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【小学校社会科ざっくり要点】見方・考え方を働かせるって?~6年生「大陸に学んだ国づくり」を事例に~

「見方・考え方を働かせる」って、どういうこと?

 
 こう思っている方は、実は少なくないのかもしれません。

 まして、

「『社会的事象の見方・考え方を働かせる』って、どういうこと?」

と、なると、もっと増えてしまうのかもしれません。

 今回は、この「社会的事象の見方・考え方を働かせる」について、できる限り「ざっくり要点」を示したいと思っています。

(1)社会的事象の見方・考え方

そもそも、社会的事象の見方・考え方とは何でしょうか?

「社会的な見方・考え方」は,課題を追究したり解決したりする活動において,社会的事象等の意味や意義,特色や相互の関連を考察したり,社会に見られる課題を把握して,その解決に向けて構想したりする際の視点や方法であると考えられる。そこで,小学校社会科においては,「社会的事象を,位置や空間的な広がり,時期や時間の経過,事象や人々の相互関係などに着目して捉え,比較・分類したり総合したり,地域の人々や国民の生活と関連付けたりすること」を「社会的事象の見方・考え方」として整理し,中学校社会科,高等学校地理歴史科,公民科においても,校種の段階や分野・科目の特質を踏まえた「見方・考え方」をそれぞれ整理した。その上で,「社会的な見方・考え方」をそれらの総称とした。

文部科学省2017「小学校学習指導要領解説 社会編」p6

この通りなのですが…

「これでわかれば苦労しないです」
「つまりどういうことですか?」

という声が飛んできそう…というか、言われたことがあります笑

「ざっくり要点」なので、かみ砕いていきます。



(2)社会的事象の見方って?


ざっくり言うと…

①位置や空間的な広がり
地理っぽい見方

②時期や時間の経過
歴史っぽい見方

③事象や人々の相互関係
公民っぽい見方
です。

でも、そもそも「社会」が、人々の集まりや集団生活を意味するので、

①「位置や空間的な広がり」や②「時期や時間の経過」の見方をした上で、③「事象や人々の相互関係」から社会的事象の捉えを深める、というイメージだと学びが深まりやすいかもしれません。


また、あくまで「社会的事象の見方・考え方」は小学校段階における視点や方法で、「~などに着目して捉え」とされています。

「5年生の日本の地理だから、位置や空間的な拡がりに絞る!」
「6年生の歴史だから、時期や時間の経過の見方しか使わない」
というよりは、それぞれの見方を総合的に働かせることが考えられます。

時には見方を焦点化することも大事ですが、あまりに絞りすぎると、かえって見えなくなってしまう部分もあることも、理由の1つといえそうです。


(3)社会的事象の考え方って?


小学校社会科の「考え方」は

比較する
分類する
総合する
関連付ける

とされています。


 なので、平たく言えば、どれかしていれば、社会科の「考え方」で思考している、といえます。

 社会科の授業で、子どもに考えてほしいと思ったときに「どんな考え方をするか」がある程度明確になっていると、授業の組み立てもブレにくくなるかと思います。


(4)6年生「大陸に学んだ国づくり」の「聖武天皇と大仏づくり」で見方・考え方を働かせる

 
 では、この「見方・考え方」、授業では具体的にどのように働かせるのでしょうか。


大仏byいらすとや

 例えば、6年生「大陸に学んだ国づくり」のうち、「聖武天皇と大仏づくり」の授業、「聖武天皇は、どんな思いで大仏を造ったのかな?」という問いの解決を事例に考えてみます。

※ちなみに、実際に相談を頂いた授業実践です。相談してくださった方に感謝です。


聖武天皇byいらすとや

 
 聖武天皇に限らず、「~の思い」を考える授業は、割と実践されているかと思います。
 思いという言葉がシンプル、誰という対象がハッキリしている、というあたりから、子どもが考えやすい問いだと思われます。

 ただ、
 
 それって「見方・考え方」が働かせて考えることにつながるのかなぁ…?
 
というギモンを相談者さんは抱いていらっしゃいました。

 自分はこの感覚、大事だと思います。
 
 大きな理由の1つは、「どんな思いで?」は考えやすい問いではありますが、結論が明らかになることはない(確かめようがない)からです。

 そのため、いかに見方・考え方を働かせて、教科書や資料の根拠を「理由付けて」いるかがポイントになるかと思います。

 
 例えば…
◎→8世紀前半…平城京のにぎわい・苦しい農民の存在
→8世紀中頃…伝染病や飢饉、反乱などによる世の中の混乱
⇒前はにぎわっていた都が、大変なことになっている。
⇒これは、聖武天皇は「まずい」と思っているんじゃないかな
「②時期や時間の経過」を比較している


◎仏教、国分寺、東大寺、大仏、行基…
◎物資や農民をかきあつめた
⇒聖武天皇は、仏教の力を借りて、世の中の混乱を何とかしようと必死だったんだと思う
③「事象や人々の相互関係」を総合している

 ◎から⇒の部分がきちんと押さえられていれば、「見方・考え方を働かせている」と言っても大丈夫なように思います。

 おそらく、同じような問いで違和感を感じたり、ふわっとしたりする授業は、◎の部分がぼんやりしている授業なのかなと思いました。

 
 「思い」という結論は明記されてないですが、教科書や資料に示されている根拠となる部分を「見方」で浮き彫りにし、「考え方」で捉えていけば、ある程度「確かにそう思ってそうだよね」というまでにもっていくことは可能だと考えられます。

 
 これを、さらに「大陸に学んだ国づくり」全体で捉えようとすれば、

 ・飛鳥時代から奈良時代について、年表にまとめる
⇒「②時期や時間の経過」を比較する
・聖徳太子と聖武天皇の政治を比べ、当時の国づくりをまとめる
⇒③「事象や人々の相互関係」を比較し、総合する

 といった「見方・考え方」の働かせ方も想定されるかもしれません。


(5)終わりに

 
 いかがでしたか?

 「見方・考え方」は、言葉ではよく使われるものの、具体的な授業に落とし込もうとすると、迷うこともあるかと思います。

 しかしながら、ここが明確になっていると、授業の組み立てがスッキリしますし、何より子どもの学びがクリアになっていくかと思います。



 「ざっくり」をうたっているくせに、長くなってしまい申し訳なかったです笑

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