ミュージカル『GIRLFRIEND』へのラブレター

こんなにひとつとして忘れたくないと思った舞台は初めてだった。今の気持ちも舞台を見た記憶も書き残したい。正直勢いでしかないし、ほぼメモ書きだし、好きなシーンをただひたすらに好きと言っているだけだから感想というのも申し訳ない。だけどこの熱量を残しておきたいと思った。

寝ても覚めても頭の片隅でずっと考えてしまって、考えていたら眠れず気がついたら朝の5時で、会える日は朝からソワソワして、なんだか食事が喉を通らなくて、胸が高鳴って、でもぎゅーっと痛む。この感情を恋と呼ぶのなら、私はこの作品自体に恋をしている。我が推し高橋健介くんウィルと各マイク1回ずつの3回しか行ってないから、こんなことを言うのも烏滸がましいとは分かっている。でも初めて観たあの日から、わたしはこの作品に狂わされている。

ストーリーが良かった。真っ直ぐに2人の愛と時代背景を描いてくれていてよかった。同性愛を描く作品をフラットに捉えてくれていて良かった。2人舞台だからこその良さがあった。歌が良かった。生演奏の作品が好きだ。個人的に今まで見た作品で生演奏のものはみんな大当たりだった。舞台セットや映像の演出も良くて、遠くの席だからこその楽しみがあった。推しの演技も歌も大好きだった。全ての要素が好きで、これまで見た作品の中で一番の作品だったと言いきれる。そして、単純に好きだけでは言い表せない思いもあった。この作品にこんなに思いを募らせることになったのは、高校をいじめが原因で転校したからかもしれないし、10年近く前の話だが学生時代に同性の人を好きになったことがあるからかもしれないし、その当時に冗談めかしてという逃げ道を作りながらだが「将来結婚するなら女性がいい」と親に言ったときに馬鹿にされたからかもしれない。そんな過去に今でも少し痛みと苦味を抱える私と重なる物語でもあったのだ。

最初に観たのは6/23(日)のマチネ公演。木原さんのマイクの回だった。正直、最初はあまりの衝撃とアフタートークのせいで記憶が飛んだ。タグでみなさまの感想を探して、記憶を呼び起こす作業が必要だった笑。

木原マイクは、天性の明るさと愛らしさがあって、自然と人が寄ってくるし常に友達に囲まれていそうな印象だった。すごくピュアで、3人の中では子供っぽさが際立っていて、好きなものに真っ直ぐ。映画エヴァンジェリンについて「好きじゃなかったの?」の前の沈黙が良かった。本当に好きじゃんこの映画、マジで2週間ちゃんと映画も楽しんでる…

この組み合わせは、ウィルの方がマイクのことがずっと早くから好きで、そしてその好きの深さに差があり続けたように感じた。マイクは多分、最初のキスまではずっと友愛。孤独を共有する特別な友達。あの星空の下でキスをしたいと思って初めて恋に気がつく感じがした。でもウィルはもっと前から好きで、その後もウィルの方がマイクのことを好きだから別れのシーンのウィルの激しい感情が痛くて苦しくて…マイクはウィルに別れを告げられたことによって、同じくらい深く恋に落ちてしまったのだろうなって感じがした。私はこの2人の回は別れのシーンが一番好きだった。

将来的にこの2人は恋人兼親友という感じになりそうだと感じた。一番バカみたいな喧嘩してそう。

また、お互いへの信頼感を感じる歌声だった。仲の良い2人らしい、楽しげで安心感を感じた時間だった。

2回目は6/28マチネ公演。吉高さんのマイクの回だ。吉高さんは完全に初見で、別アカのフォロワーさんから演技も歌も太鼓判をもらっていた方なので楽しみにしていた。

吉高さんのマイクは、多分一番誠実で真面目で、みんなに一目置かれているタイプだなと感じた。そして演技の印象は全体的に爽やかなのに、ウィルに触れる時が色っぽかった。みなさんご存知のあの鼻筋をなぞるところはもちろん良かったのだが、個人的に刺さったのは2人で眠って目覚めた後。1人先に起きたマイクが眠っているウィルの太ももの辺りに一瞬触れていたのだ。思わず客席でひぃと声が出そうになった瞬間だった。あの夜の名残を惜しむような一瞬の演技に心奪われた。
吉高マイクと健介ウィルは多分一番正反対の2人だったのだろう。そんな2人は一番丁寧に恋愛していたような印象があった。

