「月世の部屋」#2「絵具の話をしましょう」
昨日6月24日にyoutubeでの動画配信をしました。先週から引き続きの質問箱への回答です。配信された「月世の部屋」#2のアーカイブはこちら
画材について
Q1. なぜウィンザーアンドニュートンを使うのですか? (PONPONさん)
A1. 子供のころに与えられたのがニュートンの固形絵具でしたので、それに慣れていることもあるかと思います。柔らかで繊細な発色が上品で好きです。
適当に混色してもきれいな発色をしてくれるところも気に入っています。
Q2. 分離色の使い方が難しいです。良い方法があれば教えてください。(画材研究命さん)
A2. いわゆるグラニュレーションを起こす絵具としては青系の色がよくなります。ムラを意図的に発生させるので、紙に置いたらあまりいじり過ぎず、さらっと塗って自然に滲ませておくのがベストかなと思います。
分離色として販売されている絵具も最近増えてきましたが、色見本などをよく見て、どういう色同士が混ざっているのか、ピグメント番号を見て自分で作ってみるのも面白いです。
また、むしろ混ぜるのが苦手、混色に不安のある方は、こういう絵具は常に同じコンディションで用意できるのでとても便利です。
Q3. 素敵な部屋を企画していただき、ありがとうございます。 以下質問です。 小野さんが夏にぴったりと思うPWCの色を教えてください。 WNプロフェッショナル水彩紙の使い心地やこんな時におすすめなモチーフを教えてください。 お気に入りの色の組み合わせなどありましたら、教えて欲しいです。 よろしくお願いいたします。(えりんぎさん)
A3.夏にぴったりなのはマンガニーズブルーですね。ラムネ瓶のような澄んだブルーです。ジュエルカラーのアクアグリーンも単色で深みがあってきれいです。
WNプロフェッショナル水彩紙は筆先の当たる感触が適度に引っ掛かりがあって絵具の乗りが良く描きやすいです。描き心地はアルシュに似ていますが、アルシュよりも沁み込みは遅く、リフトも程よくできます。発色が良いので繊細な花や明るい風景を描くのに良さそうです。
お気に入りの色の組み合わせはパーマネントローズとコバルトターコイズライトです。フランスっぽいと勝手に思っています。
Q4. こんにちは、いつも楽しく技法書やTwitterを見ています。小野先生は水彩紙が風邪を引いていた時、または書いている途中に風邪を引いていることに気が付いた時はどうされていますか?(みやこさん)
最悪ですね。販売用に描き始めたものは商品になりませんからすぐ別のものに取り換えますが、幸い、ほとんど下描きをしないで描き始めるので、描き直しのショックはありません。大きな紙でパネルに水張りをして、下描きをした時に発覚したら、描き直しのリスクと描きづらさのリスクを天秤にかけ、絵の中心でなければそのまま続行します。場合によっては風邪を引いた辺りに「パルプベース」などを塗って新たな表現にしてみたりします。
ちなみに風邪を引いた紙はホルベインの「マルチサイジング」という礬砂液を塗るとまた復活するそうです。風邪ひいた紙が死ぬほどある方は使ってみてはいかがでしょう。