くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン・復活過去4回の変遷を見る
くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン。
2005年7月から3年半にわたって放送され、全159回の放送後、終了した今でも根強い人気があるラジオ番組です。
番組終了後、2016年、7年半ぶりに単発で復活してから、過去4回放送されてきました。
先日、2020年9月22日火曜日に、復活後第5回目となる放送があるとアナウンスされ、私を含めたリスナーは歓喜に沸きました。
くりぃむしちゅーのオールナイトニッポンには、ある程度パッケージ化されている、 つうといえばかあといったお決まりの流れがあります。
例えば、ラジオネームがお下品なのを上田さんが突っ込んだり。一回お休みの回があるとき、あたかも番組が終了するような「お知らせ」をしたり(一回休みって言え)。
そんな「お決まりの下り」は、レギュラーで放送されていた当時、数多く生み出されたもので、復活後の過去4回でも、その流れの多くが踏襲されています。
それは、復活して最初の放送であった第160回の、番組の方向性によるものです。
番組の構成作家、石川さんが自身のラジオ番組、Be-SIDE Your Life!で、160回目の放送の構成について、
「復活に際して、初めて聞く人にわかりやすい放送ではなく、当時聞いていた人、後追いで聞いた人が喜んでくれるような、幕の内弁当的な放送を目指した」
と発言されていました。
ああ、こんな流れあったよね!とにやにやできる放送。
番組の復活を待ちわびていた人間にとって、これ以上なく嬉しい体験でした。
その後、2016年12月に、復活第二回目となる161回、2017年6月に162回、2018年8月に163回が放送されるなど、復活の単発放送も常套化しつつあります。
全159回のレギュラー放送後、復活を遂げたくりぃむしちゅーのオールナイトニッポンが、4回でどのように変遷していったのか。今回の記事では、過去の放送を振り返ることで、第5回の放送に備えるための一助となればと思います。(お決まりのパターンの詳しい説明については、放送内容をまとめたHP・およびまとめwikiにまとまった解説がありますので、調べてみてください)
復活後放送の大きな流れについて
復活後の放送には、大きな番組の流れがあります。
有田さんの「まいったね」で始まる(161回は例外的に「スターダストナイト」からはじまり、「まいったね」に流れた)
↓
簡単な近況報告(結婚、ドラマ出演など)
↓
リスナーのメール紹介(パネエ質問or下ネタラジオネーム)
↓
フリートーク
↓
熊本地震へのチャリティに関するお知らせ
↓
コーナーゾーン
例えてガッテン
上田相談員の一単語人生相談
有田哲平の魂のリクエスト
↓
エンディング
ざっくりと、この枠組みで進行されています。
もともとレギュラー放送時でも、チャリティのお知らせの部分を除いて、この大きな枠組みのなかで進行されていましたが、プロレスについて熱く語ったり、高校時代の思い出話などをして、時間が押した結果コーナーができなかったことも多く、その進行は常に流動的でした。
長年深夜でレギュラー番組だったくりぃむナンチャラのインタビューでも言われていましたが、くりぃむしちゅーは、面白いと思ったらその場で方向性を変え、それを成立させることに長けたコンビです。しかし、復活後は、熊本地震のチャリティのお知らせをすることが大きな軸のひとつであるため、そこの部分は固定として、割りと枠組みに忠実に進行している印象があります。そのなかでも、回を追うごとに、少しずつ変化していった、その変遷を、今回は見てみたいと思います。
第160回(2016年6月17日放送)
前述の「幕の内弁当」的な放送になっており、以降の放送回のベースとなっています。レギュラー回との差違ですが、7年半前にレギュラー放送をしていたこと、当時のスタッフの近況、振り返りとしての、往年のエピソードをリスナーに確認するように、丁寧に話していた印象があります(おふたり、特に上田さんがあまり当時のことを覚えていなくて、お決まりの下りを何となくでやるところも含めて、当時の空気感を確認するように進行していたように思う)。思い起こせば、2005年の第一回放送でも、冒頭、自分たちが熊本出身であると言うこと、知ってる?24時。と目からウロコ!21という前番組をずっとやっていたこと、その更に前にやっていた女子高生サイコー!?裁判SHOW!!でラジオなのに罰ゲームで頭を丸めさせられたというエピソードを披露することで「くりぃむしちゅー」というコンビとニッポン放送との関わりをエピソードに絡めて伝えていました。内輪ネタの多いくりぃむしちゅーのオールナイトニッポンにあって、ある程度の説明不足は仕方がないにしろ、少なくとも伝わりやすいように、分かりやすいように、と話すお二人の心がけというか、トーク力がよく分かる回になっていると思います(もう少し付け加えると、レギュラー時第119回ますだおかだゲスト・昭和プロレスについてコアに語る回で、コアなプロレス談義になりそうなところを、有田さんが「最初は分かりやすいテーマがいいよ」と、プロレスをよく知らないひとに対する気遣いを見せたところがあり、当時聞いていて、「なるべく多くの人に伝えようって思ってらっしゃるんだなあ」と思った記憶があります)。この回で個人的に特出したいシーンは、有魂リクで番組のエンディングテーマ「夢で逢えたら」を歌ってくれたことで、聞いていて、本当にグッと来ました。ごめんなさい、余談です。