吉高マイクは前評判通り、歌が上手すぎる。そして声量もすごい。そんな彼に引っ張られて、健介くんもめちゃくちゃ声量が出てた。また、木原マイクの時とまた違う響きが聞こえたように思えて、シャッフルの良さを感じた。

あと個人の趣味の話なのだが、一番彼の腕って本当にセクシーと感じた。筋肉のつき方とか筋の感じとかが好みすぎた。勝手になんとなく細身のイメージがあったのでびっくりしたしドキドキした。

そして、最後に千穐楽の7/2ソワレ。待望の萩谷さんのマイクだ。正直現地で見る前、繰り返し見たゲネプロ映像と公式PVだけでもうすでにメロメロだった。そもそも、ものすごいタイプの方なのだ。甘くてセクシーなお顔も、がっしりとした体格も昔からの好みのタイプにあまりにも合致していた。余談だが、健介くんは想定外の方向から殴られて一目惚れした人である。やはり想定外のところから刺さった人ほどハマってしまう(オタクあるある)

萩谷さんのマイクは、ザ・プロムキング。アメリカの映像作品で見たことある!!となる圧倒的人気者。それは本人の元々の性質でもあり、同時に理想の人物を作り上げているようにも思えた。そして、彼が一番ずるくて酷い男である。最初の映画デートの時から、ウィルのことが好きすぎる。映画じゃなくてウィルを見てる。あんなに甘くて熱を帯びた目で見つめられたら、そりゃウィルも好きになってしまう。あんなに先に好きで、ウィルも同じ熱量を持つほど好きにさせたのに居なくなってしまうのだから本当にずるい。また、これは健介ウィルとの共通のイメージだが、大人びているようで根っこのところは本当は子供のままという印象を持った。肝心なところを言葉にできなくてはぐらかす。ウィルが自分の想像できない世界を生きてきたことに気がつけない。愛に溢れている分、そこが本当にウィルにとって眩しくて痛くて苦しいマイクだったのだろう。

萩谷マイクが出てきて歌い始めた瞬間から、この人が健介ウィルの本命なんだと確信した。千穐楽にして『完璧』の本当の意味を知ってしまった。健介ウィルは彼のために作られたウィルだったのだと、確信してしまったのだ。硬く閉ざされたウィルの心を溶かす、強くて熱い想いを向ける人。稽古の段階から互いのものと言われていたのに納得した。特にそれを強く感じたのが、「Reaching Out」と「We're the Same」だった。「Reaching Out」では、パズルのピースがはまるような感覚がした。これだったんだ、聞きたかったのは!!とマスクの下でニヤニヤしてしまったほどだ。「We're the Same」は、本当に「僕らは同じだ」を体感した。萩谷マイクの熱が乗った柔らかで包み込むような声が好きだ。そしてギターも上手い。かっこよすぎる。どうして萩谷マイクとの回を千穐楽しか取っていなかったのだろうと嘆いていたが、シャッフルを先に見てからの萩谷マイクで『正解』を感じられた瞬間も特別なものだったと今は思っている。それはそうとて、シャッフル後にあと5回やって欲しかった。

そして、萩谷さんは身体の使い方がうますぎる。特に台から飛び跳ねて降りるところと「Looking at the Sun」でそれを感じた。ダンスでこんなに好きになった人は初めてだ。色気があって、堂々としていて、華やか。健介くんのオタクなのに気がついたら目で追ってしまう。本当に目を惹く人だった。

「Winona」の時、気のせいかもしれないけど他のマイクよりウィルのことを見ていた。あの時の後ろに投影されている映像の中のマイクが本当に素敵で、ウィルに向ける愛がこんなに深いんだと感じられるのが好き。本当に甘い。

タバコの匂いを気にして離れたウィルのすぐ横の地べたに座る萩谷マイクが好きすぎた。このシーンでこの行動を起こすのは萩谷マイクだけで、それがウィルのことが大好きな彼らしいと感じた。そのあとの「俺のことかっこいいとか思う?」なんて、肯定しかできないよかっこよすぎるもん。でも「思う、かな」って言われたあとのニヤニヤ顔はかわいい〜!!ってなる。ウィルの顔を見て好きなところを言っていくところ、ひとつづつ噛み締めるように言っていたのが愛に溢れてて良かった。初めてのキスの後、ゆっくりと離れていったあとの2人の笑う様子があまりにも幸せそうで泣いてしまった。

