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パルムグレン 月の光

今練習中の曲!


↑こちらより。。。

「月の光」 Op . 54-3 へ短調 4分の3拍子 Lento , ma non troppo
Op. 54-1、2と同じく、1916年に作曲。初演も1916年11月14日のヘルシンキにおける演奏会にて行われた。パルムグレンの音による自然描写力の秀逸さを代表する作品。ヘルシンキ市立オーケストラが、この作品の管弦楽版を演奏している。
曲は全体として非常に詩的な表現であり、パルムグレンの出生地がフィンランドの中でもスウェーデン文化の影響の強い都市であるが故に、ポスト・シベリウス世代の他の作曲家、(メラルティン、クーラ等)と比較しても、スウェーデン色の濃厚な、洗練された作品であることが判る。
パルムグレンの楽曲は印象派の範疇に入れられることがあるが、フランス式の印象派とは大きな隔たりがある。パルムグレンはシベリウスより一世代 後の作曲家であり、シベリウスの影響を強く受けている。そのシベリウスは、ドビュッシーとほぼ同世代であることから、民族主義音楽からの転換期に、ヨーロッパで注目されていたドビュッシーに大きく触発された。
パルムグレンの印象派的要素は、シベリウスを経由して導入されたものである。この作品は題名を「月の光」と命名したことにより、ドビュッシーとの関連性が強いと従来の学説では言われてきたが、最新の学説ではドビュッシーによる影響は否定されている。
その上で、スウェーデン文化の影響を楽曲に加味し、音による絵画を連想させる色彩的特色を持つ。ピアニスティックな効果を楽曲に十分反映させている。
楽曲の構造は極めて簡素で、旋律は三和音を主体とする。静謐で繊細な楽曲である。旋律は憂愁を帯びて、深閑とした趣で歌われている。ベートーヴェンのピアノソナタ第14番 Op. 27-2 第一楽章の持つ幻想的な世界観を、北欧人の目で捉え直し、新たな表現を目指した作品であると言える。
前奏(1〜2小節)から右手は高音域に配置され、シンコペーションで描かれ、主題へと導入する。左手で奏される主旋律は、和音のアルペッジョが連続し、20小節まで淡々と進行する。展開部では、21小節から28小節まで、右手の伴奏は主題より1オクターブ上で三連符に変わり、左手は二声部に分かれる。29小節から42小節は、右手は16分音符に細分化され、深夜の天空にひっそりと銀色の輝きを放つ、かすかな月光を象徴している。左手は次第にクレッシェンドし、33小節で頂点に到達する。37小節から39小節にかけて、ハ長調—イ短調—ホ長調と転調し、束の間の明るさを表現している。
経過句は43小節から51小節まで、tranquilloで、調性を曖昧にして、右手を幅広く高音域で往還させている。淡色の微細な絵画を想起させる描写である。前述の、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番の第一楽章、32小節より41小節までと比較すると、パルムグレンの書法の特徴がよく反映されていることが判る部分である。
再現部(52小節以降)で、右手は32分音符のアルペジオに細分化している。旋律は提示部より1オクターブ音域が下がり、「月光」に対する「陰」の印象を濃厚にしている。CodaはI度の和音を転回させ、静寂の内に終焉する。

参考文献
・ 菅野浩和「舘野 泉/フィンランド・ピアノ名曲選」ライナーノート p. 38 EMI CLASSICS
・ Heikki Poroila 『SELIM PALMGRENIN SA”VELLYKSET 』2014
執筆者: 渡邊 真里子

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つきるな/Clair de Lune
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