怖い学生服の話
私が中高生だった平成の頃、ブルセラショップといって、女子学生の使用済みのブルマ、制服(ブルマ、セーラー服だからブルセラ)、さらには下着を販売する、という商売があったのだが、令和の現代でも存続しているのだろうか。
もちろん、ブルマは今はないだろうし、セーラー服、男子の学ランの制服もなくなっているところも多い、ときく。
何故、こんなことを思い起こしたかと言えば、最近、服の整理をしていて、昔、日本にいた当時、服を捨てまくっていた時のことを思い出したからだ。
当時、まだ「断捨離」という言葉は存在しなかったが、かの、こんまりさんが影響を受けたという「捨てる技術」という本が出版されて、その後の断捨離ブームの黎明期のような時代だった。
陰キャの不登校児として過ごした私にとって、中高生時代は黒歴史に他ならなかった。
その時代を思い起こさせるものは、「♪いらない、何も捨ててしまおう!」ということで、ばんばん捨てまくっていた。
もちろんその中には、学生服も含まれた。
私立の比較的新しくできた学校だったので、制服は一般的な公立の学校のものと比べて、おしゃれで可愛い目だったけれど、上記の理由で捨てることに未練はなかった。
私の愛する地元の市は、昔から分別収集、リサイクルへの取り組みに熱心で、服類は資源ごみの日に出す決まりだった。
そういうわけで、大学時代に他の着なくなった洋服と一緒に、高校時代の制服を資源ごみに出したのだった。
そこで、おしまい、ということになる話であったはずだが、そうはならなかったのである…
それは、学生服をゴミに出したことなんてすっかり忘れはてて、アメリカに引っ越した後に、実家から受けた電話で知らされた。
母によると、警察から連絡があった。
とある人間から、押収された物品から、私の高校時代の制服がみつかり、それで連絡した、とのこと。
「って、なんで私の制服だってわかったの???」
「あんたが、制服のポケットに生徒手帳を入れっぱなしだったからよ」
なんということであろう。
まだ、個人情報の意識は希薄だった時代だったけど、よりによってそんな身バレ満載のものを、忘れて資源ごみに一緒に出していたなんて…
詳細は聞かなかったが、資源ごみを荒らす人間がいて、私の学生服をもっていかれたのだろう。
もっていた本人が、その時まで所持して押収されたのか、それとも、ブルセラショップに転売されたのが、購入されたのかは謎である。
しかし、どういう目的で所持されていたかは火を見るよりも明らかであり、ぞっとしたものだが、所持していた人間は、まさかあんな陰キャの女子高生のものとはつゆ知らなかったのだろうな、と思うと複雑な心境になったのだった。。。、