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ハトと平和について考える
公園や神社でよく見かけるカワラバト。
旧約聖書のノアの方舟の物語では、神様の怒りによって引き起こされた大洪水の終わりを、オリーブの枝をくわえて戻ってきたことで、知らせてくれた鳥として記されているそうです。
神様と人間との和解を象徴するお話として、現代まで語り継がれてきて、今では平和のシンボルの異名を欲しいままにしていますね。
当時の鳩たちはそれはもう立派な鳥さんだったかもしれませんが、オリーブの枝をくわえていたかつての栄光など、今では見る影もありません。
公園のベンチで昼食をとっているとき、必ずと言っていいほど近寄ってきては、見せてくるあの物欲しそうな顔。
オリーブの枝ではなく、餌がもらえるのを指をくわえて待っているのです。
夜になると鳩たちは公園から姿を消して、自分たちの巣に帰っていきます。
以前に暮らしていた部屋の真上に、彼らの巣が作られていたことがありました。
真夜中や早朝に可愛さの欠片もない野太い鳴き声が聞こえてきて、起こされたこともあります。あのときは大変でした。
玄関付近には毎日、嫌がらせのように鳩が待機していました。いつも追い払っていましたが、鳩たちの残していったもので、マンションの壁や床が真っ白にされていました。
立つ鳥、跡を濁しまくりです。
ちょうど玄関先に排水管が露出していたので、その場所がお気に入りのようでした。
「そういうことはやめて欲しい」と、はっきり伝えたのですが、相手は鳩。聞く耳を持ちません。
嫌がらせには嫌がらせを。玄関先に鳩の気配を感じたらすぐに扉を開けて驚かしてやりましたが、効果はありません。
カラス避けのCDを鳩のたまり場にぶら下げてみました。太陽の反射でキラキラさせて居心地を悪くしてやろうと考えました。
その作戦もまったく効果がなく、よくよく考えてみると、太陽が当たらない位置だったので、ただCDをぶら下げていただけでした。
最終的に、プラスチック製のトゲが敷き詰められたシートを敷き詰めて、物理的に留まれないようにしました。
この方法は効果的があり、それ以降、部屋の玄関付近を汚されることはなくなったのですが、お隣さんの玄関先は別です。
排水管は廊下に沿って伸びていて、今までは一室だけが鳩の標的にされていたのですが、鳩たちはそのまま真横に移動してしまい、今度はお隣さんが被害に遭うことになってしまいました。
これってわたしが悪いのだろうか…?
お隣さんとはまったく面識がなく、トゲトゲのバリアを勝手に玄関先に設置していいものか思い悩んでいるうちに、お隣さんの玄関先がどんどん汚れていってしまいます。
平和の象徴のせいで、新しい争いの種が生まれた瞬間でした。
その後、お隣さんへの被害は収まったようで、不思議なことに何の対策も講じてはいないようでした。
もしかしたらお隣さんの言葉は、鳩にも通じたのかもしれませんね。