第161回(2016年12月6日放送)
有田さんが、放送前にしゃべくり007で結婚を発表したということで、結婚に関するリスナーからのメールからトークが派生、上田さんが下ネタのラジオネームやいわゆる「パネエ質問」に突っ込むことに移行していきます。
冬、12月の放送であったこともあり、オープニングがスターダストナイト始まりという、復活4回の中では貴重な回でもあります。
前回160回に比べて、すこし上田さんの突っ込みが強めかな、カリカリしてらっしゃるなという印象はありますが、雰囲気はレギュラー時に近づいた印象がありました。
結婚したあとで、エロ動画はどこで見るのがいいのか?という有田さんの問いに「トイレでちゃちゃっとね」、有田さんに子供ができたら名前を精子漏にしろ、というメールに乗っかったり、玉湯のネタを読んだりと、ボケたがり(番組的な言い回しでは「おいじりをいただきたい」)上田さんの一面がよくでていて、強め突っ込みとのコントラストが美しい回でした。
第162回(2017年5月29日放送)
「まいったね」始まり。「清水寺か、まいってばっかいっけども」という上田さんのブッコミも開幕からあります。
有田さんがドラマ・わにとかげぎすに出演リしていた時期の放送であったため、その話にもすこし触れつつ(名物マネージャーババア大橋社長の「ドラマのスケジュールをいっぱいいっぱいに入れられた、相変わらず飛ばしてはくれてる」エピソードも加えつつ)、リスナーからの質問に答える流れは今までの回と同じなのですが、「おちんちんは謙譲語ですか?」というメールに答える形で、【大臣クラスの人に対しては、おちんちんについてどう呼称すべきなのか】、「むちゃぶり」に代表される、くりぃむしちゅー得意のコント風トークが長尺で聞ける、過去2回にはなかった「お決まりの流れ」を聞くことのできた回になっています。振られた上田さんから「御チン・粗チン」という名フレーズも新たに誕生したほか、前回から常套コーナーに加えられた「一単語人生相談」のコーナーで「前へ前へとでたがる有田進行役」のせいで全くハガキが読まれないまま終わる、という、レギュラー時のお約束も1年を経て叶う回となりました。
第163回(2018年8月31日放送)
「まいったね」に始まり、「清水寺か、まいってばっかいやがって」の下りは162回と同様。有田さんが朝ドラ「半分、青い」に出演していたため、ドラマの裏話をする・・・という話の入り口で、二人の高校時代によく通っていた中華料理屋「桃花園」の思い出話に。店の名物ご夫婦、「トーバア・トージイ」が話にでてきたとき、リスナー界隈では「新キャラがでた!」と沸きました。
163回は他にも、例えてガッテンの「ユーチューババア大橋」ネタも圧巻で、レギュラー時代に話されていたババア情報をもとに、時事ネタや流行りの芸人のネタを絡めるという、例えてガッテンのフォーマットを踏襲しつつ、「ババアが有働由美子さんを事務所に引きいれる」「平昌五輪でテレビカメラに見切れる」など、新旧ネタを織り混ぜた、レギュラー放送当時と今を地続きにしたネタが披露されました(あまりにもネタが強かったので、有魂リクでもこのネタが引きずられていました。半端ないって!)。また、同じくガッテンからの流れで、くりぃむしちゅーが昔やっていた営業ネタを懐かしがり、「俺たちはネタを文章で残してないから、今営業に行ってもなにもできない、くりぃむしちゅーの営業ネタを発掘して番組に送ってくれ」と話すなど、次に繋がる回でした。
過去4回の放送から思うこと
過去4回を通して、過去を振り返る放送から、過去のテイストはなるべく変えず、でも今のくりぃむしちゅーの、いつもの放送としての部分が毎回、より濃くなっていっているように思います。
特に前回の163回での、くりぃむの数あるトークの中で、高校時代のラグビー部での話は、金字塔というか、多くのリスナーがナンバーワンと考えるエピソードなので、その流れを汲む新しい話がでてきたことで、昔を振り返ることから脱却して、今のくりぃむしちゅーの「レギュラー」としての放送である印象が強くありました。
元々、7年半ぶりに復活した時からずっと、復活放送がある度に、放送の中で有田さんが「番組が終わったわけではない、ピンチヒッターがずっと続いているだけ」と(冗談めかして)おっしゃっているので、特別なことはない、通常放送のように、という意識が、お二人やスタッフさんの中でありつつ、併せて、次につなげる放送、という意識は、回を追うごとに強まっているように思います。
この過去を踏まえて、第165回の放送は一体どうなるのでしょうか。
恐らく、今までの放送と同じように、お約束の流れがあって。新しい話なんかもしちゃって。その中でくりぃむしちゅーの二人は自由におしゃべりをすることでしょう。
今日、こんなことがあって、あんなことがあって。そんな話をできるのが「レギュラー放送」の最大の魅力でもあります。
この、生きるのが少し難しい世の中にあって、そんなたわいもない話こそが、心のよりどころとなる。
午前一時からの放送を、楽しみにしています。
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