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月影太陽光発電所 発電16日目 中級3

素浪人エンジニア月影です。中級3は、太陽光発電アレイの点検に使用されるバイパスダイオード・テスタ(日置電機社製:FT4310型)の動作原理を、分析します。同機の機能を分析すると、太陽電池モジュール点検には、逆方向特性やバイパスダイオード結線情報の必要性が理解できると想います。

・住宅用太陽光発電システムの課題
 2019年1月の消費者庁発表の報告書に、住宅用太陽光発電システムの火災安全性に対し、多方面から分析した内容が記載されています。調査委員会はは、メーカー毎のシステム差異や設計思想が異なる事、施工や点検における所有者責任の課題、屋外設置電力機器としての自己診断機能の現状等、への分析を実施し、消費者庁と経産省への意見報告をしています。
 事故の要因が多々ある事から、消費者調査委員会は、太陽電池モジュールを瓦等を介さずに屋根材(防水紙や木材)上に置くタイプ(鋼板等なし型)は、延焼する可能性を指摘し、同タイプの安全性確保策の意見を経産省に提出しています。

・太陽電池アレイ診断とバイパスダイオード検査の重要性
 太陽電池モジュールのホットスポット現象は、影からでも生じますが、バイパスダイオードが正常であれば、アレイ発電電流は迂回できる可能性が高いです。ただし、長期間にわたりバイパスダイオード動作が繰り返され、同ダイオードに開放故障が誘発された場合は、影セルや断線箇所部に他モジュールの発電電力が印加され、発火の可能性があることから、バイパス回路点検の必要性を報告書は指摘しています。
 火災危険は、下記イラストの右端:開放故障時の事象のことです。

 ・日置電機社:バイパスダイオードカタログでの不具合内容記載例

 今回は、同調査報告書の意見:交換困難時の代替案に、③応急点検等の実施:『モジュール点検に、バイパス回路が常時通電していないこと及び断線していないこと』に、バイパスダイオード・テスタ(日置電機社製:FT4310型)が検出可能と紹介されていますので、同機の測定原理をLTspiceにてシミュレーション検証し、測定上の疑問点を確認します。

・バイパスダイオード・テスタ(日置電機FT4310)測定原理
 日置電機社の技術資料に、測定原理が記載され、太陽電池アレイの絶縁抵抗測定器のような代数的手法が記載されています。テスタ内蔵のコンデンサにDC100Vを充電し、太陽電池アレイをN側からP側に、パルステストをする方式になります。
 今回は、日置電機社掲載資料での、太陽電池の逆方向特性図が、JISC8990における太陽電池モジュールの逆方向特性図と異なる点、が気になりましたので、同機の測定原理を太陽電池モジュール等価回路にて確認をしてみます。

・JISC8990での太陽電池モジュール:逆方向特性分類
 
JISC8990は、10.9項ホットスポット耐久試験で、『太陽電池モジュールの逆方向特性を大別して、電圧制限型(タイプA)と電流制限型(タイプB)で区分した分類が必要』と記載しています。

 ・バイパスダイオードテスタの想定している逆方向特性
 下記図は、日置電機社の技術説明に記載されている図ですが、逆方法特性が電圧制限タイプの太陽電池モジュールに対して、Isc+αの電流印加(αは1A)をした測定で説明をしています。タイプBのように逆方向漏れ電流が大きい太陽電池モジュールも含めた分析も必要ですので、逆方向特性が可変できる太陽電池等価回路モデルが必要です。

 ・LTspiceによるシミュレーション計測方法
 今回の事例は、モジュール逆方向特性の多様性、ストリングス直列構成も50Vから600V(産業用は1000V)があり、さらに日射変動状況化にでの、シミュレーション計測が必要です。
 また、バイパスダイオード断線時やセル間のインターコネクト断線の動作解析が必要ですので、逆方向特性を可変化したセル等価回路モデルによる分析をしましたので、中級4にて詳細を説明予定です。 

・今日のひとこと
 今回の調査報告書は、行政法の方が委員長をされてます。報告書から、現代のビジネス・エンジニアに求められる素養が多いな~、と想うと、関数電卓を胸にいれてた先輩諸氏を懐かしく想いました。。



 

素浪人シルバーエンジニア 月影四郎と申します。幕府学問所を卒業後、仕官したお城づとめも終了し、素浪人として歩き始めました。  皆さまに楽しんでいただけたらとふと思いたち、徒然なるままにnoteデビューした次第でございます。