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至高のティータイムを味わうには争う必要がある。/台東区根津 SIGNE COFFEE

予約困難な店は数多くある。メディアで「予約は何ヶ月待ち」のように紹介されている店を見ては、一度は訪れてみたいとぼんやりと思う。
しかし、私の記憶力はあんぽんたん。すーーーぐ忘れてしまうのだ。メモを取る習慣がないのが敗因の一つだろう。

しかし今回、いつもはすぐに記憶の隅に追い遣ってしまうその情報も絶対に行きたいと思ったがゆえ、しっかりと情報を仕入れたそばから対策を取った。偉いぞ、私。

今回は根津にある「SIGNE COFFEE」さんのワンプレートを頂いた。本当、本当に至高の時間を過ごさせていただきました。ありがとうございます。
完全予約制、静かなカフェ、最高の空間で頂けるケーキ達。僭越ながらレポさせていただきます。

たった1分の間に埋まる予約枠。

先日、インスタでお洒落なケーキの写真を見つけた。お洒落だ……。語彙力が少ない私はそれ以上の言葉で表すことが出来なかった。しかし、このカフェに行ってみたいという欲だけはむくむくと芽生え、遡ってカフェを調べた。

文京区は根津にある「SIGNE COFFEE」さん。ここは完全予約制、しかもおひとりさま限定というこだわりを持ったカフェだ。その場で予約受付サイトを覗いたところ、全ての日程で満席。定期的にインスタ📷で告知後、数週間分の予約を行っていることがわかった。よし、ならば次の機会に、とその時は意気込んでインスタの通知をオンにしてスマホを閉じた。

そしてたまたま運が良かったのか、あまり待つこと無く数日後に通知を受けた。21時から予約サイトを開ける、とのことだったので20:58にアラームをかけてその時を待つ。


緊張する。

結論を言う。完全敗北。認識甘かったかぁ……。

ものの1,2分で予約が全て埋まってしまった。まじかぁ……。この失敗を経験と学び、次回に向けて対策を考えた。

  1. アラームは3分前にかけるべし(時間を誤ったら全て水の泡だ)

  2. 日付、時間を再度確認すべし(スケジュールの確認を怠るな)

  3. リクルートID、パスワードの入力を的確に行うべし

そう、前回はリクルートのID入力に手間取ったせいで時間がかかってしまった。リクルートのアカウントを使うと情報の入力が簡易になり、時間が非常に短縮できるのだが、初めての予約時にはそんなこともつゆ知らず、テンパってしまいパスワードが思い出せなかったのだ。本当あんぽんたん。

数週間後、ついに考えた対策を発揮する日が来た。静かにその時を待つ。

完全勝利。

ありがとうございます。9/24の一枠を確保できました。

余裕綽々のスケジューリングで痛い目を見る。

当日、午後の一番遅い時間に予約させていただいた。この日は午前に予定があったものの、午後はフリー。上野駅で降りてのんびり散歩がてら向かおうと思っていた。

予約の時間15分前、上野駅にたどり着く。根津までは歩いたことがあるため、丁度いいのではないかと思いながらGoogle mapで経路を検索した。

「徒歩25分」

嘘でしょ遅刻。上野公園横を早歩き+少しの駆け足で通り過ぎる。のんびり散歩計画はどこへ……。

息切れしながらも地図のおかげで迷う事無く「SIGNE COFFEE」さんまで辿り着けた。遅刻は5分程。本当すみませんでした。
汗だくになりながら扉を開ける。既にお客さんが各々紅茶などを楽しんでいるようだ。静かな店内で荒い息をしては目立つと必死に抑えた。奥から出てきてくれた店員さんの対応が最高に天使。遅刻した私にもとても優しい対応をしてくれた。

外観もこじんまりしていて可愛い。

いただきます。

メニュー表

置いてあるメニューがお洒落。汗も引かない中、ドリンクメニューに目を通す。いつもならば迷う事無くコーヒーを選ぶのだが、紅茶が美味しそう…。今回は白桃の紅茶をいただいた。

汗だくのホットは失敗したと思ったけれど美味しかった。

カップに口付ける前から既に甘い白桃の香り。みずみずしい桃を切ったばかりのようなあまぁい香りが鼻をくすぐる。紅茶は渋くない。一息吐いた後でも香る桃が満たしてくれる。