「Evangeline」をウィルが歌い出した時、マイクが割と早い段階でエヴァンジェリンを演じ始めてて笑った。健介ウィルがサビでマイクにあなたがエヴァンジェリンだよとやるのは千穐楽で初めて見たが、それよりだいぶ前からもう役に入り込んでた。あと、これはこの回観た人みんな思っていると思うのだが、やっぱり「Evangeline」ラストのキス、長いし多かったな??最初に一度小さくキスするのってあったっけ??そのあとの激しく深いキス、ガチでしてたな??本当に混乱した。この日は割と前の方の端の席から観ていたのだが、個人的には確実にしていたように見えた。

マイクの部屋に行った時にマイクが香水をつけているのは知っていたけど、バレて笑って誤魔化すのは初めて観た気がする。年相応で可愛い。2人で眠る直前、なんだかこのままキスするんか!?ってくらい甘くて近かった気がする。

朝起きて、楽しそうにニューイヤーズデイだとその日に何をするのか話し始めた時、きっとこの日が終わって離れてもマイクはウィルと同じ気持ちで居ることができるって思っていたのだろう。ウィルの根本のところを想像できていなかった幼くて残酷なところが、気持ちが本当に通じ合った夜の次に訪れるの本当にしんどい。

ウィルがシャツを投げ捨てて出て行った後、今まで見たマイクの中で一番切ない。投げ捨てたシャツを拾って、畳んで、躊躇いがちに顔をうずめて、ウィルが寝ていた場所に思いを馳せる…。木原マイクは強く抱きしめて、吉高マイクは結構しっかりめに顔をうずめていたので全然印象が違って、全部好きだったけど萩谷マイクのが一番好きだった。

手紙を見られたところは自責が強い。本気で自分に怒ってて、あれを向けられたら怖いだろうなって感じるくらい。でもそれ以上に横にいるウィルの目が光がないというか無というかその…怖かった。

最後のキスも長かった。心の中で数えてしまったのだが5秒あった。この辺りの演技の間が本当に好きだった。愛してると伝えるまでが本当に永遠のように感じられた。だからこそ、一番切ない別れだった。

やっぱり、あいつらの方は見ないと抱きしめた時のマイクは自分勝手だ。マイクには見えていないけれど、ウィルには全部見えてしまっているのだから。これからも同じ町に住む同級生の反応が。マイクはもうあの町を出るけど、マイクはあの町から出られないからゲイであることがバレ、ただでさえ居場所がない町でさらに肩身を狭くして生きていかなきゃならない。多分それに気がついてないんだろうなマイクは。だからあのあとのウィルの痛いくらいの心の叫びが際立つのだろう。

もう2回観ているからこのあとの展開なんてわかっているのに、ウィルの「もう無理」とそれを受けてのマイクの表情が切なくて、もうこのままお別れなんじゃないかという苦しさを覚えた。だからこそ、ラストのハッピーエンドに一番救われたペアだった。

取り急ぎ萩谷さん個人とグループのXとインスタとYouTubeチャンネルとTikTokをフォローした。7ORDERさんの公式Xが萩谷さんをご紹介されていたポストの一枚目のお写真、めちゃくちゃ好きです。わたしがメガネかけてる男性が大好きすぎるので…。まだハマっていないと言い張っている。ただ、あの奇人系イケメンの一言だけ気になってます。

本当に三者三様のマイクだった。それを受けての健介くんの演技や歌の変化も感じ取れて、3人とも観にいって本当に良かったと思う。これは個人的な印象だが、ウィルとの関係性が木原マイクは横並びで肩を組む、吉高マイクは正面から向き合う、萩谷マイクは背中合わせで寄り添い手が触れ合うという感じだったなと思った。

どのペアも良かったことは大前提として、本当に高橋萩谷ペアが良すぎたから他の本命ペアも見るべきだったと心の底から後悔している。今ものすごく島さんと井澤さんのウィルが観てみたい。やっぱり再演しましょう??

