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炎上覚悟で、正直にお話しします【シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ】

こんにちは、月兎です🌙🐇

私が愛してやまない東京ディズニーシーのアトラクションには「冒険とイマジネーション」というテーマが隠されており、
その要素を引き立たせるために、エリアをも巻き込んだ"乗り物に乗る建前"≒バックグラウンドストーリーが存在します。

例えば「タワー・オブ・テラー」であれば、ニューヨーク市保存協会(=キャスト)によるホテルハイタワーの見学ツアーに、ニューヨーク市民である我々ゲストが参加して、最上階にあるハイタワー3世の部屋まで業務用エレベーター(=乗り物)で向かうことになります。

ついでにもうひとつ、新エリアの「アナとエルサのフローズンジャーニー」。
お城の門が開かれた祝宴パーティー中のアレンデールで、夜のフィヨルドを船で旅する"アレンデールロイヤルツアー"をアナとエルサが考案。
アレンデール全体で開催中のお祭りのハイライトとして、我々異国の民(=ゲスト)はあの船に乗り込み、そこで摩訶不思議な体験をすることになるのです...
キャストさんはアレンデール城の従者としてゲストを船旅に案内してくれます。


こんな感じで、大小問わずいろんなアトラクションがディズニーシーにはありますが、このような設定が敷かれた中でゲストは乗り物に乗り、キャストが予想だにしない冒険を繰り広げてくる...というのが東京ディズニーシーの全てであり、最大の魅力だと考えています。
※書きながら感極まって泣きそう


...ところが。
この神聖なる東京ディズニーシーに、裏切り者がいます。
エリアを巻き込んだ設定を作りこまず、「雰囲気が合ってるから」という理由だけで設置され、乗車中のテーマソングだけでオタクからの評判を得てごまかそうとする裏切り者が。

いくら音楽好きの月兎とはいえ、ディズニーシーのアトラクションには厳しく目を光らせなければいけません。
※いけません?


さあ、今回は忖度なく批判的にお話ししていきます。

このアトラクションが特に好きだよって方は、ここでブラウザバックすることをおすすめします。
というか、してください()

...もうなんのアトラクションかを言う必要もないかと思いますが、締まらないのでちゃんと口にしようと思います。
今回は、アラビアンコーストにある「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」について、月兎の納得のいかないところを正直にお伝えしていきますね。

本記事で私のことを嫌いになる人もいるかもしれませんが、世間に媚びてばっかりじゃなく、正直な評価や感想も伝えることによって、「月兎ってこういうやつなんだな」とより深く理解いただけるかなと思い、今回の執筆に至りました。
ご興味のある方はぜひ読み進めていただけますと幸いです🙇


ここは『アラジン』時空。アラビアンコースト誕生秘話

先ほど申したように、このアトラクションがあるのは「アラビアンコースト」です。
このエリアが一体何者なのか、まずはその説明からしていきます。

言うまでもなく、ここは映画『アラジン』の世界線です。
ディズニーシーには8つの世界線(=テーマポート)があり、パラレルワールドとしてそれぞれ独立して存在しています。
8つのテーマポートを、海や川・泉のような"水"が繋いでおり、橋を渡ったり船(トランジットスチーマーライン)に乗ったりすることで、並行世界をワープすることができる...というのが私のディズニーシーの捉え方です。

▼以前の記事で詳しくお話ししています

なので、アラビアンコーストという世界線には実際にアラジンやジャスミン、ジーニーなど映画のキャラたちが存在します。
サルタン王とジャスミンが住む宮殿も砂漠を歩き回ればどこかにあるわけですね。

じゃあアラビアンコーストってなんなの?という話ですが、
簡単に言うと、ここはサルタン王の新しい別荘です。
アラジンとジャスミンが結婚した後、アラジン・ジャスミン・サルタン王・ジーニーの4人が旅に出かけたんだそう。
砂漠を歩いているとき、4人は砂嵐に巻き込まれます。
お互いに離れ離れになってしまい、ジーニーはそばにあったランプの中に逃げ込んでしまいます。
※このランプがどこから出てきたのかは不明です

サルタン王は身動きがとれなくなってしまい、座り込んでいると、すぐそばにジーニーが逃げたランプを見つけます。
急いでそれを拾い、ランプを擦ることで、ジーニーを助け出すことに成功。
そのお礼に、ジーニーはサルタン王の願いを3つ叶えることを約束します。

1つ目のお願いとして、サルタン王は「アラジンとジャスミンと合流したい」と言い、無事4人は再開。
そして2つ目に、「この砂漠の地に、新たなまちを作りたい」とジーニーにお願いします。そう、それがアラビアンコーストという場所なのです。
※つまり元々ここはただの砂漠ってこと!?

最後3つ目は、「ジーニーの好きなことをやっていいよ」と、かつてのアラジンのようにサルタン王はジーニーに言い渡します。
その結果出来上がったのが、あの「マジックランプシアター」です。
※てことはあのショーのストーリーって全部ジーニーの出来レースってことですよね...


