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リスニング力の伸ばし方がわからない方へ

先日、Xで英語学習の悩みについて募集したところ、「リスニング力の伸ばし方がわからない」とのお声をいただきました。

ありがとうございます。

私なりに記事をまとめてみたので、よろしければ参考にしてください。


リスニング力を伸ばすには、レベルに応じたさまざまな方法があると思います。

今回は、「高校までの授業で取り上げる英単語や文法をひと通り学んで、聞き取れさえすれば、英語で基本的な内容を理解できるレベル」にある学習者を対象に話を進めたいと思います。

このレベルのリスニング力アップには次のような方法が効果的です。

  1. 簡単な英会話文やダイアローグを聞く

  2. 英語字幕を表示させて映画やテレビ番組、動画などを視聴する

  3. ナチュラルスピードよりも遅めで、はっきりと発話される英語を聞く

  4. 可能であれば、発音や音声変化についても学ぶ

これらの方法がなぜ効果的なのか。具体的な理由について見てみましょう。

リスニング力を上げる近道

なんでもそうですが、繰り返し接していると人は慣れます。

簡単な会話文や映画、動画、学習素材なども、繰り返し耳にしていると、私たちの耳は英語という言語のリズムや音、流れに少しずつ慣れます。

そして、自分の中に語彙の「塊」が徐々に増えていきます。

塊が増えると、日常的なやり取りを理解する力がゆっくりとアップします。

例えば、あなたが誰かから Excuse me, I’m afraid you’re in the way と言われたとします。

この中で excuse me、I’m afraid、in the way は塊で、定番の言い方です。

多くの場合、excuseと聞けばその後はmeが来ると予測できますし、I’m afraidの後は何かネガティブな意味が来るのだろうと想像できます。

in the wayも道を塞いでいる、邪魔になっているという決まった言い方ですね。

このような塊が自分の中にたくさん蓄積されていると、次に来る英語を予想しやすくなり、聞き取りの負担が減って、意味もすばやく理解できるようになります。

日常的なコミュニケーションで最初に必要となるのは、一字一句間違わずにその場で聞き取って再現する能力ではなく、相手のメッセージを正しく理解できることです。

これは複数形や定冠詞などの細かな部分は聞き取れなくても構わないという意味ではありません。

ただ初級者のころは、そんな文法的な詳細を意識する間もなく、次々と大意を間違えずに理解していくことが必要となります。

リスニングの精度を上げるためにはディクテーションなどの練習もありますが、今の段階では、自分の中にできるだけ語彙の塊を増やして大意をつかめるようにすることも、リスニング力アップに効果的だと思います。

まずは聞き取って、理解して、楽しいと感じる体験を増やしてください。

また、リスニング力を強化するには、発音や音声変化を学ぶことも効果的です。

英語は英単語として単体で発音されるときと文章の中で発音されるときで音が変わることが多いからです。

たとえば、I told you という言い方。

ここでは便宜上カタカナで表記しますが、一語ずつ発音すればアイ トウルド ユウになると思います。

しかし、この音を話し言葉の中から拾おうと思うと、永遠に見つかりません。

なぜなら音声変化の「同化」が起きて、アイ トウルジュのように発音されるからです。

そのほかにも連結、フラッピング、脱落など、英語では一定の法則のもとにさまざまな音声変化が起こります。

でも、その決まりを全部覚えていちいち考えながら使い分けている人はおそらくいないでしょう。

ですから、ひたすら量をこなして、耳で慣れて覚えることが大切だと思います。

音声変化についてここでは詳しく取り上げませんが、ネットで検索するとさまざまな情報がヒットすると思います。

興味がある方は確認してみてください。

ちなみに、個人的な経験から、リスニング力を上げるためには、この時点で必ずしも発音や音声変化を学ぶことはマストではないかなとも思います。

私の場合は、大量の英語に触れて耳を鍛えるだけでも、それなりにリスニング力を伸ばすことはできました。

ただ、効率的にアップさせたいのであれば、発音や音声変化も学んでおくとよいと思います。

いずれにせよ、ポイントは「どうやってもアイ トウルド ユウには聞こえない」と悩むのではなく、「I told you はアイ トウルジュという音なんだ」と覚え、耳に慣れさせることです。

