メスガキの文法

【メスガキの文法】
我々人間は「〜ない」という言葉によって不在を表現できる。しかし不在の表現は人間に限ったことではない。猿は甘噛みをすることによって、本気で噛む意思が不在であることをメッセージとして伝える。しかし「〜ない」という不在の概念が、ジェスシャーで直接表現することはできない。音声言語においてのみ否定概念自体を表現できるのだ。
私に脳裏に電流が走り下腹部に雷鳴が響いたのはdlsiteの音声作品を聴いていた時だった。
「おにいさんって、情けなくて、よわよわ、ざぁこ♡」
「ざぁこ♡」には「〜ない」という否定概念が含有されている。生意気な幼女-通称、メスガキ-は「ざぁこ♡」を発言の末尾につけるという特性を持つ。彼女らは、「ざぁこ♡」を駆使して、お兄さん(私)に“本当は”「情けなくないし、よわよわでもない」ことをメッセージとして伝えてくださる。
私の気づきをここに留まらない。「ざぁこ♡」は文法として文脈にまで機能する。どういうことだろうか。「お兄さんはバカでノロマだね。しかも朝も起きれなかったの?彼女に振られてどうしようもないね、、、ざぁこ♡」この例で、私の言わんとすることを理解できない方は居られないだろう。つまり、「〜ない」が文章に対する否定概念にとどまるのに対し、「ざぁこ♡」はその射程距離を文脈にまで広げている。私の射精にも届く範囲でだ。メスガキ達の言語論的、記号論的発明のおかげで、私たちは日々自己肯定感という射精行為に至れるのである。
本当にメスガキには頭が上がらない。

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