...これがアラビアンコーストの誕生秘話。
「キャラバンカルーセル」や「ジャスミンのフライングカーペット」には、そこからさらに細かなストーリーが展開されています。

それならシンドバッドにも...と言いたいところなのですが、残念ながらアラビアンコーストとの関わり、映画『アラジン』との関わりがほぼ見られないのです。



「千夜一夜物語」つながりで...あれ?

先ほど述べたアラビアンコースト誕生の話や、アラジンなど映画に登場するキャラクターにちなんだバックグラウンドストーリーが存在しないこのアトラクション。
こうなったら、ディズニーと関係のないところから無理やり繋げていくしかありません。
※なんの強迫観念?笑

モチーフになっているのはみなさんご存知、「シンドバッドの冒険」。
ペルシャの王に妻のシェヘラザードが毎晩話して聞かせた、大小さまざまなお話をまとめたものを「千夜一夜物語」と呼び、そのうちの代表作こそ「シンドバッドの冒険」なのです。

「千夜一夜物語」にはこの「シンドバッドの冒険」のほか、「アラジンと魔法のランプ」もあります。
...そう、映画『アラジン』の原作です。


もうこの時点で、勘のいい方は嫌な予感を感じているはず。
アラビアンコーストにシンドバッドのアトラクションがあることは、「アラジンと魔法のランプ」の物語の中に「シンドバッドの冒険」の話が含まれていることを意味しているのです。

どっちも違和感が…

千夜一夜物語の中にある独立した2つの物語が、ごっちゃに混ぜられてしまっています。

両者を共存させる仮説として、以下の2つの観点で考えてみましょう。

  1. アラジンたちアラビアンコーストの民が、「シンドバッドの冒険」をひとつの物語として知っている

  2. アラビアンコーストにアラジンたちが存在するように、シンドバッドに登場するキャラもアラビアンコーストに存在している

1つ目の仮説は...なかなか考えづらいですよね。
千夜一夜物語の中の「アラジンと魔法のランプ」に登場するアラジンが、同じく千夜一夜物語の中の「シンドバッドの冒険」に登場するシンドバッドを知っているとは到底思えません。

じゃあ2つ目のほう?ってなるわけですが、この仮説を支持するなら他のアトラクション同様、アラビアンコーストにおけるこのアトラクションの"立ち位置(設定)"がしっかりないといけません。
例えば、(今適当に考えましたが)アラビアンコーストの船乗りたちがゲストたちに船を貸して、シンドバッドの航海をサポートするよう声をかけた、みたいに。
...さすがに無理がありますね。
もしかして私の知識不足かもしれませんが、こういうエリアを巻き込んだ設定はこのアトラクションにはないはずです。

降り場手前のこのメッセージもヒントかと思いきや…何もわからず。


ということで、上記2つの仮説を支持できない以上、なんとなくふわっと存在しているアトラクションと結論づけざるを得ません。

アラジンのテーマポートを作ろう→アラジンといえば千夜一夜物語の短編の一つ→ならシンドバッドのアトラクションも作っちゃえ!
...私の感覚が世間とずれてるだけだと思いますが、これではエリアとアトラクションの関連性が薄すぎるように感じます。
だってここはディズニーシーですよ!?ランドじゃないんですよ!?!()

おとぎ話を集めたエリアを作ろう→ここならピノキオとか白雪姫のアトラクションを入れられるね→ファンタジーランドの誕生
...とまるで同じではないですか。
ランドはなんでもありなので許しますが(何様)、シーでこれをやられると、すっごくモヤモヤします。
※お前だけだぞ


もしかしたら言われるかなと思ったので先に述べておきますが、「じゃあファンタジースプリングスってどうなんだよ!?」について。

確かに一つのエリア内に全然関係ないディズニー作品のアトラクションが点在していますが、あのエリアには「泉の精霊が物語を再現する」という巧妙でずるい設定が敷かれているため、同じエリア内だけど独立した3つの世界にきっちり分けられています。
(SNS上でちらっと見た噂ですが)例えばアレンデールの住民たち(=キャストさん)は、すぐ隣のネバーランドのことを全く知らないんだそう。
同じエリア内だけど、それぞれが独立している設定というのは、これはこれで辻褄が合っているのです。
※ずるいけどね

そんなわけで、ディズニーシーに存在する価値を見失ってしまった(※当社比)シンドバッドくん。
最後の可能性として、「冒険とイマジネーション」の公式に当てはまるのか考えていきたいと思います。


「冒険とイマジネーション」要素を考えてみる

"May Fortune Be With You!"…スターウォーズパロディ!?

