地方自治こそ、行政サービスが無料では無い事を皆が認識する機会

日本人は、納税者意識が薄いと言われています。「税は御上に巻き上げられるものである一方で、行政サービスは税とは無関係に政府が民に施すべき当然の義務である」という意識から、税と行政サービスの関連を意識しない人が多いのでしょう。

結果として、政府の行政サービスは無料だと思っている人が多いのです。だからこそ、「山間部の寒村の人がバスがないのは可哀想だから、行政がバスを運行しろ」といった他人事的な意見が出てくるのです。

本当にバスを運行させたければ、「行政がバスを運行しろ。そのための費用は俺たち都会の住民が喜んで負担するから」というべきです。

さらに進んで、「山間部の寒村と都会を結ぶ道路の維持管理もしっかりやれ。間違っても道路を廃止するなどと言うな。そのための費用は俺たち都会の住民が喜んで負担するから」とも言うべきでしょう。

国政レベルでは、弱者に手を差し伸べる費用を1億人で分担しますから、納税者意識が薄い人が他人事的に「弱者に手を差し伸べろ」と言うのもわかりますが、地方自治は少数の人が費用を分担するので、どの弱者にどう手を差し伸べると、各自の懐がどれだけ痛むか理解しやすいでしょう。まずは、そこで納税者意識をしっかり持つ事が重要です。

コンパクト・シティを目指して山奥の寒村の人々に、都会に引っ越して頂く(もちろん、年金を3倍払う等々の謝礼はお支払いする)べきか、今のまま寒村に住み続けていただくのか。そのための費用を誰がどのように分担するのか。発言したい人は、それぞれ自分の懐と相談しながら発言しましょう。

自治体としても、どういう選択肢があり、それぞれの場合に住民にどういう負担をお願いするのかを、しっかりと示した上で、住民の判断を仰ぐべきでしょう。納税者が税の使い途を決めるべきであり、そのための判断材料を自治体がしっかり提示してゆく事が強く望まれます。

P.S.

私の事を弱者切り捨て論者だと誤解されると困りますので、「経済は冷たい頭脳と暖かい心で動いている。私にも暖かい心はあるが、本稿では敢えて冷たい頭脳の面だけを表現してみた」のだという事を、御理解いただければ幸いです。

経済学者だって、道端に人が倒れていたら助けます。たとえそれが経済学理論的に合理的な行動ではないとしても(笑)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25800270X10C18A1SHA000/

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