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月が綺麗ですね

「私だって」と言いたかった。
でもそんなことを口にしたら何倍にもされて返ってくるし、そもそもお前は言える立場にないと言われそうで怖い。

いつから「向き合っていること」ではなく「逃げてはいないこと」を主張するようになってしまったのだろう。
いつから「好き」という感情が飲み込めなくなったのだろう。

インターネットで検索したり、最果タヒさんの『「好き」の因数分解』を読んだりして、「好き」を理解しようとした。でも、言葉の意味とそれに多数の種類があることだけしかわからなかった。

自分に向けられる「好き」だけがわからない。
ある人に好かれて、(その時は確かに)好きになって「恋愛」をしていたはずなのに。
「恋とは?」「愛とは?」「好きとは?」
何も答えられない。わからない。

答えが出ないこと、そもそも答えなどないものを考えるのは、自分が「人間」として着実に経験を積んでいるような気がして、面白い。
が、「わからない」で済ませてはいけないこともあるのだと知った。

今も書きながら、相変わらずはっきりと説明することはできないが、考え続けたい。これが「向き合うこと」だと思うから。
いつか胸を張って、「月が綺麗ですね」と言いたい。

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