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ライノの特徴:NURBSとは?(無料記事)

ライノセラスと言えばNURBSモデリング!というくらい強烈な個性を放つのがNURBS。でも「何それ、おいしいの?」という人のためにざっくりと分かりやすく解説します!特にBlenderやMayaなどで慣れ親しんだ「ポリゴンモデリングとの違い」についても簡単に解説します。

分かりやすさ優先のため、技術的にはやや不正確な表現が含まれますがご容赦下さい😅 また違いの特徴を網羅する記事でもありません、念のため。

(約 4,600文字の記事です。)

更新履歴
2025/03/01 公開



ライノ 3Dでできるモデリング手法

まずライノ 3Dでできるモデリング手法は以下の通り。特徴順に書けば、

  1. NURBSモデリング

  2. SubDモデリング

  3. ポリゴンモデリング

だが一番の特徴であるNURBSが「一番分かりにくい」ので、まずは慣れ親しんだポリゴンモデリングから順に解説する。


ポリゴンモデリング

ゲームや3DCG動画向けモデリングではほとんどが諸事情によりポリゴンモデリングを採用している。BlenderやMaya, 3ds-Maxなどがそれ。主にリアルタイムなメッシュ形状変形に対応させるため、ローポリやミドルポリでないと都合が悪いのだ。リギングやスキニングを経てセットアップまでの手間を考えると余計にローポリのほうが好ましい。

だがローポリはカクカクする宿命。表面側はスムーズシェードやノーマルマップ・テクスチャリングでごまかせるが、背景との境界線(エッジ)は滑らかにできない。ローポリ&ミドルポリゆえのポリゴンモデリングの弱点だ。

さて、実はライノ 3Dもポリゴンモデリングができる!

え?ライノ 3Dでもポリゴンモデリングできるの?Yes, ただし、あまり快適ではない😭 ポリゴンモデリングをやるならBlenderやMayaといった、よく知られているツールを使ったほうが圧倒的に楽。

ライノ 3Dでのポリゴンモデリングの作業効率は非常に悪い。

なおライノ 3Dにはリギングやメッシュ変形機能はない。静的モデリング専用だ。


SubDモデリング

次にSubDモデリングだが、これはいわゆる「サブディビジョン・モデリング」だ。これもまたポリゴンモデリングツールを使ったことがある人ならばお馴染みの機能。それのライノ 3D専用版だ。概念や造型手法は同じ。ツールの使い方が違うだけ。

ただしライノ V8からはソフトクリースという「かなり柔軟性の高い可変クリース」が使える点が、他のポリゴンモデリングツールとの大きな違いだ。

他にも「ライノ 3D上で」サブディビジョン造型を使える強力なメリットがいくつかある。

そもそもSubD機能はライノ V7から登場した機能なので、V5, V6時代の教材には出てこない。だがV8の今ではNURBSモデリングと両輪をなす重要な機能だ。鉄板の解説書に出てこないからといって軽視してはいけない(初期の私のこと😖)

NURBSとSubDはV8時代以降のライノセラスでは必須の学習項目。


NURBSモデリングとは何か?

発音は「ナーブズ」と「ヌーブズ」の中間。和名表記ではナーブズが多いが、ほとんどの場合はアルファベット表記のままが多い。

NURBS 、Non-Uniform Rational B-Splines(非一様有理Bスプライン))は、単純な2次元の線、円、円弧、曲線から、最も複雑な3D有機フリーフォームサーフェスやソリッドに至るまで正確に表現することのできる3Dジオメトリの数学的表現方法です。

https://www.rhino3d.com/jp/features/nurbs/


チョット何イッテルノカ ワカンナイ😭


なんだか「シンカンセン スゴイカタイ アイス」みたいになってしまったが、要するにその解説ではよく分からないのだ。なのでこれについてはライノ 3Dを触りながら体感した方が早いだろう。なので学術的に正確な説明はいったん置いといて。

要するにライノ 3DでのNURBSモデリングとは、イラレの3DCG版です、ざっくり言うと。


数学的な関数で定義された曲線

分かりやすく説明すると、NURBSは数学的な関数で定義される曲線のことだ。Adobe製品のIllustrator(イラレ)、あのベジェ曲線だと思っていい。

(厳密にはベジェ曲線とNURBS曲線では曲線の挙動がちょっと違うけど、とりあえずベジェ曲線だと思っていて理解して欲しい。)

「数学的な関数で」ってどういうこと?皆さんは学生時代に、1次関数などを学んだはずだ。

  1. 1次関数、直線的なな関数  y = x + 1 など

  2. 2次関数、下や上に凸な関数、y = x ^2 + x + 1  や放物線など

  3. 3次関数、上がって、下がって、上を向いて~♪ y = x^3 + x^2 + x + 1

  4. 真円、中心座標と半径(または直径)で決まる、輪っか

  5. 楕円、真円よりも情報が多いが、楕円という潰れた輪っか

  6. 四角形、4つの1次関数で表現できる、四角い枠

  7. N角形、N個の1次関数で表現できる

要するに色んな直線と曲線を組み合わせてカーブオブジェクトを作成するのだが、そのカーブオブジェクトは全て数学的な座標や係数で定義されている、というのが大きな特徴だ。

イラレをイメージして下さい。直線を描くのに始点と終点があればいいでしょ?真円を描くにしても、中心から直径を指定したり、左上から右下の2点を指定したり。ベジェ曲線の制御についても曲がりの頂点座標を指定したり、傾きを変更したりして線を描くでしょ?

