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#23 Next challenge



再び、海外でサッカー選手として挑戦をします。

クラブからのリリースがまだなので詳細は控えますが、既に契約書にはサイン済みです。

渡航を今月に控えた今、これまでのコトと、これからのコトを、少し晒したいと思います。


これ、キツイぞ。

そう感じたのは、遡ること2022年。
方々で擦りまくっている話ではあるが、僕の人生を語る上ではスルーできない、胸を張って地獄だったと表現できる年。

この話題を煮込んでも煮込んでも、まだ出汁は出るほど、未だに色褪せず、脳裏にこびり付いてることは分かって欲しい。

立て続けに起きた身内の死を、受け入れて消化できるほどのキャパは、僕にはなかった。
これがまた、死に際も残酷で儚くて。
まあ誰の、どの死に際だってそうだろうけども。

身内の死と共に僕を追い詰めたのは、頻発した怪我。
前年に負った肉離れを機に、歯止めが効かない状態だった。
100%でプレーすることで、どこかが痛くなる。
どこかが痛く、庇ってプレーをすることで、またどこかに怪我を負う。

かと言って、セーブしながらプレーすることで、本当の僕は発揮できない。
ギリギリを攻めながら、心身穏やかでない狭間でプレーをすること。
そのループにハマっていると気付いた時は、手術前だった。

この年に所属した2チームどちらも、怪我で離脱する形になった。
試合に出てなんぼ。ピッチ上で見せることが役割。
そんなスポーツ選手、且つ強迫観念に襲われやすい僕にとって、この機会損失は痛かった。

ズルズルと長い尾を引いた翌年。
実は繊細で、超敏感な僕にとっては、時間が解決してくれるなんてのは違う星の話だった。
心に痞えがあって、どうしてもスムーズに物事を考えられない。

これと言った充実を掴めないまま終わった、ラオスでのシーズン。
挑戦を始めた頃の無鉄砲さみたいなのは、知らない間に手元にはなくて。
ここで競争、凌ぎを削ることのメリットとか、この先訪れるリスクとか障壁が怖くなった。

こういった細かいジャブが効いてきて、パンパンに膨らんだ心が破裂したのが、インドネシアでのトライアウト。

全て、もう全てが嫌になった。
サッカーをやめる。
そう決めて、泣きっ面で多方面に連絡を入れまくった。


半年ほどサッカーから離れて、もう1度、ピッチに戻ることにした。

口先だけの言葉で引退を振り撒いたわけでもない。
僕だけの人生だから好きにすればいいけども、僕の船に乗ってくれた人もいるわけで、少なくとも迷惑をかけた人だっている。
だからこそ、選手としてグラウンドに戻ることはないと思ってた。

世紀の大決断をひっくり返すほどの、壮大な理由なんてなくて、ただもう1回、本気でサッカーをやりたくなったから。
別にこれと言って、きっかけがあったわけじゃないと思う。

この時に、戻ることを歓迎してくれる仲間と場所があったことは、僕自身に幸せ者なんだぞと、毎日言い聞かせてる。

のらりくらり。なんてするつもりはない。
それが欲しいなら、ちっぽけな肩書きを持って個サルに通えばいい。

どうせやるなら日本一。
とか、
人として、男として、全力を尽くせ。
なんてのを掲げてる学校に通っちゃってたもんだから、やるからには上を目指さなきゃ気が済まない。

ただ、これまでのやり方は否定すべきだった。
新しさを取り入れることで、これまでの概念をやめることで。
迎えに行きたい未来は、過去に類似したモノじゃないから。

大好きなサッカーを、手放すことを決めるに至った要因の根源。
それは、付いてこなかった結果。紛れもない実力不足。

これがあったら、全部美化できたはず。
正直、人生は後付けで何とでもなる。

良い加減、自分を否定することから逃げないで。
もう目を背けられないでしょ。
ストーリーよりも、目に見える結果でしょ。

こうして僕は、新しい自分としての自負を持って走ってる。
そして、目標を持って走ることにした。


AFCカップ、ACLに出場したい。
ここから絶対に這い上がる。

走らせた言葉に追いつけなかった時、掴めなかった時にまた大きな傷を伴うだろうし、いつもドラフトを作っては消してを繰り返す。
けど、公にして初めて伝わることだし、目標を立てるのが嫌いだった僕が、ここまでして進もうとする姿勢を、みんなにも見せたい。


何より最近、凄い楽しいんだよね。
もちろんキツいし、疲れるし、力不足で自分を恨みたくもなるんだけど。

何者でもない僕が、何者かになろうとしてて、この世界で先々成功できるって、今日も無事に勘違いできてる。
結局、いかがわしいことが好きで、どこまでもチヤホヤされていたんだと思う。
人生の着地点が分からない、リスクを負って茨の道を進んでいる感覚。

そんな僕自身のことも結構好きだし、たまに褒めてあげたい気もするし、褒めて欲しい気もする。


僕が味わった局面や感情たちは、大企業の社長とか大統領なんかが逆立ちしても作れないモノ。
そして、せっかく手に入れることができたチャンスの切符。
引き換えに無くしてしまったモノもあるけど、大抵は後から取り戻せる。

だから、前を向いて、進むよ。


1度下したあの日の決断が正解だったと、今は自信を持って言える。

勇気を出して、難しい選択をした僕に。
そして、今ある環境、人間関係に。
心から感謝したい。

渡邉 宰

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