至高のワンプレート

葡萄のショートケーキ

こんなにきれいに塗られている生クリームは初めて見た。

お行儀よく盛り付けられたプレートを前に緊張しながらフォークを手にする。
ケーキを一口。うわ、スポンジは水分多めでしっとり!中に入る葡萄の酸味がすごいおいしい。甘めのスポンジと生クリームが葡萄の酸味で抑えられていい感じに調和される。
中に入る葡萄はたっっっぷり!果実のみずみずしさがすごい。スポンジもしっとりしているけれど、当然ながら果実のみずみずしさがなによりも上回り、果汁が口の中でじゅんわりと溢れる。果汁口の中が満たされた。
しかし、スポンジのしっとり感がすごい好き。後味に残るスポンジの甘さの余韻が本当に心地いい。

ケーキの周り、スポンジがちょっと焦げたところ、なんだここすごい美味しい…。香ばしく、スポンジ自体の味が濃くなってるところが一等やばい。語彙力なくなる。生クリームとの相性抜群。生クリームがスポンジの引き立て役に回っている。この焦げ、すごい。

右端の焦げが本当に絶妙。

ここに白桃紅茶を入れる。思った通り!!さっと紅茶が流してくれて一気にさっぱりする。さっぱりしたところでも白桃の香りが残り、フルーツ畑にいるよう。中に入ってる葡萄もマスカットと巨峰の2種類だと…!!マスカットの甘みばかりに囚われていたけれど、巨峰の美味しさに気が付いた。甘さはマスカットまでとはいかないが、滴るほどの果汁ととほんのりとある渋み、これがいい。

背面まで綺麗。

葡萄のヴェリーヌ

層が綺麗すぎ。

恥ずかしながらヴェリーヌってなに……?、から始まる。調べたところ、グラスの容器に入っているデザートのこと、らしい。この魅惑のグラスに入っているものがヴェリーヌ。一つ賢くなった。

ぷるぷるを伝えたかった。

スプーン入れた瞬間のプルプル感!!透明なゼリーは弾力があり、ねっちりとした感触をスプーン越しに感じる。
葡萄の香り満点!!芳醇な葡萄の甘さが弾ける!!すごいぞ、これ。舌の上でしばらく置いておくと口の中でさらさらと溶けていく。固形を保てている間に、舌で軽く潰して衝撃を与えるとさらさらと消えていく。なんだこのヴェリーヌ……。ゼリーの部分だけですごいおいしい。
ゼリーに透ける葡萄を一つ。すごい、めっちゃみずみずしい!!!ゼリーと食べると満点の水分量!!果肉もじゃくじゃくと筋が切れるような歯応えもあり。種がないから臆することなく噛める。巨峰食べていてたまにがりっとするとテンション下がるよね。

間の白い部分はパンナコッタ。牛乳の香りがすごい強い!生クリームというより、こーーい牛乳。甘さが控えめに感じられるからだからだろうか。私は牛乳だ!!!というような存在感を強く感じられた。芯を持っているパンナコッタだ。
そしてなにより、このパンナコッタが白桃紅茶との相性が抜群にいい。100点満点。紅茶の余韻がまろやかになる。

一番下はとても濃い葡萄のムース。これは酸味があり、甘味が少なめだ。葡萄本来の味を感じるムースだ。なにより葡萄が濃い。
ゼリーからムースまで一息でスプーンを入れる、まずはゼリーのガツンとくる甘さ、次いでムースの酸味がふんわりとやってくる。その酸味が過ぎ去るとパンナコッタのコク、まろやかさでまとめられ、全体を通して葡萄を味わったという満足感に満たされる。
しかし、ムース部分の酸味がクセになる。ケーキも甘いからだろうか、酸味を欲する。さささっと食べてしまっては勿体ない。これは大事に食べなければ。

ワンプレートにある幸せ。

手前の葡萄も絶品。

どれをとっても美味でした。おひとりさま限定ゆえに静かな空間で、ワンプレートにしっかりと向き合えた。その時に感じた味、香り、食感などを書き留めているメモもいつも以上に長かったのは集中して食べられたからだろう。

一つ一つが丁寧に作られていることが本当によくわかるケーキ、ヴェリーヌだった。幸せな甘みで満たされた最高の時間は何物にも代えがたい。予約が瞬時に埋まる理由を体感した。また予約戦争乗り切ってお邪魔したいと思う。本当、大好きなったカフェでした。

空の皿は悲しい。

ごちそうさまです。


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