むしのしらせ
むしのしらせ
という ことばの いみを
しりたいって?
わるいことが おこりそうな よかん
のことだよ
むしのしらせは
とつぜん やってくる
たのしいときや
うれしいときや
きぶんのいいとき
こっちが ゆだんしているときにも
おかまいなしに やってくるから
おどろくよ
だって
おもしろおかしく わらっているときに
「なにか わるいことが おこりそうだ」
なんて
ふつうは だれも おもわないだろう?
よくないことが おこる おしらせなんて
しりたくないよね
それが あたりまえだ
たとえば
ちゅうもんしていないものが いえに とどいても
うけとらなければ すむけれど
むしのしらせが きたら
そのあとにおこる 「よくないこと」も
かならず うけとらなければ いけない
それは いやだからって むしのしらせに
みみを ふさいだり
めを とじたりしても
むだなんだよ
だれも にげられない
なぜかって?
むしのしらせの 「むし」は
じぶんの からだのなかに
すんでいるのだからね
びっくりしたかい?
でも だいじょうぶ
きみだけじゃない みんなだ
みんなの からだのなかに むしは いるのさ
とても ちいさいから
どこに いるのかも わからないけどね
だけど
たまに すみごこちのいい からだのなかでは
おおきく そだってしまうことが あるらしい
わたしの むしは
わたしのからだを うちがわから
もう ほとんど くいつくしてしまって
さいきん えいようが たりないようなのだ
ところで
きょう ここに くるまでのあいだに
「おおきな むしに くわれてしまうかも」
という
むしのしらせは なかったかい?
※2018年『怪談えほん』第一次選考通過作品