そして、最後に推しである高橋健介くんのウィル。ミュージカル『GIRLFRIEND』を見て最初に思ったのは「この演技が観たかった!!」ということだった。私はこの作品を見る前まで、健介くんの好きな芝居は何かと問われたら2023年3月に出演されていた朗読劇『四月は君の嘘』と答えていた。お相手役の方が推しアイドルだったという特別感もあるが、それを上回るほど演技が良かった記憶が強いのだ。あの時の演技を観た時に感じた「健介くんのこの系統の演技が一番好き!!」という感動は忘れられない。始まる前に原作好きで先に別の方の回を観に行っていた友人に「健介くんが演じるのは想像できない」なんて言われたりもしたが、観た時これ以上のぴったりな配役は無いだろうと確信したのを覚えている。その作品の演出家である三浦香さんのお言葉をお借りすると「奥底から湧き出る葛藤が丁寧」健介くんのお芝居の魅力を表す言葉として、これが最適解だと思っている。そんな丁寧で、繊細なお芝居をこれでもかと堪能できる芝居が観たかった。そんな夢が叶った作品だった。

健介ウィルは、ゲネプロ映像で一目見た時からアメリカの映像作品のいじめられっ子だ!!となった。立ち姿からあまりにも完璧なナードだったのだ。私が健介くんを好きになったきっかけは、ミュージカル『刀剣乱舞 幕末天狼傳』の初演を無料配信で観た時に立ち姿の美しさに一目惚れしたことだったのだが、それ以来の立ち姿だけで衝撃を受けた役がウィルだった。あの猫背で細身で、肩から手首にかけて関節が内側に入りがち、背が高いはずなのに小さく見える様子にびっくりするほど配役の妙を感じた。本人は性質がマイクよりだとは言うが、絶対にウィル役で正解である。というか、本人はそういうけど結構本質は繊細でウィル寄りなんじゃないかなと思うことはある。あと蜘蛛みたいな細くて長い腕という役にぴったりすぎた。

健介ウィルは馴染めなくて浮いていたというよりかは、自分の世界に閉じこもることを選んでいたから浮いていたように感じた。ゲネプロ映像と他の方の感想からの印象なので間違っているかもしれないが、島さんと井澤さんのウィルは他の人と関わろうとしたけどうまくいかなった印象があるが、健介ウィルはかなり早い段階でどうせ無理だからと他人とのコミュニケーションを諦めてしまっていた印象だ。お二人のウィルはもともと空想の世界と馴染みやすい性質っぽく見えているのだが、健介ウィルは自分の世界に閉じこもった後に空想の世界を生み出したように感じた。多分、健介ウィルは本当は打たれ弱くて、傷つけられることに怯えている。1人でも生きていけるように見えるけど、それは全部遮断してしまっているから。学校では本当に口を開かずに教室の隅でヘッドフォンをつけて音楽を聴いていたのが思い浮かぶ。このヘッドフォンをつけるというのも外の世界を遮断して、自分の世界だけにいるという印象を強めるアイテムだなと思った。だからこそ「Reaching Out」の前、ヘッドフォンをつけようとして辞めるシーンは自分の世界に入るのではなくて、外の世界の住人であるマイクのことを考えていたからかな、なんて考えた。そう考えると「I Wanted To Tell You」の「君の世界に浸るよ 僕は怖くない」という歌詞でさらに泣けてくる。自分の世界に閉じこもっていたウィルが、マイクの世界に触れて変わっていったことを最後にこんなに楽しそうに歌っているのだから。

外の世界に対しては諦めてしまっているから興味なさげで冷たく見えるが、自分の世界でのウィルはめちゃくちゃ可愛い。饒舌でニコニコ。あと、割と考えたことをポンポン話しているけど自分なりのロジックがありそう。多分地頭はいい。冒頭では「物事を学ぶという悪しき習慣〜」的なことを言っていたけど勉強が嫌いなんじゃなくて、学校という場で集団で学ぶのがダメだったのだろうな。

健介ウィルは諦めの感情が強いからか一見大人びた印象があるのだが、根っこの部分は子供のまま。特に自分がどう見られているかという部分は嫌ほど理解しているけど、自分自身がどうしていきたいかという部分が未熟という風に感じた。硬くて分厚い殻に隠された、ふとした瞬間に覗く幼さが守ってあげたくなる造形に一役買ってるなと思った。

