ヘアスタイルの再現性について。

世の中には、科学的(工学的)に考えることによって、うまく上達できる物事がある。身近なもので言えば、人の髪の毛をカットする技術などがそうだ。
これは一見、文系的な(デザイン的な)人間が選ぶ仕事に思えるが、工学的な思考が必ず必要になる。
これが伴わなければ、上達が遅くなるだろう。学校があるということは、そもそも科学的な思考が必要になるからだ。
逆を言えば、科学的な視点や知識しか、他者に教えることなどできない。

ヘアカットにおいて最も大切なことは、客の要望を叶えることも去ることながら、客が自分でそのスタイルを再現できるかどうか、である。
これを日々、再現していくためには、スタイリストが客の髪の質や、流れ、骨格などを理解した上で、デザインを考えなければならない。
もちろん、その技術を確立するためには、それなりの時間がかかる。

言ってしまえば、時間さえかければいつかは基本的な料金を取れるスタイリストになる。
ただ、そのためにかかる時間はそれぞれだ。そういった段階において、学問というのは良い道具になる。

人の思考は、「壁に鼻を突き合わせる」ような視点になりがちだ。
問題に対して、「近すぎる」。次第に、何に向かっているのかわからない事態に陥る。
学問(勉強)をすることで得られるものは、何よりこの視点を変化させられることだ。
視点が変化することで、鼻を突き合わせていた壁の正体が、少しだけ明らかになる。例えば、その壁は部屋の一面だということがわかったり、建物の全貌が見えてきたりする。つまり、視点が高くなるということだ。
ぼんやりと、「全体」を把握できるようになる。
何をするにもまず重要なことは、なんとなくでも良いから全体を把握することだ。

視点を広く、高く持つことができるようになれば、それだけ技術向上の速度が上がる。
問題に突き当たっても、それを解決する糸口を掴むのも、比較的だが楽になる。高い視点から「どこが詰まっているか」を見極めることができるし、それを解消するためにどんな方法を選べば良いかも理解しやすい。
また、自分に対する理解も深まるし、

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10分もかからず読める。つまり、なんか読書した気になれます。「気になれる」ということが大切。この世の全ては「錯覚」ですからね。

最低でも、月の半分、つまり「2日に1回」更新します。これはこちらの問題ですが、それくらいのゆとりがあった方が、いろいろ良いかと。 内容とし…

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