秋の湯河原ひとり旅
7月。休日出勤と残業が続き、気が狂いそうになっていた。このままでは化け物になってしまうと思って、半ば勢いで湯河原の宿を予約した。
あれから2ヶ月と少し、多少正気を取り戻したわたしが、ゆったりと過ごした旅を記録したいと思う。
宿について
今回予約したのは「巛 sen 湯河原」というオールインクルーシブの宿。
知り合いが別のオールインクルーシブホテルに泊まってとてもよかったと言っていたのと、実際ここに泊まった人のレポートがすごく良かったので、ここに決めた。
もともとひとり旅はあまり得意ではなく、一人暮らしだし家にいたらいいわ…というタイプなので、こういう「おこもりステイ」的なコンセプトの宿はありがたい。
結果、「なんにもしない」がすごく上手にできたので、これならわたしもひとり旅が続けられるかも。
(関東から出る意味がほぼなくなるけど…)
道中
ロマンスカーに乗り、小田原まで。次が箱根湯本だから、車内に残っている人はみんな箱根に行く。箱根もいいね、いろんな時代のいろんな思い出があります。
小田原から東海道線に乗り換える。ホームでおばあさんに話しかけられた若い男の子が、話の終わるタイミングがわからなくて黙った後もずっとイヤホンを外して手に持っていたのが可愛かった。優しい青年なのだろうね。
湯河原の駅は平日にも関わらずそこそこ賑わっている。乗りたいバスがもうすぐだったから、行きはどこにも寄り道しなかったけれど、湯河原には好きなお店がいくつかある。
餃子の一番亭や、珈琲ウエスト、ちぼりスイーツファクトリー、駅前の湯河原カフェ。
半年に一度ほどのペースで湯河原にお邪魔するので、ちょっとずつお気に入りが増えていったのだ。
湯河原の駅からバスで10分ほど、万葉公園のそばで降りる。途中、「理想郷」というバス停があって、そこで降りる人たちはなんだか神々しかった。いいな、理想郷。
最寄りのバス停からは急な坂を5分ほど登る。
坂の途中に、本当に途中に、この宿はある。
そんなこんなで14時半ごろ到着。ウェルカムドリンクでスパークリングワインを出してもらって、お部屋に向かったのでした。
オールインクルーシブなステイ
部屋に着いてすぐ、荷物を下ろしてルームウェアに着替える。
セパレートのルームウェアは着心地がよくてありがたい。浴衣では眠れない民なので…。
わたしが泊まったのは木漏日の部屋というお部屋で、名前のとおりきらきらと木漏れ日が入り込む素敵なお部屋だった。他の部屋よりお風呂の作りが小さめらしく、たしかに1人で入ってぴったりだった。
でも、源泉掛け流し。湯河原の温泉は、湯冷めしにくい気がして、今回もずっとぽかぽかしていた。
お部屋の冷蔵庫には飲み物数種類とアペリティフボックスが入っている。アペリティフボックスとは、要は食前酒に合わせるおつまみ的なものらしい。おしゃれ。
ひとっぷろ楽しんだ後に、スパークリングワインと一緒にいただいた。
ふだん食べるのも飲むのもはやいし短いわたしが、なんにもせずに1時間弱かけて味わったのは、なかなかすごいことだ。
木漏れ日をぼうっと見つめながら、この上ない贅沢な時間を楽しんだ。
何度か内風呂を楽しんで、夕飯を待つ。
ちなみにこの宿にはプライベートサウナがあるのだが、今回は時間とお腹の様子といろんな都合でわたしは使わなかったので、次こそはチャレンジしたいな。
夕飯は、いろんな時代を再現した創作和食。目も舌も楽しめてよい。
量はきもち少なめなので、よく食べる人は追加のお料理を頼んでおいた方がよいかも。
(ちなみにわたしはかなりよく食べる女性である)
この日は宿泊客も多くなく、同じようにひとり旅の人もいたので、シーンとしたレストランで黙々とご飯を食べるのがシュールで面白かった…ヒーリングミュージック的なBGMがずっと流れていた。
朝食はいろんなご飯のお供を楽しめるので、もっとご飯があってもよかったな(食いしん坊)。
レイトチェックアウトにしてもらったので、お部屋のコーヒーミルで豆を挽いてのんびりコーヒータイム。
後の予定も特になかったので、チェックアウトしたあと、帰りは湯河原の駅まで散歩がてら歩いて下った。だらだら歩いて40分強なので、よい距離である。
道中、素敵なお菓子屋さんがぽつぽつあったので、こういうところを開拓するのもよいな、と思ったのでした。
ひとり旅の発見
今までひとり旅があまり得意じゃなかったのは、「何かしなくちゃ」という先入観があったからだった。
ひとりで見たい・行きたい観光地も特にないし、ひとりになりたいなら家でもいいし…と足が遠のいていたのだ。
けれど、今回オールインクルーシブのおこもり旅をして思ったのは、
なんもしなくていい!
ということ。
温泉に浸かっている間も有意義なことを考えなくてもいいし、それっぽい本を読んだりしなくてもいい。旅の目的は別になくてもいい。
自分の家以外の場所で、時間に追われずなにもしないことの贅沢を、たっぷりと享受するだけでよかったんだな。
もちろん、観光自体が目的の旅も好きだしこれからもひとり旅には挑戦するだろうけど、あまり肩肘張らずに、自宅の延長でのんびりするのもありなんだなぁと気づいた湯河原旅でした。
次は札幌に行って食べ尽くし旅をしたいな〜。