一挙一動の演技全部素晴らしかったのだが、特に印象的なのが目と絶妙な間だった。視線の動き方やまばたきの回数、楽しげな時のまんまるで縦に大きくて光の入ったおめめ、スンと興味なさそうな半目、ハイライトの消えた悲しさと諦めの浮かぶ瞳…。目は口ほどに物を言うとはこのことだった。一つの仕草だけで雄弁。
セリフの間もまた印象的で、その一瞬にさえ深い意味をもたらしていた。たった一瞬の空白に、受け手側が想像できる余地がたくさん詰まっていた。
そのどちらも、萩谷さんのマイクでも同じことを思ったシーンがあった。これが本命ペアのピッタリはまる感覚の一つの要因だろう。

そしてなんと言っても、本当にかわいい!!序盤のツン強め期も自分の世界でニコニコおしゃべりもかわいいけど、やっぱり一番は恋をしている時の笑顔!!野球の試合の後、マイクに連れ出された時に客席に見せてくれたあの表情、本当に幸せそうに笑う顔が大好きだった。今までたくさん推しを見てきたつもりだったが、あまりに新鮮に可愛くて記憶が2回飛んでいる。千穐楽で脳裏に刷り込めて良かった。あの最高にキュート顔、マイクじゃなくて私たちに見せてるの罪だ…マイクに見せたげな…

これは余談なのだが、たまたま千穐楽の翌日に舞台好きのリア友と会うことがあったので前情報無しでゲネプロ映像と公式PVを送りつけて感想をお願いしたところ「可愛すぎる。女の子か?」「これはヒロイン」とのお言葉をいただいた。前情報無しで伝わるヒロイン力。

そして、今回感動したのはその歌声だった。私は健介くんの歌声が大好きだ。少し高めの声質が好きで、言葉を大切に歌っていて歌詞が聞き取りやすいところが特に。歌に苦手意識がある言っていた健介くんの努力の結果は歌を聴くたびに感じられていたが、今作では特にそれを感じた。5月の頭まで他の作品で歌声を聴いていたが、そこからさらにこんなに成長するのかと驚いた。生バンドにコーラスを背負って、主旋律もハモリもあんなに素敵に歌うなんて!!ゲネプロ映像を見た瞬間からそう思っていたが、現地で聴くとさらに良くて、そして千穐楽は格別だった。

客席後方からウィルが出てきた時、かりたての芝生の匂いを吸っているのがかわいい。この瞬間から、物語の世界に引き込まれた。

初めての映画デートの時のウィル、まだ壁を作っているのでツン強めなのがかわいい。その中でも本当にマイクの彼女に興味がなさすぎて好き。表情も声もあまりにもあからさま。でもツン強めだけど、マイクのことが気になっているんだなぁってふとした瞬間に思わせてくるのが上手い。視線の投げ方とか、細くて長い腕の時とか。

2回目の電話のやりとりが噛み合わない感じになるとなるところが好きだ。特に木原マイクの回はスピード感がすごかった。そのあとの「やったぁ!!」が最高に可愛い。

「星、掴めそう」本当にこのセリフが印象的。本当に星空が綺麗な夜だったというのもあるけど、きっと手の届かないと思っていた人のことを想っていたのだろう。

マイクの「屈んでくれる??」で屈まない回が好きだった。吉高マイクの回はなんで??という顔して見ていたのが印象的だった。萩谷マイクの回は、え、とショックを受けていたように感じた。だからか「そんなことしなくていい」までが過去最速だった。本当にすぐ言いなおしていた。

「Winona」でマイクが歌っている時、少しだけ微笑んで口ずさんでいたのが可愛らしかった。そして、やっぱりウィルの撮るマイクが一番かっこいい。ウィルにはこんなにマイクがキラキラして見えてるんだなっていうのをお裾分けしてもらっているようだった。千穐楽はこのシーンで気になる、憧れの人から恋に変わったのかな感じた。マイクの友達のことを「ビール奢ってそう」とか「あのバットで…!」と空想しているように、ウィルにとって同じ学校の人たちもまたスクリーンの中のような、別の世界の存在だったのだろう。マイクみたいな、キラキラの人気者なんて特に。そんなマイクの告白によって、彼もまた弱いところもある同じ人だと知ったのだろう。勝手な想像の世界の人から、隣にいる人に変わった。その瞬間がひとつのきっかけだったように感じた。

