キミが君になる瞬間
言葉に形にしてみても
大抵は見向きもされなかったり
はいはいそういうことねと
格好つけてるとか
綺麗事だ偽善だとか
そんなの違うだどれも同じだと
基本的にはそんなのばかりで
それこそ認識もされないくらいに
大海原の中の海水のひとつ
ひとつだなんて言えないくらい
特定もできない
混ざって隠れたひとつになって
だけどね
言葉を考え出すと
そこに寄り添い繋がった背景や世界や
心や出来事をたくさんたくさん想像すると
その先にはぼんやりと「キミ」の影が浮かんでくる
もっともっと近付こうと
あれこれこねくり回して
どうにかその誰かもわからない「キミ」に向けて
いよいよ飛び出した言葉は
やっぱり気付かれなくて
迷子になってしまったりもして
それでもキミに届くように
一生懸命方法を探して
いろんな扉を開けて
その度に同じような目に出会ってすり減って
もう無理かなと思いながらもどうにか繋いで
そういうことを繰り返していった
そのいくつ目なのかはもうわからないけど
古びた大昔の扉だったのか
新しいピカピカの眩しいそれだったのか
わからないけどそのいくつ目かで
ようやく「君」に出会えたんだよ
「キミ」が「君」になった瞬間だ
言葉はそれをずっと探していたんだよ
そのために生まれてきたんだよ
時々発作のようにこんなことを思い始めて
恥ずかしくも苦しくもなったりする
この言葉だって同じように
ずっと隠れたままなのかもしれない
それでも君だって
扉を開けて探してくれたんだろうと
それを考えるだけで
あとはありがとうと
それだけになる
繋いだ先で
君に出会えてよかった
ありがとう
おやすみ
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