イラレの場合、Photoshopやクリスタのラスターレイヤーでのお絵描きとは根本的に違って、座標指定とハンドル指定(傾きの変更)で線を作るでしょ?

ライノ 3DでのNURBSモデリングとは、イラレの3DCG版版です😊、ざっくり言うと。


ポリゴンモデリング=Psやクリスタ

分かりやすく言うとこれだ。BlenderやMayaといったポリゴンモデリングはPhotoshopやCLIP STUDIO PAINTでのラスターレイヤーだと思っていい。解像度の制限があるし、拡大しまくればカクカクしている。2Dでのラスターレイヤーのメリット・デメリットがそのまま当てはまる。

NURBSモデリング=イラレ、ベクターレイヤー

それに対してイラレの比較が分かりやすいだろう。またはクリスタのベクターレイヤーの理解でもOK。NURBSモデリングは解像度に依存しない。いくらでも拡大可能であり、あとから高精細なポリゴンモデリングに変換も可能。

実はNURBSの特徴は他にもいくつかあるが、今はこの理解だけでいい。

もうほとんどのメリット・デメリットが2Dにおけるラスター vs ベクターのそれと共通です😊


これからのライノ使いのために:用語の定義

当マガジンでは「直線と曲線」の両方を「カーブ」または「カーブオブジェクト」と呼びます。というのもライノ 3Dではカーブオブジェクトには「直線と曲線の両方」が含まれるためです。

Curves = Straight lines + curves
カーブ = 直線 + 曲線

このイメージですね。

和名にするとちょっと分かりにくくなりますね。カーブなのに「直線」ってどういうこと?となります。これが言語の持つイメージの違いです。ですので当マガジンではライノ 3Dの学習においては所々で英語UIを推奨しています。


ライノセラスの強みと使われ方

世間にある3DCGのモデリングツールのほとんどがポリゴンモデリングツールだ。それに次いでCADといった工業製品用モデリングツールがくる。個人向けならFusion 360も有名。

なお建築特化型ツールはもう別ジャンルだと思うので割愛。餅や餅屋。

ライノ 3Dもどちらかと言うとCAD側のツールだが、CADでもまた何種類かモデリング手法があって、その中でもNURBSに特化してずば抜けて優れているツールがライノ 3Dなのだ😤

ここでは詳細には説明しないが、NURBSの強みは「滑らかで美しい曲面」を扱いやすい点だ。

またCADらしく角丸化=フィレットについてもポリゴンモデリングより自由だ。

なのでライノ 3Dは、工業製品向けの、初期デザインでの立体物の可視化によく使われている。要するに、

  1. 将来的には工業製品としてモデルを製品化したい(CNC対応)

  2. CAD的なデータを作りやすいほうがいい(STEP対応)

  3. デザイナーとしては自由に簡単に形を作りやすいほうがいい(タイパ性能)

これらを満たすのがライノセラスというソフトだ。これがそのままライノセラスの強みでもある。なので実際にライノ 3D情報を集めてみても、

  1. 建築ビジュアライゼーション

  2. 工業製品=プロダクトデザインのコンセプトアート

  3. 宝石や指輪などのジュエリーデザイン

この3つがよく出てくる。

ライノセラスの他にNURBSモデリングに強いツールとしては2023年に公開されたPlasticityがある。だが2025年現在では実績が少ないため業界での採用率が低く、ライノセラスの脅威にはなり得ない。

なのでNURBSモデリングを学ぶなら現状ではライノセラス一択だ。


まとめ:NURBSはイラレの3DCG版

ゲームや3DCG動画向けモデリングではほとんどが諸事情によりポリゴンモデリングを採用している。BlenderやMaya, 3ds-Maxなどがそれ。だがポリゴンモデリングは万能ではない。

対してCADベースのツールは特定の業種や分野では必須でありポリゴンモデリングは採用されていない。数学的な精度が必要な製造業ではほぼCADソフト一択。

そう、実はポリゴンモデリングはダメな業界があるのだ。もっと言えばCADデータ(STEP)を出力できるモデリングツールでないとダメなのだ。ライノセラスは当然STEPファイルを出力できる。

なのでライノセラスには一定の需要がある。

2Dの世界ではPhotoshopもIllustratorも両方使える人が多い、というか必須だが、1次元増えた3DCGの世界ではポリゴンモデリングとNURBSモデリングの両刀使いは、かなり少ないと感じる(当社比)。どちらかに特化型がほとんどだと思う。(3DCGではそれくらい、やることが多いだ。)

だからこそ私は、ポリゴンモデリングをある程度知った上であえてNURBSモデリングを学んで体得したいと思ったわけ。主に将来性と守備範囲の広さのメリットのため。両者のカバー範囲はとてつもなく広いので、競合他者との差別化に有利だと判断した😍

という分けで今回はNURBSモデリングとポリゴンモデリングの違いを解説した。NURBSの強烈な特徴はもっとあるのだが、導入編の記事としてはこの辺でとどめておきたい。


今回の創作活動は約2時間45分(累積 約4,163時間)
(1,269回目のnote更新)



#ライノセラス #ライノ3D #Rhinoceros #Rhino3D

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Blender, MMD, Zbrushにとても詳しい著者が、初めてライノセラスを200時間かけて英語&日本語で体当たり学習し、そのエッセンスを大凝縮!「ライノ初心者が苦しまずにサクサクと上達する」ためのノウハウを詰め込んだ1冊です🔰このマガジンでしか知り得ないようなお役立ち情報が満載です。ライノ初心者必見の情報多数😍ぜひ購入をご検討ください!【3月中に全記事の投稿を完了予定】

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