離島留学 〜移住してみてわかったこと
田舎の小さな集落へ移住するということは、予想はしていたけど、予想以上に大変だった。
もうすぐ11ヶ月が経とうとしている今、やっと安定してきて、俯瞰して見てわかるようになったことがある。
私の場合は留学生という立場であり、島の人たちにしてみれば “期間限定 ”と思われているだろうから、正式な移住となるとまた違うんじゃないかな、と想像するけれど、ささやかでも移住を考えている方の参考になればと思い、私におこったことを書いてみます。
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引っ越して来て3日後、突然玄関のドアがガラガラーと開けられて、見知らぬ子が「遊ぼう!」と息子を誘いに来てくれた。(家の玄関にチャイムはない。ついでに鍵もなかった。。。)
友達ができるか不安だった長男はとっても嬉しかったと思う。 私もそのオープンな感覚にほっこりし、楽しく帰宅した長男の顔を見て、ほっとした。
来てすぐの頃の、嬉しい思い出。
そこからしかし、、、。
いろんな子どもたちが毎日のようにうちに来るようになった。
もともと住んでいたところでも、子どもが行き来する近所のおうちはあった。 小さい頃からの親同士もよく知る関係の子が主であり、そんな関係であっても、お邪魔したときにはお礼の連絡を取り合ったりしていたし、頻度もごくたまにといったところ。 あとは、「我が家にどうぞ」と招いて遊びに来てもらうことくらい。来客の多い家ではなかった。
毎日にように他人が来ることになれていない私にとっては、大きな戸惑いでした。ましてや、我が家にはワンコも一匹いて、神経質ときていて。見知らぬ人が自分のテリトリーに入ってくるなんて、それはもう全力で警戒すべきことであり、 当然 吠える 。
どんなに犬が吠えようとも気にしない子どもたちと、ご近所迷惑を気にする私。怯えるワンコ。我が家はまさにカオス状態。
そして迎えた緊急事態宣言。
都会と比べたら短い期間でしたが、G.W.を挟んだ前後、島の小学校も休校となりました。
観光客が来ない、島の集落の中では危機感は薄く、朝から夕方まで毎日我が家に通い始める子が現れた。 せっかく来た離島、島のいろんなところへ息子たちと行きたいと思っていた私は、いつもそこによその子がいることなどまったく想像していなかった。親切な子どもたちは、地元の子ども遊びスポットをたくさん教えてくれた。とってもありがたかったが、それは自分もいっしょに行くためでもある。
そんなわけで、G.W.はずっと自分の息子2人+島の子数人を私一人が引き連れて遊ぶ日々。息子たちはどっぷり友達と遊ぶ日々を楽しそうにしていたけれど、私は、毎日泥のように疲れて就寝していました。
引っ越して日常生活に自分たちのペースができぬまま、このような生活に陥ってしまい、G.W.が終わる頃には私がすっかり精神的にまいってしまい、大爆発にいたってしまった。しかも最愛の息子たちに。私の悪いクセ。
今から思えば、、見知らぬ土地、見知らぬ人たちばかりの中で 「受け入れてもらいたい」「仲良くしてもらいたい」 などという強い私の甘えと 断るのが苦手な私の性格としての問題がまねいてしまったことだと思っています。
完全に自分のキャパを超えていたし、自分の(我が家の)軸がまるでなかった。子どもたちにも申し訳なかったと思っています。
今も変わらず我が家には友達がやってくるし、大変な日もあるし、大変なこともある。 だけどその度に、子どものために今ここに留学に来たということを自分の中で確認する。そして、私と息子の軸やキャパを確認しあい、そこを一番大切にできるよう立て直す。
そんなことをしながらもがいているうちに、私はよその子のことも、我が子のように可愛く思えるようになった。 我が子のように言いたいことも言えるようになりつつある。
人と人との距離が近い関係の中で暮らし始めて、 人との距離が近いからこそ、
自分の軸をもつこと、自分なりの正解を強くもつことの大切さをしみじみ感じています。
人づきあいのなかに、当然のように遠慮すること、気を使うことがあった今までの暮らしと同じ私では、まったくもってだめになってしまう。
「自分の軸をもつことの大切さは」この小さな集落だからではなく、本当はどこにいても大切なことを、やっと、この濃密な人間関係の中で向き合うきっかけをもらえたのだと思っています。きっと都会なら、なんとなく、それなりにやりすごせたことがやり過ごせなくなった、そんな気がします。
離島留学でここに来たのは、豊かな自然環境の中で、自然との深いつながりをこどもたちに感じてほしかったから。
だけど、一年経ってみて思うことは、自然以上に、人との関係から学ぶことがたくさんあった時間でした。
読んでくださりありがとうございました。
mahalo nui loa