舞台 刀剣乱舞 考察その3

唐突に熱くなってきて、部屋で溶けてしまいそうになっているのですが、まだ夏はこれからなので強くいきたいと思います。


さて今日は、先日言った通り、タイトルについて考察していきたいなと思います。

前回までとは違いさほどネタバレは大きくないかと思いますが、以下ネタバレ注意とさせていただきます。



今まで我々が見てきた舞台ですが、題名の前に漢字が使われ〇伝となっていますよね?(ジョ伝に関しては例外ですが、各話にきちんと漢字が用いられています)


この漢字と内容について触れていきながら、物語のおおよその時間軸に沿って考察していこうと思います。


まず序伝。この「序」という感じには、のべる、糸口、始まり、前書きといった意味合いがあります。これはこのステ本丸の始まりの頃の話になりますので、意味合いとしてはぴったりな話ですね。

次いで一つの物語を飛ばし虚伝。「虚」にはうつろ、むなしい、実がない、うわべだけの、嘘、素直、よわるといった意味合いがあるそうです。織田信長とはどんな人物なのかを問いかけてくるストーリーでしたが、皆織田信長という男を完全に知っているわけではなく、うわべや一部のみを見ていたと思わせる内容だったかと思います。

他にも、信長に認めてもらいたかった光秀のむなしさと弱さ、初演蘭丸の素直さ、邪心のなさなど、共通する部分が多いように感じます。

次が恕伝。「恕」はゆるす、大目に見る、思いやり、いつくしみなどの意味を持ちます。この話は、日本号が呑み取りの槍となった時の話が描かれている、外伝前夜の話です。日本号を求める友信の不躾な申し出を許した福島正則、暗い様子の小夜を思いやる日本号。ここもつながっているようです。

一夜限りの上演だった外伝。これはすでに読んで字のごとく、正式ではないというものですが、のぞく、外れるという意味もあるため、本来の遠征場所から外れた場所に流れてしまった話でもあるので、ここも共通しています。

義伝の「義」には人として踏み行うべき道、わけ、意味、実物の代わりになるもの、血縁関係のないものが結ぶ親族関係という意味があります。

この話に関しては少し難しいところではありますが、実物(政宗)の代わりになるもの(黒甲冑)や、大俱利伽羅の代わりになる鶴丸というところ(こじつけかもだけど)。行うべき道としての義は家臣として政宗を止めようとする小十郎や、己で妄執と決着をつけようとした政宗。親族関係とは言えないかもしれませんが、政宗と忠興との関係性が示されているのではないかと思います。

如伝の「如」は、およぶ、……のごとし、……のようだ、ゆく、おもむく、もしなどの意味がある。自らの過去を助けにゆく、もし、あの時お守りが骨喰から山伏にわたっていなかったら……。など本来なら同じ時間への遡行で全く同じ場所に出ることはないはずなので、まるで夢のような奇跡が、偶然か必然かはわからないが起こったからこその話であると考える。

維伝パンフレットによるとここから二話ほど飛んで悲伝となる。

悲伝の「悲」は悲しい、かなしむ、あわれみの心となっている。作中では、心に非ずとかいて悲しいというせりふもありました。三日月との別れ、幾度も繰り返す歴史の中で、自分で選んだとはいえ仲間との決別を選ばざるを得なかった三日月の悲しみ、三日月と山姥切を見届け、泣き崩れる山姥切を慰める小烏丸のあわれみの心。全体を通して悲しみ、涙なくしては見られない重厚な話でした。

慈伝。悲伝の後の話。日々流れていく日常を描く、前半新喜劇な話でした。「慈」はいつくしむ、かわいがる、めぐむ。一日一日をいつくしみながらはぐぐむこと、大切に過ごすことを作中で訴えているようだったので。

どんぐりの下りで、「心は茲(ここ)にあった」ってセリフがあった、はずなんですよ。慈の旧字体だと、上の部分茲なんですね。ステ怖い。



ここからは維伝、そして新作綺伝(今回は改変科白劇となったが)に関して。

維伝の「維」はつなぐ、ささえる、たもつ、すじ、糸、つな、おおもとになるものの意味があります。この維伝はステの新しい幕の始まりでした。そうなると、この舞台は二部のおおもとになる話であり、他の話を繋ぐ糸であり、支え、たもつ筋のようなものと言えるでしょう。現に染鶴や小烏丸の意味深な言動、黒まんばの登場など、多くの謎を我々の前に提示していきました。

次回作の綺伝の「綺」には、あやぎぬ、綾織の絹、うつくしい、きらびやか、干渉するという意味があります。内容は慶長熊本だと思われるので、改変された歴史への干渉という部分。そして、維伝でつくられつなげられた糸をきらびやかなあやぎぬへ織り上げるというつなぎの物語になるのではないかなと……。

ちなみに綾織というのは、斜文織というもので、3本以上の経緯糸で組織され、点が斜めに結ばれる織り方のことだそうで……本丸の時系列も何本もあるよね……。紗綾織形って、不断長久の意味を持っているそう。絶えることなく長く続く、繁栄を祈る形。三日月の着物も、この柄なんですってね……うっ、頭が……。




初心者のにわか、付け焼刃知識多数なため、各種辞書やサイト等を参照し、意味や気になる部分を上げてきました。

次回作のことを(生きた心地はしないが)楽しみに待ちつつ、コロナの終息を祈りたいと思います。


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