"神視点"の航海に旅立とう【ディズニーシー・トランジットスチーマーライン】
こんにちは、月兎です🌙🐇
ディズニーシーというテーマパークは8つのエリア(テーマポート)に分けられ、それぞれ基本的には独立した世界です。
各エリアに住む人々(キャストさんなど)は他のテーマポートのことを知りませんし、私たちが現実世界以外のパラレルワールドは存在しないと信じているように、彼らにとって彼らが住む世界がすべてだと認識しています。
※一部例外がいる&諸説あり
一方、我々ゲストは「冒険者」として8つのパラレルワールドをワープできる存在です。
1912年のアメリカも、19世紀後半のイタリアも、1930年代の中央アメリカも、"同時に"行き来することができます。こう考えると不思議な空間ですね。
そんな摩訶不思議な時空移動を、橋などを渡って歩くことでも実現できますが、もう一つ、海を渡って世界線を超えるという方法があります。
...それを実現する神アトラクションこそ、みなさんご存知、「ディズニーシー・トランジットスチーマーライン」です。
ファンタジースプリングス以外の7つのテーマポートを通って移動するこちらの船。
このアトラクションを紐解くと、ディズニーシー全体を考察することに繋がってきます。
よって本記事では、トランジットスチーマーラインから推察できる妄想ポイントをご紹介し、東京ディズニーシーを改めて概観していこうと思います。
「ファンタジースプリングスに疲れずに移動するための裏ワザ!」みたいな感じでよく紹介されてますが、ただの移動アトラクションとしか捉えてない人は一回黙っててください(←急に辛辣になるやん)
いちアトラクションとして面白いんだぞ、ということがこの記事で伝われば幸いです。
なお、今に始まった話ではありませんが、特に本記事の内容はほっっっとんどが月兎による妄想です。
公式設定に触れている部分はごく一部ですのでご理解いただくとともに、「またなんか言ってらぁ」くらいの心持ちでお読みいただきますようお願い申し上げます。
ではさっそく本編参りましょう。
なぜロストリバーデルタ行きなのか?
メディテレーニアンハーバー、アメリカンウォーターフロント、ロストリバーデルタに船着場があるこちらのアトラクション。
一周運航のアメフロは一旦置いておいて、まずは片道運航の2つのドックについてです。
メディテレーニアンハーバーの船着場は、「ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテ」の目の前に位置しています。
ザンビーニ兄弟はメディテレーニアンハーバーの大地主で、レストランを経営しているほか、ワインやオリーブオイルの製造・販売も行っているのですが、
それらを船で運ぶ役目も、このトランジットスチーマーラインは担っているんですね。
貿易品の話は次の項で詳しくお話ししますので、ここでは船で運ぶ"人"について。
我々ゲストを乗せて、なぜロストリバーデルタに向かうのか?を考察します。
これを読み解くヒントは、各エリアにおけるゲストの"立ち位置"です。
メディテレーニアンハーバーは19世紀後半のイタリアモチーフのエリアですが、おそらくゲストはここの住民ではありません。よそから来た"観光客"です。
なんてったって「ホテルミラコスタ」という宿泊施設があるわけですし。
このエリアでゲストを迎え入れてくれるキャストさんやカメリア・ファルコさんなんかは、イタリア語が通じないことがわかったうえで「ボンジョルノ!」ってゲストに挨拶してるのではないでしょうか。
大前提としてディズニーシーの"冒険者"であるうえで、このエリアでは私たちは"観光客"なわけです。
そんな中、別の時代の別の地域で観光客が押し寄せる注目スポットがあるということで、船を使ったクルーズツアーを始めたらいいのでは?...というのがメディテレーニアンハーバー発のトランジットスチーマーラインの背景になります。
もうお察しかと思いますが、観光客が押し寄せるそのスポットこそ、クリスタルスカルの魔宮で話題になっているロストリバーデルタなのです。
ロストリバーデルタにおけるゲストの立ち位置も同じく"観光客"。
単にパークの手前と奥側を繋ぐという立地的な意味以上に、ゲストの立ち位置が同じだから、船に乗る地と降り立つ地に不整合が生じないという設定上の意味があって、メディテレーニアンハーバーとロストリバーデルタの片道運航コースが誕生したのではないか、と私は考えます。
ちなみに他のエリアにおけるゲストの立ち位置に触れていくと、
アメリカンウォーターフロントはニューヨーク市民・ケープコッド村民であり(※本当はよそから来てるが現地住民にそう認識される)、ポートディスカバリーはアメフロからタイムスリップしてきたニューヨーク市民・ケープコッド村民、そしてミステリアスアイランドはネモ船長に招待された科学者です(※おおっぴらに門を開けず、限られた人しかこの秘密基地に入れない)。
アラビアンコーストとマーメイドラグーンはたしかに観光客とも捉えられますが、物語の世界線なので、"偶然迷い込んでしまったいちモブキャラ"という言い方が正しいですかね。船に乗ってズカズカと入って降り立つのはなんか違います。
...といった感じで、7つのテーマポートを巡る船旅とはいえ、乗り降りするデッキを作るにはメディテレーニアンハーバーとロストリバーデルタがやはり適任だなぁと思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか?
