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映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』4姉妹それぞれの生き方
本当に美しい映画です。どうやって表現したら十分に良さが伝わるのでしょう。Amazonプライムビデオで2回鑑賞しました。
ルイザ・メイ・オルコットの「若草物語」の映画化。監督・脚本が「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグです。1860年代、アメリカ、マサチューセッツ州、南北戦争下の4姉妹の物語。
1860年代、南北戦争の頃の女性の生き方は限られていて、結婚して夫に養われるしかほとんど道はありませんでした。女性にとって結婚は経済問題。お金持ちとの結婚は自分のみならず、家族にも経済的恩恵が与えられます。そんな中で、作家になる夢に向かう次女ジョー(シアーシャ・ローナン)を主人公に物語は進みます。
古典のような「若草物語」ですが、この映画は、現代に生きるすべての人に向けてメッセージを発しています。
女性の自立と尊厳をテーマにしているのですが、まったく説教くさくないところが、この作品の素晴らしいところです。美しい物語と、その脚本の中に、自然にテーマが表現されていて、映画として一つの理想形だと思います。
映画の冒頭に出てくる、原作者ルイザ・メイ・オルコットの「悩みが多いから私は楽しい物語を書く」の言葉通りの作品です。
映像がとても美しく、風景はもちろん、4姉妹の衣装は4人の性格ごとにカラーがあり、場面ごとに楽しむことができました。第92回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞しています。
物語の進行は現在と過去を交錯してゆきますが、7年前(娘時代)の4姉妹たちの楽しさと愛らしさが見事に表現されていて、私は可愛すぎて泣く、というおかしな現象になってしまいました。
クリスマスの朝、生活に困る隣人に毛布と食料を運ぶというシーンでさえ、4姉妹と雪の風景が美しい絵画の様でした。4人でいると、元気でにぎやかで明るい。そこが本当に良い。
4姉妹を演じた、シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、4人の性格がしっかりと描かれていて、どの人が抜けても成り立たないストーリーでした。
忘れられない大好きなシーンばかりですが、特に好きだったのは、
慈愛にあふれた母親役のローラ・ダーンがジョーに「私は本当は短気。でも、40年近く努力して、怒りを制御できるように。」とちょっと秘密を教えるところ。
ジョーが隣家の青年ローリー(ティモシー・シャラメ)にプロポーズされ、それを断るという、世界中の女性から、いや男性からも悲鳴が聞こえるようなシーン。このプロポーズの場面は魂のぶつかり合いで、永久に記憶に残ります。
プロポーズを断ったジョーが「結婚だけが女の幸せだなんて絶対に思わない。なのに、たまらなく寂しい」と母親に打ち明けるシーン。
いやもう、全部好き。
インタビューでグレタ・ガーウィグはこの作品はまさに自分自身を表現している。と語っていました。
グレタ・ガーウィグの名作です。