
ライノセラスの独特な特徴4点(無料記事)
前回の続きとして、今回はNURBSモデリングほかライノ 3Dの独特な特徴についていくつか解説したい。ざっくり言って4つの大きな特徴がある。
販売形態と商用利用について
NURBSモデリング
ソフトウェアの操作について
複合ショートカット「エイリアス」機能
(約 3,100文字の記事です。)
更新履歴
2025/03/02 公開
販売形態と商用利用について
買い切り版がある
世間的にはソフトウェアはどんどんサブスクリプション(月額課金)に移行している中、ライノ 3Dは頑なに買い切り版(永久ライセンス版)を販売している。ユーザーには嬉しい限りだ。
体験版でも教育版でも「商用利用可能」💰

これが驚き!なんと90日間という長期間の体験版の利用中であっても商用利用可能なのだ。
驚きはそれだけじゃない。なんと教育版(学割版)でも商用利用可能なのだ😍
公式サイトで明確に宣言している!
将来もそうだとは限りません。
各自でご確認下さい。
私もたくさんの商用3DCGソフトを使ってきたが、体験版での商用利用可能を謳っているソフトはライノ 3Dが初めてだ!凄い!!太っ腹!学生版の商用利用についてはAdobe 製品も商用利用を認めているが、そもそも学生版の商用利用OKってのはかなり少数派だ。
なのでライノ 3Dは「商用利用前提の」プロユーザーにとても優しい。そしてプロの卵にも優しいソフトなのだ😍
対して私が過去に愛用していたZbrushは、永久ライセンスは販売終了するわ、月額サブスクは2倍近くに値上げするわ、学生版は4倍も値上げするという……。両者の対応の差が明確だ😖 会社の方針次第だ。
ライノセラスは特に学生にはお財布に優しいソフトだ。
というか個人が所有できるCADソフトとしては実質的にライノ 3D一択だと思う。主にコストの面で考えれば。
NURBSモデリング
ライノ 3Dの特徴というか強みでもあるが、それはNURBSモデリングの特徴と強みそのものだ。
数学的な関数曲線に基づく正確な流線形状
水平/垂直、一定角度ごとの変化、等間隔の繰り返し配置
面取り(角丸なR一定のフィレット、平面的なチャンファー)
ポリゴン密度に依存しない
トポロジに依存しないブーリアン整形
ではBlenderやMayaといったポリゴンモデリングでは全てが逆で、
表面の形状はポリゴン密度に依存してカクカクする(スムーズシェードは見た目のごまかし)
数値的な頂点位置の制御は苦手
面取りは既存のトポロジに依存。Rの大きな面取りができない場合もある
常にポリゴン密度に依存する
ブーリアン後の形状の正確さもトポロジに依存する

ここで特に強調しておきたいライノ 3Dの特徴を。というかCADソフトの特徴でもあるが。
ブーリアン整形とフィレットとの合わせ技

NURBSモデリングではトポロジに依存しないので、ブーリアン演算後にさらにフィレットで角丸化するなどがごく普通にできる。(もちろん形状によってはRの最大値は制限されるが、それはライノ 3Dに限らず当たり前のこと。)
またブーリアンの順番も特に何かに依存することもない。割と自由。
さらにはフィレットのRはあとからでも微調整可能。これはポリゴンモデリングではかなりキツいがCADなら割と普通の機能。
というかNURBSモデリングを習得するならまずはライノ 3Dで間違いないと思う。
ソフトウェアの操作について
マウスの右クリックが別の機能に

普通のソフトは右クリックはたいていの場合「オプション項目の呼び出し」だ。これは3DCGソフトに限らない。
だがライノ 3Dでは「右クリックで別機能を呼び出す」という珍しい実装になっている。なので普通のソフトみたいに安易に右クリックすると、意図せぬ動作になる場合が多い。これは慣れるしかないが、逆に言うと通常のインターフェースで2種類の操作を指定できるUI、とも言えるのだ。これは独特。
GUIなのかCUIなのか分からなくなる

他の3DCGソフトと違って、コマンドという操作方法がある。まるでLinuxのようだ。WindowsでいうとDOSプロンプトのような感じ。
Windowsならエクスプローラーでファイルを操作するが、DOSプロンプトでコマンドを使ってもファイル操作はできる。そんな感じでライノ 3Dでもコマンドが使える。
というか「コマンドありき」+マウスによるGUI操作、という奇妙な操作方法になる。
これはUdemy教材で学習を開始したときにサラッと始まるので面食らった。「これは何だッ!」って思った😅 講師はライノ 3Dに慣れきっているので何も感じないかもしれないが、一般人からすれば衝撃の使いにくさだと思う。だが慣れれば割と快適。
スナップ機能が超優秀
Blenderでも3要素(頂点、辺、面)へのスナップ(吸着)はあるが、ライノ 3Dのスナップはその比じゃない。頂点スナップや他のオブジェクトへのスナップは当然として他にも、
両端の中央の位置
交点
オブジェクトの垂直方向や接線方向
それらを複数組み合わせた結果の交点
という、恐ろしくスナップ機能が優秀なのだ。

これは例えば「4本の線を繋げて1つの四角面を作る」ことを考えれば、スナップでピタリと位置合わせすることが重要だから、当然の進化だろう。
このスナップ機能によって2分の1や4分の1という、数学的に正確な比率でパーツの要素を組み立てていける。ポリゴンモデリングと違ってカッチリとした正確な比率で整えられたオブジェクトになる。
複合ショートカット「エイリアス」機能
これはライノ 3Dの大きな特徴だ。普通のソフトはコマンド実行のためのキーボードの使い方としてはショートカットキーしかない。
だがライノ 3Dではさらに「複数のキーを組み合わせてEnter」で任意の複数のコマンドを一発で実行させられる。いわゆるマクロ機能だが、そのマクロの呼び出し方法に「任意の文字列+Enter」という独自の実装があるのだ。これが使いやすい!😍 エイリアスという機能だ。
例えば、V[enter], VVR[enter], H[enter], HH[enter], CPN[enter], CPW[enter]、などなど、ユーザーが自由に半角英数を組み合わせ可能。
実はライノ 3Dの効率化の鍵は、ユーザーが使いやすいようにカスタムしたエイリアスの充実、これにある。エイリアスを使いこなすか使わないかで、作業時間が2~3倍も変わる。これは実測値なので間違いない😤
当マガジンでは当然にこのエイリアスの強化についての記事を執筆する。しかもかなり丁寧に解説する予定だ。エイリアスの使いこなしこそがライノ 3Dの作業の効率化の肝だ。マウスプチプチ作業で1時間かかるところを、エイリアスでタタタッと操作すれば20分で終わる。何もかもが別世界なのだ。
これくらいがざっくり言ったライノ 3Dの特徴だろう。細かく言い出すとキリがないが、何となくでもBlenderやMayaといったポリゴンモデリングツールとの違いと、操作方法の違いが分かってもらえたと思う。
次回からはいよいよライノ 3Dを使うための現実的な操作に入っていく予定です。お楽しみに😊
今回の創作活動は約2時間(累積 約4,165時間)
(1,270回目のnote更新)
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ライノセラスの使い方 Vol. 01 スタート編
3DCGソフトのライノセラス(Rhinoceros)って何?🤔という人に最適なスタートアップ情報が満載!読者様にはBlenderなどのポリ…
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