使ってないAndroidタブレットで服薬アラートを作った話
少し物忘れが多くなってきた老母(昭和20年生 現在78歳)から、薬の服用をしょっちゅう忘れてしまう、と相談を受けた。
話を聞くと、毎朝夕服用する薬をつい忘れてしまうのだそうだ。昨年夏ごろから少し物忘れが増えたと感じていたのだが、秋ごろからは直前のことも忘れてしまうなど進行しているようだ。習慣化していても忘れてしまうというはやはり認知症の進行を感じさせる。誰しも寄る年波にはかなわないのだ。
しかし、悲嘆していても仕方ない。自分でできることは自分ですることが進行を遅らせる方法の一つである(と医師にも言われている)のであるが、「忘れないように頑張る」ではやはり防げないだろう。「個人に頼るのではなくシステムで対処する」が我が家の家訓だ。よって、何らかの装置で時間になるとリマインドする仕組は作れないかといくつか実験してみた。
要求仕様としては次のとおりである
時間になると「お薬の時間です」的なことを言う
曜日日時で設定できる。設定は複数できることが望ましい。
安定性が高く、操作や再起動が原則必要ない事
費用はあまりかけたくない。ありものでできればなお結構
似たような事で困っている人も多いと思うので、簡単に他のケースにも応用が利く方法とする
このような方針でいくつか調べてみたところ、Androidで動作するマクロアプリ「MacroDroid」(Google Playで800円、無償使用可)と言うものが良さげだったので、これを使用してマクロを組み、一定時間ごとに服薬を促すアナウンスを流すことにした。
※マクロ……複数の動作をあらかじめ手順としてまとめ、自動実行する機能のこと。
プログラム経験のない私でも、この程度のマクロであればウィザードを使って簡単に出来た。応用すればもっと複雑なこともできそうだが、今回は単純に指定時刻に音声を流すだけにしようと思う。
1.ハードウェア
1.手持ちのAndroidタブレットが使えないか検討
以前に、IP無線アプリ「Zello」を自宅~出先で使用しようとして買ったきり使っていなかった激安Androidタブレットが自宅にあったので、これを使用することにした。
余談になるが、IP無線アプリ「Zello」については、また別の機会に記事を書きたいと思う。とても便利なので。
使用したのはこちら。現在は終売となっているようだが、2023年10月当時の販売価格は10,999円だったので、このあたりの値段の製品で充分かと思う。格安タブレットだけあって反応が若干鈍いが、設定するときだけ触るのでそんなに問題ではないだろう。自宅に使用していないAndroidスマホやAndroidタブレットがあればそれを利用してももちろん問題はない。バージョン等は各自調べて欲しい。
2.サービスの登録
1. Googleアカウントを開設する
このシステムを作るためにGoogleの専用アカウントを作成することは必須ではないが、私は自分のアカウントと分けたいので新たにアカウントを取得した。
3.音声データの作成
1.「ピンポンパンポーン」を探す
いきなり音声を流すと聞き取りにくいので、防災放送みたいな「ピンポンパンポーン」の音源を探す。検索するとフリー音源がたくさんあるので、好きな音を利用されたい。また、ライセンスについては各自ご確認いただきたい。私が利用させていただいたのはこちら。
使用した音素材:OtoLogic(https://otologic.jp)さま
2.服薬アナウンスを合成音声で作る
アナウンスは自分で吹き込んでも良いが、下手な自分の声を入れるのもアレなので、私は下記の合成音声を使用させていただくことにした。
この動画の音声は音読さんを使用しています。
3.音声をミックスする
音声をミックスして、一本の音声ファイルを作成する。ミキサーソフトも多数あるが、私が使っているのはこちら。
Audacityでの編集画面はこちら。
再生したい順にファイルをドラッグ&ドロップすると、各トラックごとに登録されるので、音声ファイルの先頭と末尾をトラック上でドラッグ&ドロップして合わせていく。前のファイルの末尾と次のファイルの先頭が一致すると、縦に黄色いラインが表示されるので参考にされたい。
トラックの位置を合わせたら、音量を調整する。音量は各トラックの左上にあるスライダーを左右にスライドして調整できる。
最後に、ファイルを出力する。
ファイル名は「服薬アナウンス」、形式はAndroidで実行可能な音声形式として「MP3ファイル」を選択、「オーディオオプション」は特に変更不要だが、私は変更してモノラルとした。ほかのオプションはそのままでOK。最後にエクスポートボタンを押すと出力される。
出力されたファイルがこちら。
※こちらの音声ファイルはご自由にお使いいただいて構いません。
最後に、作成した音声ファイルをGoogleドライブにアップロードしておく。
4. MacroDroidをインストールする
Google Playで「MacroDroid」と入力し、インストールする。
なお、Macrodroidは無償でも使用できるが、随時広告が出る。広告をなくしたり制限事項(といっても今回の仕様では不要なのだが)を解除したりするためには、アプリ内から800円を支払う必要がある。このあたり各個人で判断されたい。私は広告がどういう動きをするかわからないので800円支払った。
5. MacroDroidでマクロを設定する
1.マクロの設定
まずマクロ本体を作成する。メニューからMacroDroidのアイコンをタップして起動する。
次に、ホーム画面から「マクロウィザードを追加」を選択する
トリガーの設定を行う。トリガーとは「実行のきっかけとなる動作」のことで、ここでは指定した曜日時刻になったら音声を流したいので、まずトリガーの設定メニューの下から「日時やアラーム」→「指定曜日(複数可)の時刻」を選択する。
指定曜日(月~日)のすべてにチェックを入れ、起動時刻を07:00とした。ここは任意の時刻を入力されたい。
続いて「アクション」を設定する。「アクション」とは、「何の動作をさせるか」という設定である。ここでは「音声を流したい」ので、「メディア」→「サウンドを再生/停止」を選択する。
「サウンドを選択」→「ファイルを選ぶ」を選択して、OKボタンを押す。ファイル選択画面が表示されるので、Googleドライブに保存した音声ファイルを設定する。
最後に「条件」だが、ここは特に設定しなくてよい。
「条件」まで終わったら、右下の✔マークを押してマクロ名を付け、設定を確定させる。設定が終わると、マクロのトップ画面が表示されるので、トリガーの追加したい日時時刻を右上の+マークを押して同じように設定していく。
最後に、「トリガー」をタップし、「トリガーを試す」を実行すると、指定した日時に実行される内容が実行される。
左上の←マークで戻り、設定したマクロのスイッチが右(実行)になっていることを確認する。
また、不必要な動作を防ぐため、機内モードにしておくことをお勧めする。タブレットのリモート操作などを計画している方は、別途調べていただきたい。
6. 効果測定
導入した結果、次のことが分かった。
薬の飲み忘れは減った。(と思う)
毎日アナウンスされることで習慣化ができた
ただし、あまりにも毎日同じ音声が流れるので、「あれ、今日流れてた?」みたいな事態が生じた
音声が若干小さく、テレビの音に負けるので、外付けのスピーカーをつけて大きい音にしたい
7. 費用と設定時間
費用
Androidタブレット代 11000円
MacroDroid 800円
設定時間
Googleアカウント設定 1時間
マクロ設定 1時間
動作試験 その他 1時間
8. 追記
MacroDoroid、と間違って記載していたので訂正。
正しくは「MacroDroid」です。
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