異なる時代・地域の貿易品が"今"流通する
"人"についてお話ししたので、今度は"モノ"について。
まあこれはバックグラウンドストーリー好きな皆さんであればご存知、トランジットスチーマーラインが貿易船として機能しているという話です。
まずはそれぞれの船着場から何を運んでいるのか整理します。
メディテレーニアンハーバー→ワイン、オリーブオイル
アメリカンウォーターフロント→タラ
ロストリバーデルタ→神殿や遺跡から発掘された出土品
まあ他にもあるでしょうが、公式が言及してるのはこれらです(他にもあったら教えてください)。
こういったエリアごとの特産品?を各エリアに流通させることで、それぞれの文化が花開き発達する...という類の考察が多く見受けられますが、よくよく考えると、これってかなり不可解な現象です。
なぜなら、各エリアの年代が、"今"という時間軸でストップしているからです。
何言ってんのお前?って感じですね笑
わかりやすく説明するのが難しいのですが、もうちょいご辛抱ください。
例えばメディテレーニアンハーバーであれば19世紀後半。ミステリアスアイランドはそれよりも10年ほど前の時代。
アメリカンウォーターフロントは20世紀初頭(1912年)。ポートディスカバリーはそこからはるか先の時代。
ロストリバーデルタは1930年代。それ以外のエリアはわかりません。
...とにかく何が言いたいかというと、それぞれ別々の時代なのに、トランジットスチーマーラインがそれぞれの世界を"同時に"行き来している、という点に着目していただきたいのです。
※伝われ
もう少し補足すると、1912年のニューヨークだろうと、1930年代の中央アメリカだろうと、トランジットスチーマーラインの船長さんや我々ゲストにとってはすべて"今"である、ということ。
それぞれの世界線に住む人々は「今は〜年だね!」という共通認識がありますが、縦横無尽に世界線を駆け巡るゲストにとって、今が何年かというのは無意味な議論なのです。
であるならば。
現実世界の歴史とディズニーシーの各世界線の歴史は、似て非なるものであると言わざるを得ません。
イスラム圏のダウ船から大航海時代へ、そしてアメリカ大陸の発見とアメリカ合衆国の独立、産業革命につながる...というのが何百年もかけて紡がれてきた現実世界の歴史ですが、
例えばアメリカンウォーターフロントの歴史に、アラビアンコーストやメディテレーニアンハーバーと「過去に」交易があったかどうかなんてわかりません(月兎理論でいくと、地域と時代が違うだけでなくそもそも世界線が違うため、一部の人を除いて他テーマポートの存在を認識していない)。
我々が観測できるのは、アラジンの物語の世界線と、19世紀後半のイタリアの港町と、1912年のニューヨークというパラレルワールドが"今"存在しているという事実だけ。
それはつまり、8世紀〜15世紀あたりに発達した古き良きイスラムの建築や文化と、19世紀に製造したワインやオリーブと、船が発達した世界で撹乱したタラが、"とある時点(今)"でリアルタイムに交易されていることを意味します。
めちゃくちゃ奇妙じゃないですか...?
でも、そのおかげで、現実世界に比べると技術や文化が成熟しやすいという面もあるのかもしれません。
ミステリアスアイランドは確かに一部の人しか入れない秘密基地ですが、トランジットスチーマーラインはそんなこともお構いなしにクソデカ汽笛を鳴らしながらあのカルデラを横切っていきます。
いくらネモ船長が「ここで目にしたことは秘密にしておいてくれたまえ」と言ったとしても、この船が他のエリアにもたらす影響力は強く、海底2万マイルで使われる「アクアフォン」の技術が、アメリカンウォーターフロントにて「ハイドロフォン」として成熟する...
