知らない鳥
蝉たちの声が
だんだんと大きくなってきて
耳の奥から目覚めていく
空は薄い青色で
地球の色って感じがした
本格的な朝が近づいてくる
傷つくことなんか
もう怖くなかった
あの人を失うことより
怖いことなんて
きっとないと思うから
蝉たちの声の中に
知らない鳥の声が混じっている
大人になっても
知らないことはたくさんあって
わたしはあの人のことを
まだなにも知らなかったし
わたし自身のことだって
わからないことだらけだった
わからないまま朝が始まっていく
知らない鳥 / 月乃
今夜もあなたに星が降りますように