デフ・ヴォイス【87】
確かに新しい視点。でも、いやな話だなぁ・・・
と、言うのが読後のいちばんの感想。
コーダ(Children of Deaf Adults)の男性が主人公の小説ということで(私はなぜか、コーダたちの価値観に共感することが多いので、その理由を知るきっかけになるかもと思い)興味を持って読み始めた。ろう文化やろう者が置かれた状況、コーダの視点にミスリードされて、最後まで犯罪の核心に迫ることができなかった(この物語がミステリーであることすら忘れていた)
でもミステリーとしては結局、弱者、施設、性的暴行、殺人、隠蔽という、ある意味テッパンの構図にちょっとうんざりした。
あとがきには、作者がろう者を題材にした理由が『ろう文化』を読んだからだと書かれていた。だったら、なおさら・・・と思う。
帯書きには「絶対に読んでおくべき作品だと胸を張ってオススメしたい」と書かれているが・・・
そうかなぁ・・・?
私は、前に読んだこのシリーズのスピンオフ『水まきじいさんと図書館の王女さま』のほうをオススメしたい。