リスニング力は日本でもじゅうぶん伸ばせる

カナダに語学留学する前に私が取り組んでいた主なリスニング学習は、ラジオ英会話、英会話教材のテープ、ディズニー映画(英語音声・日本語字幕)の繰り返し視聴です。

スマホは影も形もなく、コンピューターやインターネットが日本でもようやく一般的になった頃なので、今ほど音声教材には恵まれていませんでした。

当時、外資系企業に勤めていたこともあり、英語で書いたり読んだりすることは比較的多かったものの、仕事で話すのは日本語。

外国人の同僚も日本語が流暢な方たちでした。

そんな状態でカナダに来たのですが、当時ESL (English as a Foreign Language) の教師の言うことはすべて理解できました。

先生方は生徒にわかりやすいようにはっきりと話してくれますし、ESLの授業という限られた枠の中で使われる語彙やイディオムはある程度限られていました。

それも理解しやすかった理由だと思います。

ホストファミリーが私に言うこともきちんと理解できました(もちろん、私に対して手加減していたと思いますが)。

これは、日本にいる間に通勤時間や空いた時間などを利用して簡単な英語を繰り返し聞いていたことで英語の音に慣れていたうえ、業務などで英文を目にしていたので、自分の中に英語の塊がある程度蓄積されていたためだと思われます。

リスニング力アップにさまざまな学習媒体を活用する

それでは、リスニング力はどのようにして伸ばせるでしょうか。

学習素材となる簡単で良質な会話文といえば、最初に思いつくのがラジオなどで放送されるNHKの英語講座です。

一流の先生方がホストとなり、英語圏で日常的に耳にするような表現を積極的に取り上げています。

英語学習者に寄り添った、安価で優れた教材だと思います。

今はこれらの番組をネットでも聴けて、音声とスクリプトを確認できるので、テキストを購入しなくても自分で学習できます。

まだ活用したことがない方は、試聴してみてはいかがでしょうか。

番組放送の15分間だけと言わず、会話文を覚えてしまうまで繰り返し活用するとよいと思います。

また、動画もおススメです。

インターネットのおかげで、今は日本にいながら世界中のESL教師が配信するレッスン動画を視聴できるようになりました。

ESL教師の発音は聞き取りやすいことが多いと感じます。

また、学習者に合わせてスピードを落として話してくれる教師もたくさんいるので、自分のレベルに合ったお気に入りのチャンネルを見つけ、登録してみるのもおススメです。

英語を学びながら同時にリスニング力を鍛えることができます。

動画や映画など、耳だけで聞き取ることが難しい場合は、英語字幕を表示させることで耳だけでなく目でも内容を理解できます。

映画の場合、すべてを字幕付きで見るのは長くて大変だと思うので、すでに内容を知っている映画、子ども向けの映画、短めの動画などを視聴してはいかがでしょうか。

ただし、動画の字幕機能は話している言葉を正しく反映していないことがあるので注意してください。

リスニング力アップに効果的な4つのこと

最初に述べたように、リスニング力を伸ばすのにまずお勧めしたい方法は次の4つです。

  1. 簡単な英会話文やダイアローグを聞く

  2. 英語字幕を表示させて映画やテレビ番組、動画などを視聴する

  3. ナチュラルスピードよりも遅めで、はっきりと発話される英語を聞く

  4. 可能であれば、発音や音声変化についても学ぶ

効果を実感するには、集中してトレーニングするだけでなく、一定量を聞き続けることが必要です。

リスニング力が伸び悩んでいる方は、これまでどのくらいの期間、どのくらいの時間をかけてリスニング学習をされましたか。

振り返ってみてください。

もし半年の間、毎日とはいえラジオ英会話の15分間だけでしたら、単にリスニング量が不十分な可能性があります。

今まで音楽を楽しんでいた時間や通勤時間をリスニングにあてるなど、まずはリスニング量を増やすことを心がけてください。

毎日1時間、2時間と英語を聞いているのに半年たっても聞く力がまったく変わらないと感じるようでしたら、リスニング学習の内容や方法を工夫する必要があるかもしれません。

英語学習素材は音声とスクリプトをあわせて聞いた後、内容を覚えるまで繰り返し聞く、英語動画は字幕をオンにして見る、発音で起こる音声変化(音の連結、同化、脱落など)について確認するなど、もう一歩踏み込んだ学習をすることでリスニング力が少しずつアップすると思います。


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