【創作BL小説】終わる恋の話【doll番外編】
⚠️こちらの作品は本編の番外編です。本編はこちら。(浮気攻め要素あり)
https://tsukiyo-novel.com/2021/09/10/doll-1/
⚠️亮×葵の破局ストーリーですが、あくまでifストーリーです。本編の最終話で何かが違っていたら訪れていたかもしれない結末を描いています。本編最終話から読むと良いかもしれません。
⚠️ぬるいですが一部性的描写を含みます。18歳未満の方は閲覧・購入をお控え下さいますようお願い致します。
選択ミス
俺は最後の最後で、選択を間違えた。
運命のあの日。翼を騙すべく、翼と連れ立って学校を歩いていた時。
ちょうどタイミング良く現れたあおに、冷たい言葉をぶつけていた。
「もう俺たち終わりにしよう。・・良い加減、ウザいんだよお前!!」
敢えて語気を強めて言った。
一瞬ビクとしたあおだったけど、めげずに俺に縋った。
「亮・・そんなこと、言わないでお願い・・」
目の淵を赤くして、俺に縋りつこうとしてきたあお。その手を冷たく払い落とした。
「俺に触るなよ、泣き虫野郎」
ポロ、とあおの瞳からこぼれ落ちた。それは俺の心に突き刺さった。
苦しくて仕方なかった、でも仕方ないんだ!
「・・亮。うそだ!・・亮は、亮はそんなことは言わない!!」
冷たい俺にメゲることなく、今度は抱きついてきたあお。抱きしめたい気持ちをどうにかねじ伏せ、無理やり引き剥がした。
ここで演技だとバレてはダメだ、全ておじゃんだ!あおを引かせるにはあと一押し、そう思った。
だから言ってしまったんだ。
「お前はなあ、いつもそうだ!ジメジメして、何か困れば俺を頼ってばかり。
俺が今まで迷惑と思ってないとでも?鈍感すぎるぜ。だから翼の方が良くなったんだ。
お前は本当、どうしようもないやつだよ!」
「・・!!」
目を見開いたあお。
さすがに言い過ぎだったか。心臓のバクバクが止まらない。
数秒、間が空いた後。
「・・そっか、そうだよね。何か、ごめん。今まで迷惑、かけて。ふたりの邪魔しちゃった、ごめんね。僕、もう付き纏ったりしないから。鈍感で、やんなっちゃうな。ごめんね。
かえる、ね」
あは・・と哀しい乾いた声で笑い、あおは俺たちに背を向けた。
「・・気づくのが遅いんだよ」
その背中に一言、ダメ押しした。ここまで完璧だった。翼はさすがに俺を信じるだろうと確信した。
でも俺の心もズタズタになっていた。
あお、あとで説明するから。全部嘘だったって言うから、今だけ辛抱してくれ。いくらでも謝るから、俺を許してくれ。
あおの哀しい後ろ姿を、数秒見送り俺と翼はその場を立ち去った。
これが俺とあおの分かれ道だったと、知りもしないで。
『終わる恋の話』
翼に制裁を下し、全て終わらせた後。
俺はあおを必死に探し、駅のホームで捕まえた。
虚ろな瞳で俺を見上げて、そして瞼を閉じた。
元の俺の家に連れて帰って、事情を全て説明した。ソファに2人並んで、今までの発言は全部嘘だったんだと伝えたのだが・・。
「・・そっか・・」
ふ、とほんの少しだけ笑って、それだけ。
嘘だったんだ、良かった!と抱きついてハッピーエンドって感じじゃなかった。
「怒ってるんだよな?さすがにそうだよな、本当、悪かった。俺を許してくれ」
「え?ううん・・そんなことないよ。僕のためだったんだもんね。ありがとね、亮」
そういってぽふ、と俺に抱きついてきた。俺はつい嬉しくなって抱きしめ返そうとしたけれど、あおはぱっと離れていった。
「・・ごめん、なんかちょっと疲れたから寝てくるね」
「ああ、大丈夫か」
「うん」
心なしフラフラと歩いてベッドへと向かっていくあおの後ろ姿は何だか物哀しくて、俺は胸がキュッとなった。
「あお!俺も一緒に・・」
「あ、良いの良いの!ほんと、ちょっと寝るだけだからさ。・・起きたら一緒にゲームとかしようね」
じゃね、と言ってぱたんとドアを締めたあお。
『こっち来ないでね』って・・そういう意味な気もした。
浮かしかけた腰をソファに戻した。
あおに少し違和感を感じていた。
思い描いていたエンドとは少し違うけど、でも俺たち大丈夫だよな?また元通りだよな?例え今はギクシャクしてしまったとしても。
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