ゼロ成長だと地銀は縮むから、合併のメリットは弊害より大

ふくおかFGと十八銀行の統合交渉が、公取の反対で難航しているようです。公取の言い分も、理屈としては理解できますが、金融業界の実情を考えると、合併はメリットの方が弊害より遥かに大きいと思います。

ゼロ成長だと、一般企業の売上は横ばいですが、地銀のビジネスは縮小していきます。企業が減価償却の範囲内でしか設備投資をしないため、利益のうちで配当されなかった部分は借入の返済に回ってしまうからです。金融庁も地銀の厳しさを指摘していますし、メガバンクも相次いで国内業務の人員縮小計画を発表しています。

そうした中、地銀が合併して規模の利益を追求するのは自然な事です。では、合併のデメリットは大きいのでしょうか?「同じ地域内で競合している地銀同士が合併すると、地域独占の弊害がある」というのが公取の理屈ですが・・・。

現在の地銀を巡る資金需要の状態からして、地銀が独占利潤を貪れるような状態ではありません。仮に独占利潤を貪ろうとすれば、地銀の顧客を奪いにメガバンクや信金等々が押し寄せて来るでしょう。将来的にはフィンテックも手ごわい競合相手となるでしょう。

将来、日本経済が絶好調となり、「全国規模で銀行への資金需要が強まり、地銀が独占利潤を貪ってもメガバンク等が地銀の顧客を奪いに来ない」ような状況が来れば、弊害が現実のものとなるのでしょうが、そうした可能性よりも地銀が破綻して地域の金融インフラが壊れ、「金融は経済の血液だ」という事を人々が痛感させられる可能性の方が高いような気もしますが・・・

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10547

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23255050Y7A101C1EE9000/

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