同じ映画を2週間一緒に行き続けただけあって、買い物に行くシーンは仲の良さが明らかに変化しててニコニコした。

ウィルが「僕は気にしない」って言ったのはもう慣れてしまったという悲しさも感じさせた。でもその後に1人になってから言った「そんな目で僕を見ないでよ」このセリフの時のゾッとした感が忘れられない。マイクの中にまだある、そちら側を差別しなくちゃ普通でいられない世界をウィルが感じ取ってしまったように思えた。

「おっけ、べいびー」がものすごく甘くて包み込むようで、本当に言い方が好きだった。この時の表情も本当に可愛くて、マイクのこと大好きで大切なんだろうなと感じられた。でもここ電話越しなのでやっぱり実際にはマイクにはこんなにかわいいウィル見れてないんだよな〜!!

1回目、2回目に観た時は健介くんはすごく丁寧に歌を歌っているという印象があったので、千穐楽で聴いた「GIRLFRIEND」のはっちゃけた感じは新鮮だった。実は千穐楽で一番最初に涙が出てきたのは「GIRLFRIEND」を歌っている時だった。感情の昂った歌声にこちらも興奮した。最後の力強い「もう手放さない」の歌声と、そこでおでこをごつんとしたところでなんだかとっても涙が出てきてしまったのだ。

「僕の父さんはユタに行ったんだ」の時を筆頭に、両親の話をするウィルが本当に幼い子供みたいだった。なんとなくだが、このシーンで家族とも上手くやっていけてなかったのだろうなと感じた。愛情不足の子どもの姿が見てとれた。

「We're the Same」の「ベイビー」の歌い方が好きだった。絞り出すような、切ない最初から寄り添い甘く情熱的になっていくのが印象的だった。特に千穐楽の震えるような声に胸がぎゅっとした。

「月に行かないで」でいつも胸が締め付けられる。ウィルの精一杯の愛してる、隣にいて。

ウィルがお酒苦手で飲む時に顔がきゅっとなっているのが可愛い。苦手だけど、マイクに言葉を濁されたあともう一回飲むところが好きだ。

朝起きて、部屋の中が空っぽになっていてマイクもいないあのシーンの表情が良かった。一瞬見せる迷子のような顔が、すごく好きだった。初見のとき、幸せだった時間が崩れ落ちていくその始まりを見てしまった、という気持ちになったのを覚えている。

「大学に行くには遅いかな」マイクと一緒に行きたいということなのに、マイクにはその本質に気がついてもらえなかった。その瞬間、また心を閉ざしてしまった。自分を守るために。将来について、現実を直視して不安定になるところでいつも胸が苦しくなった。あの苦しい場所で生きていくだけで精一杯で、そんな先のことなんて考えられない。それで、皆に置いていかれる。自分1人だけが取り残されて、まわりは、大切な人は先へと行ってしまう。高校生の時の私も同じ経験がある。あの時の恐怖が蘇るような演技だった。

「You don't Love me」本当に切なくて、何度聞いても泣いてしまった。本当に好きだからこその苦しさとあの歌声が本当に好きだった。

試合に行かないと言ったのに、来てしまったウィルがいじらしい。けど、ものすごく表情が無だった。手紙を見られてしまった、と言われてからも表情が変わらず、ハイライトのない目がどこかぼんやりとしていて、とても怖いと思った記憶がある。

千穐楽は下手端の席だったのでマイクに抱きしめられた時の表情がよく見えて、本当に苦しくなった。マイクのことを見る目があんなに悲しいなんて。「愛してるよ、俺も」で抱きしめられた時、抱き返す力が弱々しくて、でも指先にだけギュッと力が入って指先が白くなっていたのが忘れられない。「じゃあここにいてよ」というところの縋るような瞳も、それは無理だと告げられたあとの哀しさも本当に痛いくらい切なかった。全てを諦めて生きてきた健介ウィルは、きっとどこかでこうなってしまうことを覚悟していたのかもしれない。それでも本当に愛してしまった人に別れを告げるあのシーンの苦しさは本物だった。覚悟していたけれど、きっと本当はそんなことしたくない。「もう無理」というセリフで本当にこれでお別れだという強い感情を感じた。

