君の手が、汚れて見えることのないように
人の弱い部分や、傷や、過去に寄ってきて漬け込んで、何かを生み出したり、搾取したり、そんな関係を築こうとする。それだけ聞くととても嫌なことで、実際良いことでもないだろう。
けれど、その根っこ、元々ある要素、その弱い部分、柔らかい部分に手を添えること。そういう部分に意味を見出すこと。それ自体は悪いことだとは思わない。
誰かに依存することも、理由にすることも同様に、「誰かのため」ということそのものから、強い何かを生み出す人もいる。
大切な誰かの内側にぽっかりと空いた穴が、自分が居るべき穴だなんて、恥ずかし気もなく、いやものすごく恥ずかしがっているかもしれないけれど、そんなふうに見えてしまうことだってある。
傷の舐め合いなんかともまた違う、弱さを見つけ合って寄り添うことに、優しく互いに触れ合うことに、負い目を感じる必要も無いし、そんなふうに美しく優しいものに出会えたこと、そういうものにしていけることを、自分や誰かの強さや魅力のひとつだと、認めてあげてもいいと思う。
目の前にあるその手が、君の手が
汚れて見えることのないように