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Mana ~ Hawai'iと共にいた季節
※過去リライト記事(2022年2月当時)
Mana(マナ)というハワイの言葉ある。
日本でもマナ(真名)は様々な意味を持っており、
この言葉は太平洋諸島地域を中心に世界で浸透している。
◇ ◇ ◇
私の30代は、ハワイと密接な人生を過ごした時期だった。
20代は、特にヨーロッパが好きで、
オセアニア、東南アジアなどの海外の国々にもよく訪れていたのだけれど、
ハワイには勝手な観光地的イメージを持っていて、行くことを敬遠していた。
その一方で、20歳代の間で幾つかの本との出会いから、
日本人にあまり知られていないHawai‘iの文化や地域を知ることに。
そして、いつか私はハワイ諸島に頻繁に行くのだろうという想いもあった。
実際、30歳の誕生日に初めてオアフ島とマウイ島に降り立った時から、
毎年のようにハワイの島々で濃密な時間を過ごすことになったのだ。
とはいえ、働き盛りの会社員だった頃なので、毎年2週間程度の休暇を利用して、
無駄なくプランを練ったうえで滞在していた(2週間の休みを頂ける職場環境に感謝しつつ)。
初めてのマウイ島で、最果てのHanaという場所にある、
Hotel HANA-MAUIで過ごしたことは忘れられない。
(現在はハイアット傘下のホテルになってしまったようだが)
◇ ◇ ◇
日本人は、なぜハワイが好きなのか。
日本とハワイとの関係は1839年からはじまり、日系人ハワイアンが生まれていく。
カラカウア国王は、アメリカからの侵略を恐れ、
日本を訪れて、明治天皇にハワイと日本の合併を申し入れたことはあまり知られていない。
ハワイ語は、単純に翻訳しにくい(できない)言語だ。
ハワイアンに生来心に浸透しているという、前述の「マナ(Mana)」という言葉がある。
「魂」「精気」「魔力」など多くの意味がある。「超自然的な力」「奇跡的な力」などの意味もある。
自然にあるものはすべてManaと呼ばれるエネルギーが宿ると信仰されている。
その崇高なManaの取り扱いを誤ると、瞬時に消え去ってしまうと言い伝えられてきた。
そのため、現地のハワイアンはManaが宿る場所をとても大切にしている。
旅行者はルールを守り、敬意を払う必要があるのだ。
◇ ◇ ◇
私はとりわけハワイ島に魅せられ、車を借りて島中を巡った。
多くの人にはハワイは常夏のイメージが強いのだが、
特にハワイ島では四季の変化があることに気づいた。
植物は四季の流れによって変化している。
ヒロの町は一年中梅雨のような雨が降り、万緑の中に静寂なムードを与える。
富士山よりも高いマウナ・ケアとマウナ・ロアには、雪が降り積もり、スキーもできる。
◇ ◇ ◇
ハワイには「カプ(Kapu)」という言葉がある。
Taboo(タブー)がハワイ語化したものだ。
ハワイに住む人は、Kapuの意味を知り、それに従う。
禁止以上に、道徳的に、または法律的にしてはならないという禁令が守られている。
町でKapuのサインを見たときは、その慣習を尊重し、その場所を避けていくべきだ。
ハワイに伝わる神話や伝説の数々は、壮大で、日本神話にも匹敵するほど奥深い魅力がある。
ギリシャ神話に劣らないハワイ神話、
そして、フラやその歌詞からハワイアンの創造性の素晴らしさがわかる。
各島の至る所にヘイアウ(古代神殿)の存在があり、
歴史の古いハワイ島には、特に多くの歴史的なヘイアウが散在している。
日本人が神社仏閣を崇敬するように、
ハワイアンも、ヘイアウを畏敬し、マリヒニ(外来者)にヘイアウを冒されることを嫌悪する。
◇ ◇ ◇
ハワイ文化と共に過ごした30代。
フラを学び、ハワイ島やオアフ島で踊った毎年の秋のステージは私の人生を彩った。
その季節は、遠い思い出になりつつある。
もし、日本がカラカウア大王の申し入れを受けていたなら、
もし、ハワイと日本が一緒の国になっていたなら、
と、時々想像してみたりするのだ。
参考文献:『ハワイ・マナ』中野次郎著,1996
© tsukitoame
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