そんな妄想もできるんじゃないかなぁと、個人的にはニヤニヤしております。
...ちょっとトランジットスチーマーラインから脱線してしまったかもしれませんが、「冒険者」である我々と同じ"神目線"で移動するこの船が貿易品を運ぶということの意味について、だらだらと考察してみました。
マリーントランジットサービスと無線通信
ここまでの話は、「うん、そうだね」くらいの考察・妄想かと思いますが、今回特にみなさんに力説したかったのはここから。
無線通信から読み解ける、小さな「冒険とイマジネーション」という要素について、最後にお話ししようと思います。
このアトラクションに乗ると、「マリーントランジットサービス」による無線放送が船内に流れ、エリアごとの軽快なBGMとともに、トミー・フィッシャーさんもしくはケリー・クルーズさんというディズニーシー屈指の謎人物によるアナウンスを聴くことができます。
7つのテーマポートを見ながらそれぞれのエリアについて簡単な解説をしてくれるので、ディズニーシー初心者の方にはほんとにおすすめのアトラクションだなぁ...なんてぽやぽやしていたんですが、
実は、この無線放送こそが、"ディズニーシーらしさ"を添える重要要素だと最近よく思うのです。
メディテレーニアンハーバーとロストリバーデルタから出る片道運航だと、トミー・フィッシャーさんの無線放送を聴くことができ、特に滞りなく彼の解説が船内に流れます。
問題なのはアメリカンウォーターフロント発の一周運航のほう。
こちらはケリー・クルーズさんによる無線放送なのですが、彼女の解説とBGMだけでなく、別の通信が混線して、マリーントランジットサービスとは全く無関係な音声・ラジオが聴こえてしまうのです。
「へぇ〜そうなんだー」というトリビアでこの話を終わらせてもいいんですが、ちょっと待ってください!
無線通信が混線するとは一体どういう現象なのか、まずはちょーーー簡単に説明します。
無線、もっと言うと船舶無線とは、船舶の安全航行確保に用いられる業務無線の総称です。
※Wikipedia先輩より
ただ、安全航行確保のためだけでなく、それこそトランジットスチーマーラインのように観光ビジネスとして利用されてきた歴史も(現実世界では)あります。
船舶に無線電信機を取り付け、通信試験を行うようになったのは1897年。
無線通信を開発し、ビジネス的に取り入れ始める火付け役になったのは、イタリアの発明家であるグリエルモ・マルコーニという人物です。
イタリア、19世紀の終わり...?
さっき現実世界とディズニーシー世界では歴史が違うと言い放った直後に手のひらクルクルしますが、どうしてもメディテレーニアンハーバーと重ねて考えてしまいますね。。
マリーントランジットサービスが仮にメディテレーニアンハーバーの会社?団体?だとしたら、無線通信の技術力はまだまだ初期段階の技術(※)を使っていると考えられます。
※「4,000kHzから26,175kHzまでの周波数帯」の"短波帯"と呼ばれる電波を使用したもので、衛星が発明されるまではこれが主流だったそう。混線や雑音が多く送受できる情報量も少ない、品質のよくない周波数帯。
話を無線に戻しますが、電波の送受信をする際、周波数が同じだったり隣接したりすると、電波が混じって正常な送受信ができなくなるんだそう。
これが無線の混線という現象です。
しかし、いろいろな周波数を用いた新しい無線が発明され、技術が進歩すればするほど混線しづらくなります。
...ディズニーのデの字もないくそつまらん解説を挟みましたが笑、これを踏まえてトランジットスチーマーラインの混線を考えます。
アメリカンウォーターフロントから出発し、合計3か所で混線が起きるのですが、
まずはポートディスカバリーの混線から。
...おい、なんで未来のマリーナで使われてる無線を、19世紀終わりの受信機が傍受すんねん!って話です。
※こんなツッコミしてるやつ絶対他にいないけど
さっきも話した通り、技術が進歩すれば周波数がぶつかることはまずなく、正しい受信機に電波が届くはずなのです。
ポートディスカバリーは何年代かは知りませんが、スーパーマッドなマテリアルが作られ、魚と同じ大きさになって海底探索をする、めちゃくちゃハイテクな世界です。
その世界線で、依然として古い技術の無線通信が使われているとは到底思えないのですが...なぜかマリーントランジットサービスの受信機がこれを傍受してしまいます。
しかも、内容がなんて業務的なんだ...()
はい、次にロストリバーデルタです。
ここは年代も近いし技術力も同じくらいだと思えば、混線してしまうのはまだわかるのですが、いろんなものが混線しすぎです。
謎の女性のセリフ、まじでめちゃくちゃ謎ですよね笑
あとパコのセリフは「ユカタンベースキャンプグリル」でも聞ける、魔宮ツアーのラジオCMになります。
では最後、ミステリアスアイランド。
これ、どう考えてもネモクルーは海底調査中ですよね。
ということは、、潜水艇でネモクルーが調査中、「アクアフォン」を利用してネモ船長と会話していると考えるのが筋ではないでしょうか?
