貞観政要_3

貞観政要その3 君主は舟、人民は水

少し時間が空いてしまいました。

それにしても最近の政治の状況は目に余るものがあると思います。
特に新型コロナウィルス関連に対する安倍内閣の対応は酷い。
3月2日からの小中高の一斉休校に関する要請は週後半の木曜日2月27日の夕方6時半に発表されました。

要請を受けた地方自治体の意思決定は、翌日28日にするしかありません。
私の住む市では、28日の午前中には3月3日からの休校、小学校の卒業式は中止との決定がされたようですが、その28日午前中に文部科学大臣から「あくまで要請であり、各地方の状況に応じて決定すればよい」との話が出てきてから、卒業式の実施については「未定」という形に変更になりました。

このような思い付き・場当たり的な独断専行の意思決定は、現場の混乱を招くだけ、という反面教師として良い事例になったのではないでしょうか。

さて、今回取り上げるのは「君は舟なり 人は水なり」という、これも有名な一節です。

大意

太宗と魏徴の問答です。

太宗は、昔の帝王について学んだことを側近たちに対して説明します。

「最初は優れた政治を行った帝王も、時が経てば衰えていく。その原因はへつらいものがはびこり、忠臣が口を閉ざしてしまい、自らの過ちに気づかなくなってしまうことにある。私も今は宮中深くにおり、直接的に政治の実態を見ることができない。今は平和な治世となっているが、気を緩めてはならない。立派な政治を行えば人民は明主として仰いでくれるが、誤った政治を行えばすぐに見捨てられてしまう。よくよく心してかからねばならない。」

魏徴はこう答えた。

「昔から国を滅ぼした君主は、安全で平和なところにいて危険なこと乱世のことを忘れてしまっていた。今陛下は富を有し、平和な治世を築きながらも政治のことに心を砕かれ、慎重に慎重を重ねて取り組んでおられる。これならば、我が国は安泰である。昔の書に「君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す。」とあります。陛下は畏れるべきは人民の目だとおっしゃいましたが、まことにその通りでございます。」

考察

この「君は舟なり、人は水なり」という言葉は、『荀子』という書物に出てくる言葉のようです。
リーダーとフォロワーの関係をうまく言い表している言葉なのではないかと思います。

水に浮かぶ『舟』であるリーダーや君主が、正しく指揮を取り人を導いているのであれば、『水』に例えられた人民やメンバーがそのリーダーに従い、豊かな水で舟は浮かび目的地まで穏やかに流れます。逆に誤ったリーダーシップをとるようなリーダーの下では、人民・メンバーの心が離れて反乱を招き、舟であるリーダーは覆されてしまいます。

この「君は舟なり、人は水なり」という言葉を太宗はとても大事にしていたようで、貞観政要の中でも何度か出てくるようです。

リーダーシップをとる立場にいる人は、部下や民衆に迎合する必要はありませんが、その人たちにとって大切なことを守りつつ、リーダーシップをとっていく必要があるのではないかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?