらしい。
な、泣ける……。・゚・(ノД`)・゚・。
私の体型について、他人は好き勝手言う。
「ほそーい」
「やせ過ぎじゃない?」
「ガリガリじゃなあ」
「ほそーい」はギリ、いいだろう。
嬉しくはないが、言われたとしても、さほどネガティブな印象は受けない。
他は駄目だろう。
ネガティブな印象しかないではないか。
今までで、一番衝撃的な台詞は、近所のおばちゃんに言われた
「ちゃんとお母さんにご飯食べさせてもらっとるん?」
小学生相手に、近所のおばちゃんは、そんな無神経な事を言うのかと、驚愕であった。
それに何より、私の母は、ご飯を丁寧に作る人で、今日は魚、次の日はお肉、と栄誉のバランスも考え、一汁三菜かっちり作ってくれていたのだ。
今なら言い返せるのに。
私はずっと細いままだったが、無礼な人間には
「はあ?」
という覇王色の覇気的な、オーラ的なヤツが出せるようになった。(誰からも無礼な事を言われない人は、元々コレの使い手だと思っている)
不思議な事にそうなると、誰からもネガティブな、自分を傷つけるような事を言われないようになった。
そして、
「ほそーい」っていわれると
「おーぅ」っていう。
「スタイルいいなー」っていわれると
「ありがとう」っていう。
そんな自分にやっとなれた。
それから夫と結婚し、テレビを見ている時。
女性のスタイルについて話題になっていたので、
「そうは言っても、かっちゃんも乳が大きい方がいいよな?」
と聞くと
「乳が大きくなって、他の所も大きくなるんだったら、そんなのはいりません!細いのはユミエの長所!ユミエ、細い!カッコいい!!」
と言われた時。
普段から嘘が下手くそで、お世辞も言えない夫。
そんな夫の手放しの賛辞に、長年の私のコンプレックスは完全に溶けてなくなった。