ところが。
アクアフォンで伝わる声って、電波じゃなくて、音波なんです......笑笑
音波を利用したアクアフォンの音声を、無線(電波)を使っているはずのマリーントランジットサービスの受信機が傍受してしまっています...
こればっかりは、本当にありえない現象だと強く言えるのではないでしょうか。
もうおわかりでしょう。
この無線放送の混線こそ、トランジットスチーマーラインにおけるありえない現象、つまり"想定外の出来事"だと捉えられるのです。
まあ、そんな大した出来事ではないですけどね。
それよりもメインとなる"ハイライト"は、複数の世界線をいとも簡単に飛び越える行為にありますので、あくまで無線の混線は小さな"ハイライト"だと捉えてもらえたらと思います。
ん?じゃあこのアトラクションにおける「イマジネーション」とは具体的に何かって??よく私の記事を読んでくれてて嬉しいなぁ😙(一人芝居やめなさい)
それはもちろん、ディズニーシーの理念と同じ、「未知の場所へ踏み出す冒険心」です。
アトラクション名に"ディズニーシー"が冠してある以上、ディズニーシーのメタ的存在であると同時に、ディズニーシーのテーマをそのまま踏襲した神アトラクションであると、シーオタクの私は思わずにいられません。
いかがでしたでしょうか?
ちょっとわかりにくかったですね、、申し訳ございません🙇💦
パラレルワールドや時空間移動について、無線通信についての話をちゃんとしようとすると、(量子)物理学の知識が必要になってくるので、ド文系の私にはうまく説明する能力がありませんでした...
それでも私のトランジットスチーマーライン愛を届けることで、ただの移動手段としてではなく、ひとつのアトラクション(魅力)として少しでも多くの人に捉えてもらえたら、この上ない幸せはありません。
ぜひ今度乗るときは、いろんな妄想を膨らませながら、時空を超えた異次元の船旅を楽しんできてくださいね。
それでは、またのご来航お待ちしております⛵️
よい冒険を🌏
【参考】
https://www.mlit.go.jp/common/001299753.pdf
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E8%88%B6%E7%84%A1%E7%B7%9A
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%8B
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E6%B3%A2%E5%B8%AF
https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/190927/
https://castel.jp/p/7203
〈お知らせ1〉
11/7(木)の15:05、東京ディズニーランドで行われていたハロウィーンのスペシャルパレード、「ザ・ヴィランズ・ハロウィーン“Into the Frenzy”」のテーマ曲『MAKING MAGIC DAY AND NIGHT!』を私のYouTubeチャンネルでアップしました!!!🎉
この秋、月兎の心を何よりも弾ませてくれたこのパレードに、感謝を込めて、誠心誠意細かいところまで、とことんこだわって作りました。
自分ができる最大限の恩返しを、ぜひ聴いていただけると幸いです。
いいなと思っていただけたら、高評価や曲の感想・コメントお待ちしております。10メートルくらい跳び上がって喜びます。
相当な労力をかけて丁寧に作りきった、大事な宝物に仕上がりましたので、3分ちょっとだけ、耳を傾けてやってください。
どうぞよろしくお願いいたします!
🎃MAKING MAGIC DAY AND NIGHT!🦇
作曲:Adam Gubman & Danny Elfman
編曲:月兎
ジャケット画像:Chat GPTにより作成
参考:CAFUNE-かふね- 様
▼音源はこちら
〈お知らせ2〉
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