ディズニーシーの公式ともいえる「冒険とイマジネーション」。
この公式を以前の記事で言語化しているので、久しぶりに引用してみます。

  • ゲストはよそから来た「冒険者」である・・・①

  • キャスト(従業員)にも役割があり、ゲストの旅をエスコートする存在である・・・②

  • ゲストがアトラクションで目の当たりにする体験は、当初予定されていたものではない・・・③

  • ゲストのイマジネーション(想像力)によって、誰も予期せぬ大冒険をすることになる・・・④

前項までの話から、①と②の要素はほぼこのアトラクションにはないことがわかります。
だってアラビアンコーストや『アラジン』との関わりがないからね。

まずは④から考えていきます。
ここでいうイマジネーション(想像力)とは、"感情"とイコールだと捉えてもらえればと思います。
ソアリンであれば"空を飛ぶことへの憧れ"、タワテラであれば"呪いへの恐怖"、フローズンジャーニーなら"真実の愛"...のように。
これら"感情"が高ぶることによって想定外の出来事を引き起こす、といういつもの話ですね。

では、シンドバッドの場合はなんなのか?
私は"友情"だと考えています。

みんな大好き出口メッセージ

正直、待ち列(キューライン)に"友情"を醸成するような演出がほぼないので既にかなり微妙なんですが、まあよしとしましょう。
※上で挙げたような大型アトラクションたちにはちゃんと"感情"を醸成するためのキューラインが用意されてますよね。つまりそういうことです()

この"友情"がゲストの中で高ぶったと仮定します。
その影響で、③の"想定外の出来事"が...起こってるんでしょうか??

何度も申している通り、このアトラクションは「シンドバッドの冒険」をモチーフにした内容で、すでにお話としては誰もが知っているものを追体験するに過ぎません。
※そういえばリニューアルの話をこれまでしていませんでしたが、リニューアル前の「セブンヴォヤッジ」のほうが原作に忠実な内容だったので、いずれにせよ私の意見は変わりません。リニューアルしてもアラビアンコーストとの関わりについて言及した設定は追加されませんでしたね...

キューラインを見回してみても、「これからあなたたちにはこのシーンを追体験してもらうよ!」というポスターばかり。
むしろ想定内じゃねぇか!って話です。

センター・オブ・ジ・アースのように、展示されている研究物が"たまたま"乗車中に見つかるのとは訳が違います。
シンドバッドにおける↑のようなポスターは、「伏線」ではなく、ただの「ネタバレ」です。

このように、なんと「冒険とイマジネーション」要素もほとんど見当たらないのです...
いつもならこじつけでも見出してみなさんにご紹介するのですが、このアトラクションばっかりはどうしても思い当たりませんでした。


バックグラウンドストーリーにちょっとでもアラジンやジャスミンが絡んでいればこんなことにはならなかったのに...と思わずにはいられません。
実際のところ、ラストシーンでシンドバッドの船に「隠れアラジン&ジャスミン」がいるくらいで、隠れミッキーと同じただのファンサービスです。

この地図からどう考察しろって言うんだい!?



というわけで、ディズニーシーで唯一許すことのできないアトラクション、「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」についてでした。
自分のできる限りこのアトラクションを救おうと思ったんですが、力不足だったようです...

このアトラクション、Dオタに聞けば99%好きって回答が返ってきますけど、その理由って「コンパスオブユアハートがいい」「チャンドゥがかわいい」以外にないじゃないですか。
それでいいのか...いいのかぁ...😢

ディズニーシーを心から愛しているがゆえに、このような厳しい内容になってしまいました。
嫌いになりたくてなったわけではないので、みなさんが思うこのアトラクションの良い点をぜひ教えてください!
もしかしたらアラビアンコーストとの深い関わりに、知識不足がゆえに気づいてないだけかもしれないので、博識高いみなさんからのコメントお待ちしております🙏
※千夜一夜物語の原作のほうも読み進めていたのですが、たぶん謎は解けないだろうと踏み、途中で読むのを諦めてしまった経緯があります


...そして、これを読んで不快な思いをされたみなさま、大変申し訳ございませんでした。
この記事を書くために、たぶん一生分のシンドバッドに乗りましたが笑、二度と乗らないと言っているわけではないので、私と同行いただける物好きな方がもしいらっしゃれば、どうか気を遣わずこのアトラクションにいざなってくださいね(←どんな誘い文句やねんw)

なお、もしこのアトラクションがランドにあれば評価はだいぶ変わってました。
なぜなら曲がいいから。
月兎ってこういう人間なんです🧞‍♂️


それでは、またのご来航お待ちしております⛵️
よい冒険を🌏

※参考文献
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E5%A4%9C%E4%B8%80%E5%A4%9C%E7%89%A9%E8%AA%9E
https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/191031_2/


*10/22追記
この記事を投稿した翌日、なんと「ひろひろ」先生が本記事のカウンターパンチを提示してくれました...!!!👏👏
月兎が疑問に感じているところを、あまりにも綺麗に回答してくださってます!!
本記事と、必ずあわせてお読みください!衝撃すぎて飛びます!()

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