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出会って5分で一目惚れ『きみへのおくりもの』
親友のお店に贈る絵本を探しに駆け込んだ近所の本屋さん。
営業時間が短縮になったことを知らなくて、
本を探してたら「もう閉店の時間です」と声かけられて、
でも閉店までのわずか5分で出会ってしまった。
きみへのおくりもの
刀根里衣 著
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"キラキラ"は どこ……?
たくさんの星が 空にきらめく ある夜のこと。
クロは だいすきなシロを散歩にさそいました。
『きみへのおくりもの』P1-2
湖にうかぶキラキラ光るものを
シロにプレゼントするためです。
(同著P3-4)
というくだりで始まる2匹のネコの物語。
シンプルな言葉と幻想的なイラストが心地よい。
言葉を交わすシーンはないけどふたりの心の声が響いてくる。
まるで私も同じ湖のほとりにいるような、
ワクワク・フワフワした世界に包み込まれていく。
そんな穏やかな幸せを感じる絵本。
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絵本の力
昨年の冬、知り合ったばかりの人に絵本をプレゼントした。
私自身、幼少期に父がクリスマスに絵本を買ってきてくれるのが嬉しくて、
その記憶から「クリスマスには本を贈ろう」と
自分の中で勝手にキャンペーンが始まった。
たまたまクリスマスの頃に会うことになった人。
本が好きかもわからない。
でもせっかくの出会い。
何か1冊、プレゼントしたいなと思って選んだのが絵本だった。
迷いつつも渡してみると、
まさか絵本がプレゼントされるとは思ってなかったようで、
想像以上に喜んでくれた。
話を聞くとその人は、
本を読むのが大の苦手。
でも仕事で本のプレゼンをするワークがあって、
ちょうど本を探していたところだった。
絵本なら文字も多くないしイラストがあって読みやすい。
渡した絵本※はCDも付いていて、
音楽好きなその人はとても喜んだ。
それが私にとっても印象的だった。
※渡した絵本は『しあわせの綿づくり』
参照 https://note.com/tsuki5/n/n2187e8aa247d?magazine_key=m62112b6f15d5
そのとき私は改めて「絵本の力」を知った。
ひとりひとり個性は違い、
感性の捉え方も表現の仕方もいろいろ。
文字が得意な人がいれば、
絵や映像が得意な人がいて、
音が得意な人もいる。
私は文字が得意な人だからいろんな本を読めるけど、
文字が苦手という人が本を読むのはちょっと大変。
だけど絵本ならチャレンジしやすい。
絵本は、
子どもが読むことを想定して描かれているから、
言葉はシンプルで美しい。
現実的なものから幻想的なものまで、
自由に想像が膨らむ世界観。
作品に応じた千差万別のイラストレーションは創造性高く、
手軽に手に入るアートのひとつと言っても過言ではない。
そんなことを思いはじめて、
児童書コーナーもよく見るようになった私にとって、
この『きみへのおくりもの』は絵本の力を確信する一冊だった。
誰でもいつでも気楽に手に取れて、
自由に発想を飛ばすことをイメージして、
言葉はシンプルに、
心があたたかくなる感覚を大切に、
大切な人たちの絵本を作ってみたいと、
やりたいことがまたひとつ増えてしまった。
願いは上げた。
ひとつずつ叶えていけるよう、
力をつけていこうと思う。
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たからもののある場所
シロは たからもののある場所を
ちゃんと知っていたから。
たった5分で出会ってしまった。
こんな一瞬でこんな素敵な絵本に出会えるなんて。
まさに一目惚れ。
それを見つけた自分を褒めたいし、
そんな機会を与えてくれた親友、本屋、著者、出版社、、、すべてのものに感謝したい。
神様仏様ありがとう!!!
と心躍るくらい私にとって嬉しい一冊でした。
本を読むのはちょっと苦手、
最近疲れ気味、という方に、
心あたたまる一冊としてオススメします。