記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

作品解説:『影憑き』についてのあれこれ

唐突に始まる自作小説語りです。以前のブログでは裏話も晒していくよ!と言っていたのですが、物語を書きたい気持ちのほうが大きくなってしまい、結局晒すというほど書いていませんでした。放置、よくない。

ここからは内容に触れていますので、興味を持ってくださった未読でネタバレがお嫌な方は、先に本作を読んでいただけると嬉しいです。

『影憑き』という話は死者と生者が入れ替わる理不尽に見舞われた人を淡々と書いていて、派手さもなく設定はゆるいです。ガバガバ。ツッコまれたら何も言えません。私の書くものはそんなんばっかりです。わざとです。そこはもう勢いなので。

この話を考え始めたのは、二十年以上前だったと思います。私の好きな小説に藤原京さんの『兇刃』という作品がありまして、シリーズの中でもこの話が特に好きでした。『影憑き 1』を読むと影響が感じられるのでちょっと気恥ずかしくもあり……でも、こういうドライな目線で書かれた話書きたい!という気持ちで書き始めました。

ただ、当時は書き上げることができず。書きたいシーンはあっても、それを繋ぐ肝心のストーリーが浮かばない。言葉も出てこない。語彙力~~表現力~~描写力~~!!と叫んだところで無いものは無く、少し書いては消し、書きたいところだけ書いては消し。他にも考えている話はたくさんあったのに、ほとんど完成させることができず、中途半端な設定メモだけが溜まっていました。

そこから年月を経て、ブログで短い小説やエッセイ的なものを書き始めて数年。文章を書く勘を取り戻した気がして、今ならあれが書けるのでは!?と調子に乗って書いたのがあれです。アレ。

しかしいざ書こうとすると、なにしろ設定ガバガバ仕様なので、かなり肉付けが必要でした。なぜ見えないはずの影が見えるのかは謎のままでいいとして(はいガバガバ)、では見える人の共通点とはなんだろう?そのきっかけはなんだろう?それをそうするとこれはこうならないか?こうなっちゃったらあれはあれにならなくないか?と試行錯誤の繰り返し。そりゃ書けるわけもないです、こんなに何も考えてなかったんだから。昔の私は今よりずいぶん浅はかでした。

当時は3が掌編でプロローグ、1が中編の本編冒頭部分、というつもりで考えていました。その本編の先がスッカラカンだったわけですが、ブログではずっと掌編~短編を書いていたので、ひとつの長い話ではなく短く区切れば書き切れるはず、ということで
まずは1を書きました。主人公が誰なのか明確にしておきたかったので、すべて短編で行くなら3から始まるより1のほうが順当だろうと思ったのです。

2は必要に応じて考えながら書いたので、どんな世界観かを1より広く見せるため説明的で長くなってしまいました。しかもあんな無神経男を出す必要はなかったのに、あの始まり方になったら出てきちゃったのですあの男。なんだあいつ。

2である程度説明できたと思うので、ここで元々プロローグだった3を書いてしまおうとなりました。とても書きやすくすんなり書き上がったのを覚えています。途中の視点切り替えが突然すぎますがこれもわざとです。同じテンポで読み続けてもらうためでしたが、ちょっと直したい気持ちもあります。

ここまでで書きたいところは書けたので、4はどうしようか、と思ったところでキミ何なの?に触れることにしました。人物紹介的エピソードはこれで1周、次は別の展開へ……行くのかどうか。まだ考えていなかったりします。

ところで私の書く小説は主人公が名乗りません。誰かが呼ぶことで初めてその人の名が分かるようになっています。短編なので自己紹介に文字数を割きたくないですし、文章のリズムが乱れるので書かないことが多いです。無くても特に支障ないなと感じています。三人称視点ならまた違うかなと思いますが。ただ、この『影憑き』は入れ替わりの話なので、名前は出さなかったり表記を変えたりと、敢えてぼかしています。

謎がありつつも分かりやすく、を心がけてはいるもののどうにも独りよがりになりがちで、それを読んでいただけるだけでも大変感謝です。書いてる側としてはとっても楽しいので面白くねーよと思われたとしても書き続けるつもりですが、せっかく読んでいただくのだから面白かったと思ってもらえるほうがいいに決まっています。がんばります。

ということで『影憑き』については終わります。続きはゆっくり考えていきたいです。