「Nothing lasts」で時計の針を回している時に、マイクとすれ違うあたりで一瞬躊躇うのが好きだった。

マイクがかつて少しだけ歌って、いつかギターを弾いているところを聴かせたいと言った歌に導かれ、そしてその歌でマイクとまた出会うという美しさ。最後に手を繋いだ2人を見て、この2人ならきっと困難もあるし傷つくこともあるだろうが、ずっと寄り添い続けるだろうと感じられた。

また、千穐楽での日替わりスケブでさらに泣かされるとは思っていなかった。萩ちゃんねるで相談して決めているところが印象的だったが、あの千穐楽はサプライズだったのだろう。今まで客席にメッセージを伝えるために使っていたものでお互いへのメッセージを伝え合うとは思わなくてびっくりしたと同時に、この2人らしいなとも思った。お互いに出会えたことについて書いているのが、なんだかとても良いなと思った。この2人が本命ペアで良かったと感じた。またぜひこの2人の共演が観たい。

こんなに毎回推しのことをずっと見ていたのに、絶対考えが至っていない部分も言葉にできていないシーンもある。もっとたくさん言いたいことはあるけれど、でも自分の中の引き出しでは自分の考えたことすら形にできない。知識も経験も何もかも足りなさすぎる。こんなにこれまでの人生をぼんやりと生きていたことを悔いたことはない。高橋健介くんを推している方々の感想をものすごく聞きたい。もちろんそれ以外の方を推している方の感想も。他の方の感じたことを知ることでまた見えるものがあると思うから。ここまで読んでくれた皆様、ぜひお友達になってください(?)

1993年に私は生まれてすらいないし、むしろその時に17歳となると親の年齢に近い。カセットテープだって使ったことがないし、ミックステープというのを今回初めて知った。そしてこれを書いている時にふと思ったのだが、今回最年長の井澤さんが1994年生まれということは演じた6人も誰1人としてその自体に生まれてすらいない。そんな役者さんたちが演じて、若い世代が観ることはとても意味があったと思う。あんな時代があったなんて大変だったね、今は変わって良かったねと言えるようにならなくてはいけないと思う。同時に、このお話は親世代にも観てほしいなと思った。正直、親やその世代、それ以上の人と話していると、作中の当時に近い考えがあるんだろうなと肌で感じることがある。今回、木原さんの回に母親を連れて行った。そんなに舞台の内容に対して考えないよなんて言うけど、何か感じるものがあったら嬉しいなと思う。まだ怖くて、その辺りの考えについての感想は聞けていないけど。いつか聞けたら嬉しいなと思う。

千穐楽から1週間以上たった今でも2人に思いを馳せ、気がついたら歌を口ずさんでいる。本気で愛を演じる2人に、私は恋をした。この恋心がいつか素敵な思い出になりますように。そして、この思いが再燃するような出来事がありますように。具体的には円盤!!配信!!音源!!再演!!そして、また新たな若い俳優さんたちの登竜門になってほしい。まだ出会ってない素敵な俳優さんともこの作品で出会いたい。願望を言うと加藤大悟さんのマイクが見たい。健介くんに練習に付き合わされてたし…

今回見れなかった2人も含めて、この6人のことが本当に大好きになった。絶対島さんと井澤さんは絶対何かしらの作品を観に行きたいし、今回初めましての吉高さんのお芝居ももっと観たくなった。木原さんの出ていた舞台を見返したくなったし、前から曲をたまに聞いていたが最近さらに繰り返し聞いている。ネオン・シティが好きです。萩谷さんには本当にメロメロになっているので、今どうにか7月末の舞台に行くために休みを取れないか交渉中だ。まだハマってないと言い張っているが、TikTokはほぼ全部見たしYouTubeもかなりの本数見た。
そして、健介くんのことはさらに大好きになった。健介くんのお芝居が大好きだと改めて思った。これからも一生イチ推しです。

この作品に関わった全ての人、この作品のことが大好きな全ての人、そしてウィルとマイクに幸あれ!!


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