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下戸

熊谷とは対照的に僕(今井)は下戸だ。

学生の頃は飲み会やライブハウスで酒を呑んだ事もあったが、毎回顔が真っ赤になり酷い頭痛に襲われた。ビールが美味しいと感じたことが無いし(喉越し!と言われても解らない)、手軽な安酒は喉に残るアルコール臭さがあり苦手で美味しいと感じたことが無かったので、二十歳中盤になる前に一切受け付けなくなった。

しかし、こんな下戸だが居酒屋が好きだ。わいわいとした酒の場や宴会が好きと言う訳ではなく、様々な料理を少しずつ食べられるのが非常に楽しい。酢の物やおひたし、煮物、揚げ物等々が揃い、魅力的な"本日のオススメ"なんかが並ぶメニューは、丼物や麺類等の一品料理で済ましてしまう下戸の世界にはない文化である。

下戸である僕も居酒屋でひとり呑みをしてみたいなとしばしば思うが、「焼き鳥おまかせ三本、ポテトサラダ、あとジンジャーエールで」と注文しようものなら店員も隣の客も顔をしかめるに違いない。"居酒屋はご飯の単価が安く、酒が高い"とよく聞くし、酒も飲まずに飯だけ食う人間は居酒屋でなく飯屋に行けと言われるだろう(そうした価値観も古いなと思うが、その話題はまた他で)。

お酒を呑まない人間でも気軽に入れる居酒屋がないものだろうか。ん?となると名前も変えなければならない。酒を呑まない食べる人間でも気軽入れる"居食屋"はないものだろうか。「焼き鳥おまかせ三本、ポテトサラダ、あとジンジャーエールで」と注文しても、何食わぬ顔で返事をしてくれる店員さんや、眉をひそめる事のない酒飲みがいるお店だ。

おそらくこれは下戸のわがままであると言うのは重々承知だが、こちらから言わせればずるいと思わざるを得ない。酒が飲めないと言う一点のみで嫌煙されるのは、どうも釈然としないぞ。都内に下戸でも気軽に入れる居酒屋(居食屋)はないのだろうか、コロナが落ち着いた後には是非出向いてみたいものだし、もしあるのであればその店を全力で応援したい。


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